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「ザ・ビートルズ BOX」
2009年9月9日。会社を休んでビートルズのデジタル・リマスター版のBOXセットを買いに行きました。待ってました。この数日は旧盤を繰り返し聴いて新体験に備えました。
「ロッキング・オン10月号」のレビューでも相当音が変わっている、リマスターを手がけたアビイ・ロード・スタジオのエンジニアのインタビューでも思い切って手を加えたとあったので期待と不安でBOXを開けました。全14作(16CD)です。一作目「プリーズ・プリーズ・ミー」から順番に聴きました。
1曲目の「アイ・ソー・ハ-・スタンディング・ゼア」です。正直な感想は予想以上に普通でした。当たり前かもしれませんが楽曲の印象は変わりません。ただ、エンジニアがインタビューで答えていたのですが、レコード時代は針飛びを防ぐためにあまり低音を強調できなかった、今回はその支障がないので全体として中低域の音を強くしたんだそうです。確かにポール・マッカートニーのベースの音が始めてベンベンドゥンドゥンはっきりと聞こえます。ベースの音にノリながらビートルズサウンドの聴き直しです。
また、アルバム収録曲はボーカルが前にくっきりと出て、全体の音も磨かれているのでリマスターの効果が分かりやすいです。一方で有名曲・ヒット曲はボーカル、楽器のバランスはほとんど変わらない印象です。ビートルズの名曲は人類の至宝、簡単には作り変える訳にはいかないということでしょうか。これはこれで好感が持てます。
「とくダネ!」の冒頭で小倉さんがどんな再生装置でもラジオでもはっきりと違いが分かると言っていましたが、それはどうかなあと思います。
それにしても名曲ぞろい。始めはリマスターされた音を注意して聴いていましたが、三作目「ア・ハード・デイズ・ナイト」の「イブ・アイ・フェル」や「アンド・アイ・ラブ・ハー」のハーモニーを聴いているととろけそうで気持ちよくて涙が出そうになります。音がクリアになってビートルズの名曲がより近く感じられるようになりました。
とはいえ再び今回のデジタル・リマスターです。所々に驚きがあります。メインのボーカル、ギター、ドラムは音がクリアになっていますがバランスの印象は大きく変わりません。ただ、先程も書いたベース音に加えて、ピアノ、アコースティックギター、ドラムの強打、タンバリンなどは明らかに響きが違います。
・・・と、ここまでがオリジナルがMONOの4作目までの感想で、5作目の「ヘルプ!」以降も原盤に忠実という印象は変わらないのですが、STEREO録音だけあってより音がクリアです。各パーツとパーツの分離がはっきりしていてより立体的で奥行きがあります。ジョンやポールの息吹がすぐそこに感じられます。録音が新しくなればなるほどギター音もリアルで荒々しくなっていきます。すぐそこで演奏しているような空間を感じます。中期、後期のアルバムは小倉さんが言うとおりラジオでも違いが感じられるかもしれません。名曲の数々が生き生きと生まれ変わりました。
以前の「イエローサブマリン」や「レットイットビー・ネイキッド」でエンジニアチームが優秀なのは分かっていたので、高品質であることは間違いなかったのですが、それでも実際に耳にすると本当に素晴らしいリマスター、凄いアルバムです。今年のナンバー1当確です。
最後にこのBOXセットは38,600円。別々に買うと1枚もの2,600円、2枚もの3,700円で計算するとトータル38,600円。BOXにはDVDが1枚おまけで付いているのですが、別々盤でもCD-EXTRAで観られます。BOXの特典は何もなくお徳感は全くありません。特典は箱でしょうか。全部まとめて買ってくれた客に何もサービス(値引き、特典)しないというこの売り方は一体何なんでしょうか。箱は邪魔なので捨てようかと考えています。
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