3月末をもって日本に帰国することがついに決まった。
短期駐在だったので、人よりハイペースで旅行の予定を入れてきたけれど、いつも2泊3日でアジア圏内のショートトリップばかりだった。
最後の最後はもうがっつり行ってやる!
ということで、1週間の南部アフリカ旅行を決めた。
費用はもう、思い出したくもない。。向こう2年分の旅行予算を使い果たしたわ笑!
さすがに治安面を考えると、今回ばかりはツアーを使わないわけにはいかず。こちとら(年はともかく、一応)女一人だし。何かあってニュースになど出たくないし。
でも、どうせ行くなら後悔のないように行こう、と思って、(高いけど)行きたいところ全部に行けるコースを選んでみた。
(ツアーとはいっても、シンガポールの旅行会社に手配依頼して組んでもらうツアーで、だいたいいつも自分1人+現地ガイドなので、いわゆる団体ツアーっぽくはない)
トラブルに見舞われたりしつつも、最高の思い出を作ってきたアフリカの旅。
6泊8日の旅ログにどうぞお付き合いください。
3月11日(月)Singapore to Zimbabwe... erh?
夜中の2時半。Changi空港から眠い目をこすりながら出発。
何度となく行き来したこの空港も、旅行で使うのは最後かと思うと早くも寂しい気持ちになる。
シンガポールからの直行便の玄関口は南アのヨハネスブルグ。あの悪名高い「世界で一番危険な街」だ。
とはいえ、さすがにそんなところに行く気は全くなく、3時間のトランジット待ちの後、すぐにジンバブエに飛ぶ予定。
およそ11時間弱のフライトなので、まぁ日本からヨーロッパの手前の方くらいの感覚かな。
ちなみに、日本から南アへの直行便はない(はず)。
香港・シンガポールを経由したり、ヨーロッパを経由したりして行かなければならないらしい。
これが、今回私がシンガポール在住のうちに南アに行きたかった理由の1つ。
朝7時過ぎにヨハネスブルグ国際空港に到着。
SQ(Singapore Airline)はほぼ満席の勢いで人が乗っていたのに、International Transitの方に進む人はほとんどいない。
しかもこのTransitの通路が薄暗くて、人気がなくて、なんだかこの都市の評判と相俟って必要以上に怖く感じる。
そうは言っても空港の中なので、そんな怖がることもないのだけれど。
ラウンジで時間をつぶしたりして(この間に日本時間では14時46分を迎えたので、ささやかながら黙祷)、乗り継ぎのSouth African Airlineの搭乗口へ向かった。
航空券に書かれたナンバーの搭乗口でしばらく待っていたのだけれど、空港のモニターのフライト一覧には一向にゲートナンバーが表示されない。
おかしいな、と思っていたら、しばらくしてゲート変更の表示が出たので、変更後のゲートに向かった。
そこには10くらいのゲートが横並びになっていて、他のゲートには行き先表示とともに「Boarding」「Departed」とかステータスが表示されていた。
で、私の乗る便のゲートには行き先表示だけでステータスは表示なし。誰も並んでいないし。
急にゲートが変更になったので、遅れているんだろうと思って、正面でしばらく待つことにした。
しばらくすると、数名の客がゲートの周りでなにやら騒ぎ始めた。
胸騒ぎがして、近づいて様子を見に行ってみた・・・ら、なんと「もう搭乗は締め切った」「ふざけんな乗せろ」という騒ぎになっている。
マジか!!!
まったく気づいていなかったのだけれど、私が来たときには既にほとんどの搭乗客が通り過ぎた後だったらしい。
「じゃあなんでモニターに何も表示されてないんだ」「モニターの不具合で」
「連絡して(滑走路に向かう)バスを呼び戻せ」「自分の権限ではなんとも」
と乗客数名でさんざん主張したのだけれど、結局「it's too late」と言われ、飛行機に置いていかれたことを認めざるをえなくなった。
取り残された乗客は5名(もっといたかも)。
カウンターに連れて行かれた私たちには、「次のフライトは明日の同時刻。今日は他社便も含めてVictoria Falls行きの便はない。バスなどの別の手段じゃ時間がかかりすぎる」という宣告がされた。
一番文句を言っていたのはアメリカ人の女性2人組。
可愛そうだったのは、アメリカ人のおじいちゃん。なんと奥さんだけが乗って先に行ってしまったらしい。
フライトがないという現実を突きつけられて、「文句を言ってる暇はない」と頭を切り替えることにした。
どうにもしようがないんだったら、ここで何時間もうだうだする気はない。
いっそのこと、まるっきり考えてなかったヨハネスブルグ観光でもしてやろうじゃないの。
こんなことでもなかったら、絶対に一生来ることなどなかったであろうヨハネスブルグに入れるチャンスじゃない?
