熱血豪速球の男：アレキサンダー（2004）

オリバー・ストーンっていうと「プラトーン」や「ワールド・トレード・センター」の骨太でごっつい感じがぬぐえない私。この作品も史実を元にしっかりと作られた直球歴史ドラマ。盛りだくさんの歴史を行ったり来たりしながらの編集スタイルなので、ちょっと戸惑う部分もあり、もしこの映画をこれから見る方はまずあらすじを読んで置く事をおすすめ。NHK大河ドラマとおなじで、ある程度歴史上の史実が判っていないと辛いです（涙）。名前が難しいし。

ご存知紀元前３００年代に活躍した古代ギリシャ、マケドニア王国のアレクサンダー大王（コリン・ファレル）の物語。優れた行動力とカリスマ性、進んだ戦法で領土を広げ、エジプトやシリア、中央アジア、インド奥地まで侵略、ギリシア文化とオリエント文化が融合して生まれた華麗なヘレニズム文化は日本にまで影響を及ぼすほど。ミロのヴィーナスなんてだれでも知っていますね。そんな大仕事をした２０代の若い王の物語を、駆け足ぎみながらアレクサンダーと父親フィリッポス2世（ヴァル・キルマー）＆母親オリンピアス（アンジェリーナ・ジョリー）との愛憎を軸に見せる３時間！しかし3時間正面から豪速球投げられてちょっと疲れました。どうも私はもう少しファンタジー入ってないとダメなんでしょうか。「３００」とかみたいな。


一応奇麗どころ３人の左からアレクサンダー大王（コリン・ファレル）、カッサンドロス （ジョナサン・リース＝マイヤーズ）、ヘファイスティオン（ジャレッド・レト）。

もちろん目当てはジャレッド・レト。アレクサンダーの幼なじみ＆側近ヘファイスティオン役なんですが、絶対2人は出来てます(爆）。ウィキを調べたら、やっぱり歴史上もそのようです・・・アレクサンダーは愛するファイスティオンの死後、アテネにヘファイスティオン神殿を立ててしまったのだそう！正直言ってあまり強そうに見えませんが儚げなジャレッド適役です。惨殺されないし最後の死に顔はオフェーリアみたいに奇麗だし。少々生意気で明るい熱血アレクサンダーに対して、このヘファイスティオンは寡黙で繊細な、思慮深い人物。アレクサンダーが太陽ならヘファイスティオンは月ですね。


泣くなヘファイスティオン・・メイクが流れる・・ええもちろんウォータープルーフ？

豪速球な歴史ドラマではありますが、若く美しい伝説の英雄でも有りますから、そこは男同士ラブシーンやら最初の妻とほとんどレイプまがいのシーンやら、酒池肉林全裸もあって盛りだくさんです。この頃の倫理観というのはもちろん現代人の私たちにはちょっと理解を超えるものなのですねぇ？アレキサンダー役の コリン・ファレル、この人金髪似合いませんけど・・勇敢でカリスマ性を感じさせるかと思うと、生意気で切れやすい若者だったり、子供っぽく弱々しい面を見せる。なかなか役者です。


コリン・ファレルとアンジェリーナ・ジョリー。アンジェリーナ以外ギリシャ組は全然ラテン系に見えないんですけど、いいんですかね？

象の鼻切るのはちょっと怖いよ～。

最後の方のフィリッポス2世（ヴァル・キルマー）の暗殺に関するアレキサンダーとオリンピアスのやり取りのアンジェリーナ・ジョリーは迫力！！そしてカッサンドロス 役ジョナサン・リース＝マイヤーズ。奇麗なんだけど、目つき悪いしどことなく悪役風で何考えているか分からないこのカッサンドロス、次は是非主役で（笑）。そして気になったのがクレイトス （ゲイリー・ストレッチ）。渋くてクール、いかにも戦士なこのお方、一人戦闘服も露出が多いよ？誰？って調べたら、元ボクサー＆モデルの英国セレブ。ってこの方演技もなかなかでありませんこと？クレイトスが宴会の席でアレキサンダーと口論になる場面、これも映画の見せ場でした。


クレイトス （ゲイリー・ストレッチ）。渋いですねー！

左アレキサンダーの奴隷＆愛人バゴアス（フランシスコ・ボッシュ）。本職はバレエダンサー。ダンスシーン凄いです。必見です。体つきが凄く中性的で、男か女か分からないような雰囲気です。

私の中では、近い映画は「トロイ」なのかなあ。「トロイ」の方が歴史ヒーロー物としてより分かりやすくエンターテイメントの要素が強いかもしれません。でもこの映画、世間で言われていたほど酷くないです。お坊ちゃんコリン・ファースが許せるか許せないかが分かれ目なのかなあ？見て損は無いと思うし、前半はちょっともたつき気味だけど、後半は俄然面白くなってきました。結局気に入ってるんじゃないの、私？