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クレンペラー/ベルリンフィル「ベートーヴェン交響曲第6番“田園”」
ウィリアム・スタイロンの名作「ソフィーの選択」にソフィーが田園交響曲をラジオで聞いて涙を流すシーンがあります。
「やがてフィラデルフィア交響楽団がつぶやくように絃楽器をかなで、最初はためらいがちに、それから歓喜にみちた音を高まらせて、花咲く地球へ陶酔の賛歌を送ってゆく。」
アウシュビッツで生死を彷徨い、重い罪の意識を背負って生きることになったソフィーにベートーヴェンの音楽は生きていることの喜び、意味を感じさせてくれたのだと思います。花咲く地球への陶酔の賛歌という言葉がとても好きです。
このクレンペラーとベルリンフィルの1964年5月31日のライブ盤の存在は全く知りませんでした。第4番と第5番のベルリンライブ盤が近々発売されるとのことでその関連で存在を知りました。クレンペラーは最も好きな指揮者の一人ですが、掘り出しライブ盤は外れが多いので最近は店頭で見ても素通りしていました。
しかし、ベートーヴェン盤となると無駄遣い覚悟でトライせずにはいられません。
クレンペラーらしいテンポの遅い大きな演奏です。もっとがっちりした音作りかと思いましたが、田園だからでしょうが全般的に歌っていて流線型の旋律も聴かせてくれます。第4楽章での爆発もありません。はじめは物足りなさを感じましたが、ベートーヴェンの音楽の良さがはったりなしにストレートに伝わってきます。余韻の残る音楽、噛めば噛むほど味が出るスルメタイプの演奏といえましょうか。
この第6番には流れるような旋律美と激性を合わせ持つワルターの名盤やべーム/ウィーンフィルによる来日時の絶品ライブ盤がありますが、この水準になるともう順番付けは意味がありません。ベートーヴェンの名曲を感動的に再現してもらったことへの尊敬と感謝です。
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