南Q太「ひらけ駒! 3」

             

 最近知った将棋マンガです。第3巻まで一気に読みました。すごく面白かった。

 将棋に熱中してプロの卵を目指している小学生の菊地宝とミーハーな母親の将棋ライフを綴ったほんわかとした雰囲気の物語です。この手の勝負事を題材とするマンガは主人公とライバル達との鬼気迫る闘いが繰り広げられるのが普通ですが、この漫画の主人公はまだ将棋界の当事者ではなくて、その外側の一ファンの立場で将棋を楽しんでいます。プロ棋士の指導対局でのやさしい振る舞いに歓喜したり、プロが公式戦の際に決まって出前を注文する将棋会館近くの蕎麦屋に行って興奮したりと将棋界のあらゆることに憧れているお気楽な緩さがあります。

 宝の成長物語が漫画の主軸ではあるのですが、ひょんなことから女性団体戦に誘われて、自らも将棋のルールを覚えて対戦することになった母親の話しが面白い。
 駒の動きは知っていてもどう戦えばいいのか分からなかったところから、矢倉や美濃囲いを覚えて、主要戦術の冒頭の定跡を覚えていくと、観戦していても内容が少しずつ理解できるようになってだんだん楽しくなってきます。ちょっと前の自分とこの母親の取り組みがオーバーラップして、かなり感情移入して読み進めました。

 壁にぶち当たった宝と保護者としてではなく将棋そのものに魅了され始めた母親の今後の展開が楽しみです。


 そういえば発売されたばかりの第3巻を駅の大型書店の漫画コーナーに買いに行ったのですが、新刊を積み上げているコーナーにありません。おかしいなと思い探したのですが他のコーナーにもなし。そこで店員さんに訊いたところ、書棚の中に既刊の1巻、2巻と並んで3巻が2冊並べてあっただけでした。
 あまり売れていないんでしょうか。「週刊モーニング」の連載なのでそこそこの認知度はあるんじゃないかと思うのですが。将棋を知らなくても十分楽しめるマンガです。


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