ところが 黒魔女は
白魔女の攻撃を受ける瞬間に
悪魔を盾にして攻撃をしのいでいた
それで 白魔女が
ごきげんでいる隙を見て
「 火と水の河 」 という
魔法陣を描いていた
「火と水の河」・・・・
火は怒りを表し
水は尽きぬ欲望を表す
この魔法をかけられた者は
食欲 色欲 物欲 出世欲 など
心の中の欲望を増幅され
その激流に溺れていく
そして
その欲望が満たされない時に
心の中に怒りが現れ
身を焦がしていく
そして
悪魔の手先になっていく
黒魔女は
白魔女に向かって
呪いをかけたことを
悟られないように
黒い杖で魔法陣の中央を突いた
すると
欲望のどす黒い想念が
白魔女を包み込み
怒りの炎がその欲望の外側を
包み込んで燃え始めた
その瞬間
白魔女の目が赤くなり
こころが怒りに支配された
あかん・・・・!
天使は
怒りの目をした白魔女を見て
少しあせったが
白魔女に向かって言った
白魔女よ
聴く耳があれば 聴くがよい
汝(なんじ) は
主が創られし天使の末裔(まつえい)
汝は
白き魔法にて 愛に生きる者
よくよく
そのことを こころ に刻むべし!
天使は 正義の言霊(ことだま) で
力強い念を飛ばして
黒魔女の呪いを切った
すると 今度は悪魔が再び
天使に向かって 疑いの毒矢を打ってきた
白魔女は とっさに天使の前に立ち
その疑いの毒矢を 自分の体で受け止め 天使を守った
今度は そのやじりに悪見という
毒も塗ってあった
悪見・・・・
仏教でいう六大煩悩(ろくだいぼんのう) のうちのひとつ
主に間違った見方・考え方のこと
悪見には 主に
「 身見 ( しんけん ) 」
肉体のみが自分だと思っていること
「 辺見 ( へんけん ) 」
人間はあの世とこの世を輪廻転生している存在であるが
死んだら 何もかも終わりだというような
極端な考え方をすること
「 邪見 ( じゃけん ) 」
間違った宗教知識を持っていること
良い原因・行い があって良い結果がある
ということを信じないこと
などがある
白魔女は
その毒矢にやられてしまった