ちょっとちょっと面白くなってきたーーー!
と持ち前のpositive thinkingが発揮されて一気に気分が楽しくなってきたので、Airlineの提示してきた条件を一番最初に受け入れて、翌日のチケットと今夜のホテルのバウチャーを手にしてその場を去ることにした。
思うに、私がこのときすぐに楽天的になれたのは、全部の荷物を手荷物として自分で持っていたからだと思う。
正直、アフリカの空港を信用していなかったし、何度もAirで移動しなければならなかったので、荷物を預けなくて済むように機内持ち込みできる最小限の荷物で飛んできたのだ。
仮に1泊だとしても、荷物が手元になかったら、もっと心細かったはずだ。
シンガの代理店から緊急連絡先として聞いていた南アの現地代理店に電話をして、事の次第を説明した。
今日はジンバブエに飛べなくなったので現地のホテルをキャンセルしてほしいこと、明日以降のスケジューリングをし直してほしいこと、何かを削らなければならないと思うけれどもし選べるとしたら優先的に訪れたい場所、それから今日半日空いてしまったので「なんかできませんかねー」という相談。
すると、「ちょうど午後1時に他のお客さんを迎えに行くガイドがいて、そのお客さんをホテルに送ったらフリーになるから、その後でよければ観光できる」と、なんともナイスな提案があった。
観光できる場所の候補としては、
1.ライオンパーク(子供のライオンを抱っこできたりするらしい)
2.ショッピング
3.SOWETO(黒人居住区)の見学
の3つ。興味があるのは3しかなかったのだけれど、やっぱり治安がどうしても気になる。
その辺どうなのよ?と聞いてみると、「ガイドはSOWETOの出身だし、観光客もよく訪れる場所だし、そんなに怖がらなくても大丈夫」という説明だったので、もうこの際行ってやれ!という気持ちになって、SOWETOを選択することにした。
ヨハネスがどれくらい危険かというと、
・駅を一歩出たところで銃を突きつけられて強盗された
・首絞め強盗多発
・車に乗っているときに赤信号になっても停まってはいけない。停まったら、前後の車から人が襲ってくる。
という、都市伝説レベルの実話が山のようにあるらしい。
W杯のときの事件の数々も記憶に新しい。
1人なのにとんでもないことになっちゃったなーという思いと、こんなチャンスない!大興奮!という思いが交錯して、ガイドと待ち合わせするまでの間、ずっと落ち着かない気持ちだった。
でも、旅ってトラブルから何が起こるかわからないのが醍醐味。
ガイドが迎えに出ることになっていた「他のお客さん」というのは日本人の卒業旅行中の大学生男子4人組で、南部アフリカを10日ほど旅して最終日、明日の香港便に乗るために今夜はヨハネスに泊まるのだという。
「せっかく来たから観光したい気持ちはあるんだけど、やっぱり治安が心配だし、まだ予定が決まってないんですよねー」という彼ら。
「じゃあ私これからSOWETOに行くんだけど、joinする?」「えっ?」
早速ガイドのローレンスに価格交渉。
私1人だと700ランド(だいたいx10で日本円)だったのだけれど、4人追加で1人400ランドにディスカウントしてもらえた。
大学生くんたちに伝えると、そのくらいの値段なら全然行ける、むしろ行きたいお願いします、と言ってもらえたので、一緒にSOWETOに行くことになった。
旅は道連れ!ディスカウントも有難いけど、若者男子が一緒ってものすごく心強い。
旅は道連れ!ディスカウントも有難いけど、若者男子が一緒ってものすごく心強い。
私にとってはもちろんだけど、彼らにとってもラッキーな出会いだった、と思ってもらえてるといいな。
ここまで旅ログというより、トラブルログみたいな話になっちゃったけど、いよいよここから旅本番!