今年の1枚/今年の1冊/今年の1本/今年の1皿


 年末なので今年1年間で特に思い出に残った作品を整理しました(必ずしも今年リリースされたものではなく、今年体験した作品です)。

○クラシック音楽

 シェリング/クレンペラーによる「ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲」(5/5にアップ)です。優秀な演奏、ディスクに優劣はそんなにないと思うので、結局聴いた回数の多さになるのかもしれません。
 その他ではクレーメルのバッハ無伴奏、ツィマーマンとラトルのブラームスピアノ協奏曲1番、レヴァインとメトのトリスタンの映像もよかったです。
 来年以降の期待は(録音予定があるのかどうか知りませんが)、ティーレマンのベートーヴェン、ラトルのモーツァルト、ゲルギエフのマーラーあたりでしょうか。媒体としては、今後はCDではなくて、基本的にDVDが中心になるといいなと思います。

○ロック・ポップ音楽

 リリースは昨年かもしれませんがU2の「ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム」です。世評では前作の「オール・ザット・ユー・キャント・リーブ・ビハインド」が久しぶりのU2らしい作品ということで売れたようですが、私には気の抜けた退屈な演奏にしか聞こえませんでした。いろいろあったけどもうU2は過去の名曲で生きていくバンドになったんだなあと思っていたところで聴いた新作。
 初期の作品を手掛けたスティーブ・リリーホワイトをプロデューサーに起用して、なつかしいエッジの切り込み、ギターの響きが戻ってきています。これに最近のドライブ感も加わって、いい意味でまだ尖がった成熟したロックを聞かせてくれています。静かな曲もかっこいいです。U2、ロックはこうでなくちゃと思わせます。

○本

 「エデンの東」(8/21にアップ)の翻訳者である土屋政雄氏つながりで読んだ、カズオ・イシグロの「日の名残り」とフランク・マコートの「アンジェラの灰」も素晴らしかったです。
 特に「アンジェラの灰」です。危うくこんなに面白い物語を読まずに死ぬところでした。抱腹絶倒、泣き笑いのドラマというと陳腐な宣伝のようですが、アイルランドの貧しい家庭で力強く生きるフランク少年の自叙伝です。仕事に就けず失業手当も貰ったその日に全部飲んでしまう父、泣きながらも家庭を支える母。兄弟愛、それでも貧しさから死んでいく幼子達。無名の引退した高校教師が書き下ろしたノンフィクションです。1997年にピュリッァー賞を受賞しています。

○映画

 「DEEP BLUE」(6/5にアップ)です。海にまつわる記録映画が今年の1作というのは映画界に失礼(?)ですが、今年ダントツで回数多く観た映画なので。ようやく観たキューブリック監督の「フルメタル・ジャケット」もよかったです。

○食べ物

 京都の美山荘で食べた夕食の「前菜の盛り合わせ」(6/5にアップ)にしておきます。コストパフォーマンスも考慮すると「廻転びっくり寿司」の「ヤリイカ」(1皿189円)でしょうか。

○その他

 まだ3号までしか出ていませんが、雑誌「クーリエ・ジャポン」に期待です。世界中の記事を寄せ集めるフランスの雑誌の日本版です。海外記事を翻訳して紹介する雑誌はこれまでもありましたが、複数(国)のジャーナリズムの論調を対比させて、同じ出来事についても大きく視点が異なることを示します。2号は、単なる翻訳記事の寄せ集めで視点の違いなどどこにもなくて、なんだこれはとガックリしましたが、3号は少し主旨に沿った内容に戻っていました。海外記事は日本ではあまり好まれないようで、あまり売れず、大きく方針転換、ビートたけしのインタビュー記事か何かを載せるようになって、休刊というのが毎度の流れですが、そうならないことを祈ります。


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