goo blog サービス終了のお知らせ 

ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

老犬は無駄吠えしない:グラン・トリノ(2009)

2009-05-18 18:12:38 | 映画:ミニシアター系
Gran Torino (2009)

これが俳優業最後の作品と言われているクリント・イーストウッド監督・主演のドラマ。俳優業としてはダーティ・ハリーに代表されるアウトサイダー的アンチヒーロー、監督業としては人間味のある硬派でストレートなメッセージ性の強い作品を作ってきたイーストウッド、この作品はその2つが組み合された秀作。

アメリカ中西部に住む妻に先立たれた元エンジニア、ウォルター(クリント・イーストウッド)。彼の住む地区には移民が多く、彼の隣にもアジアからの移民、モン族一家がやってきます。最初は彼らを毛嫌いしていたウォルターですが、ある事件をきっかけに姉弟と親しくなっていきます。


どうみても原住民を守る正義の老ガンマンですよ

実の息子たちともうまくやっていけない偏屈爺ウォルターは、かつて朝鮮戦争で敵兵を殺したことが心の傷になっています。それを懺悔したり、忘れようとするのではなく、自分の犯した事実とともに生きていくと神父に言うウォルター。この映画で辛いのは、この老人が親しい人々に攻撃的で孤独を好む理由が、彼の戦争時代の体験が原因だと感じ取れるから。だから傷を負った野犬のように差し伸べられた手に噛付く。
そこに現れた東洋人の移民家族と親しくなり「自分が殺した敵」と同じ位の年齢の青年タオにひとつづつ、自分の持っている知恵を与えていく彼。それは彼にとって、ずっと癒えることなく彼を苦しめていた心の重荷を少しづつ軽くしてくれたに違いない。自分では決して認めたくないだろうけれど。だから、彼らを守るためにどんなことでもする。


タオ役のこの青年(Bee Vang)も、いかにも真面目そうで適役でした。

この映画、西部劇だ!とも思いました。モン族がインディアン、イーストウッドがかつて早撃ちで有名だった老ガンマン。生きるか死ぬかの修羅場を経験してきた老ガンマンが、若者に伝える人生で最も大切なこと。生きていく上で一本筋を通すことの大切さ。なんかこんな西部劇あったような気がするなあ。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 涙の数は曲の数:1st(2008)/... | トップ | コミック調妖怪シューゲイザ... »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見ましたね (自宅軟禁状態ぷりぷり)
2009-05-19 13:01:27
この映画にはイーストウッドのメッセージが、満載ですよね。
アメリカを愛する男が、自分と同じ過ちを若い次の世代のアメリカ人に犯させる事無く自分の代で終わりにしよう。
そうすれば、これからの世の中はあのラストシーンのように穏やかに過ごしていけるんだよと言っているように思えたんですが、どうでしょう?

見る人の年齢によっていろいろなメッセージを受け取れる作品だと思いました。

返信する
泣きましたよ (ptd)
2009-05-19 23:27:07
かいちょ
そちらは大変な事になっている様ですね?
学校はお休みですか?

>アメリカを愛する男が、自分と同じ過ちを若い次の世代のアメリカ人に犯させる事無く自分の代で終わりにしよう。
そういう見方もありますね。戦争の悲惨さ、ということがベースにあるのは間違いないですね。
うーん深い映画なんだなあ。

私も一緒に行った知人も泣きました。でもただ悲しい涙じゃないんですよね。
なんというか、ミリオンダラーベイビーの時にもそうだったんですけれど、「これでよかったんだ」「これが一番正しい方法なんだ」っていう感動?みたいな涙でした。
返信する
Unknown (shit_head)
2009-05-20 10:31:36
イーストウッド最高傑作ですね。

おじいさんは最近のボンクラ社会にブーブー言ってましたが、そんな中自分の意志を伝えてもいいと思える若者に出会ったんですね。

それってスゲー感動的なことですよね。
いいストーリー。

ラストも良すぎて立ち上がれませんでしたね。

今年のベストです。
すでに。
つーか、ほとんど映画観てないけどね。
返信する
そうなんだ! (ptd)
2009-05-21 21:25:41
SHITさま

>おじいさんは最近のボンクラ社会にブーブー言ってましたが、
>そんな中自分の意志を伝えてもいいと思える若者に出会ったんですね。
そうか!そうなんだ!
いろいろな見方があるんですねえ・・・

SHITさまはイーストウッドに「この若者なら自分の意志を伝えてもいい!」と
思われるよな若者なんですね?
私は若者じゃないんで最初から数に入ってなさそうですけど。

>ラストも良すぎて立ち上がれませんでしたね。
私は救急車のシーンでは悲しくて画面が見れませんでしたね。

>今年のベストです。
イーストウッドのいいところを集めたような作品でした!
うん!
返信する
モンだった! (ラルフ)
2010-02-06 00:33:53
しまった、、、モン族でしたか。。。
タオは名前でした、またやっちゃったーー

西部劇っていうのも言われればそうですね!
イーストウッドぐらいの年の俳優さんは
西部劇的発想がベースになってるのかもしれませんね。
いい涙が流れました。。。
TB、お返ししますね~!
返信する
流れた (ptd)
2010-02-06 23:14:55
流れましたね
良い涙が。
も~これでもかってくらい。
タオもモンも似てますからいいんじゃないですかww
なんて無責任かしらん。

「チェンジリング」よりずっとこっちの方が良かったなあ。
見終わってからも考えさせられる映画です。

TB受け取りました!
返信する

コメントを投稿

映画:ミニシアター系」カテゴリの最新記事