想い出のモスグリーン

高知のリハーサルスタジオ【プレイヤーズラボ】の店主のブログです。

初めてギターで弾いたのは(1)

2016-07-16 18:16:06 | むか〜しむかし話
小学校の高学年の頃だったと思うが、父がアコースティックギターを買った。所謂フォークギター。そのギターでどんな曲を練習していたのかは知らない。
ある日、そのギターのボディバックが大きく割れていた。それを見て僕は驚いたが、同じ頃もっと驚いた事があった。父の腕に大きなあざがあるのを見たのだ。
そのあざはどうしたのかと尋ねたら、ネズミにかじられたのだと父は言った。

今考えるとネズミというのは母の事ではないかと思うのである。父は何かをしでかし、母の逆鱗に触れたのではないか。それが割れたギターと腕のあざの理由のような気がする。

そう思うと確かめたくなった。
父はもう何年も前に亡くなっているから、実家の母にさっき電話で訊いてみた。
母は笑いながら、父を叩いたことは無いと答えた。

母によると父の腕のあざは生まれつきのもので、人に見られたくないからと夏でも長袖を着ていたらしい。だが、僕は小学1~2年生の頃まで父と一緒に風呂に入っていた記憶がある。その頃は、父のあざにはまるで気づかなかったのだから、母の説明はすんなりとは受け入れがたいと思い、少し食い下がってみた。
母は、あざは肘の辺りにあり正面からでは見えないのだと教えてくれた。
そして父は子供に見せたくないと、相当神経を使っていたのだそうだ。
思い返してみると、父のあざを見たのはあの時の1回しか記憶に無い。

一方、ギターが割れていた事に関しては、まるで思い当たる事がないとのことだった。
どうやら、小学生の頃、同時期に目撃した二つの出来事には関連性は無かったようだ。

僕の予想は外れてしまったが、今更知らなかった父の事が分かって面白かった。

(つづく)