South of Planar

photographed by Carl Zeiss lenses

Planar 50mm 検証 (Nokton 50mm F1.1との比較)

2015-12-23 09:40:04 | Planar検証
フォクトレンダーのNokton 50mm F1.1はLeicaのNoctiLuxと似たスペックながら、価格が1/10で手に入るということで大変人気のあるレンズです。F1.1という大口径レンズを絞り開放で撮影した画像には他にない味わいが得られます。Mマウントレンズの中では大きく重い部類に入る428gの重量は歴代のNoctiluxと比較して十分にコンパクトで軽いです。また昨今のSONYのFEレンズはこれより遥かに重いレンズもあるのでα7に取り付けて使用しても大きさは気になりません。一方でLeica M3で使う場合、特に開放絞りではその薄いピントのせいで、なかなか意図通りにピントを合わせるのが難しく感じる時があります。今回はこのNokton 50mm F1.1とPlanar 50mm のMマウントレンズを比較してみることにしました。カメラはSONY α7Sを使いました。

まずはNokton 50mm F1.1の描写です。絞りはPlanarと合わせるためにF2.0としました。


次はPlanar 50mm F2の描写です。絞りは開放のF2.0です。(若干不利ですね)


両者に色味の違いはほとんど無いように見えます。Planarの方が周辺部は若干シャープに見えるように感じます。歪曲に関してはNokton 50mmの方が明らかに優れています。両者とも絞りf2で揃えましたが、これだけでは比較しにくいので中心部と周辺部で絞りを変えつつ撮影した等倍画像を並べてみることにしました。

まずは、中心部の描写です。上段がNokton 50mm、下段がPlanar 50mm、絞りがF1.1からF2までの比較です。


次は絞りがF2.8からF5.6です。(同じく上段がNokton50mm、下段がPlanar50mmです。)


次は絞りがF8からF16です。(同じく上段がNokton35mm、下段がPlanar35mmです。)


開放同士を比較すると、Nokton 50mmはかなりぼやっとしています。F2からF2.8ぐらいまではNokton 50mmの方がシャープでコントラストも高いですが、F4以降はほとんど差がなくなります。Nokton 50mm は開放では独特な柔らかさを楽しみ、ボケの大きさとシャープさの両方を求めるならF2からF2.8あたりを使うのが良さそうです。続いて、周辺部の描写を同じように比較してみましょう。

上段がNokton 50mm、下段がPlanar 50mm、絞りがF1.1からF2までの比較です。


次は絞りがF2.8からF5.6です。(同じく上段がNokton50mm、下段がPlanar50mmです。)


次は絞りがF8からF16です。(同じく上段がNokton50mm、下段がPlanar50mmです。)


Nokton50mmの絞り開放での光量落ちはかなり顕著です。F2同士の比較でもPlanar50mmの方がシャープでコントラストも高いです。F4ぐらい絞っても周辺がシャッキリせず、F5.6以降でようやくすっきりしてくるのは両方共通です。非球面レンズを使わないガウス型のレンズ構成は共通なので似たような描写になるのかもしれません。それにしても、Planar50mmはレンガのゆがみがとても目立つのに対し、Nokton50mmはほとんど気になりません。歪曲が好きでない私はNoktonの描写は好印象です。とはいえ、レンズアプリで歪曲は補正できますので、大きな問題にはならないかもしれません。

総評としては、Nokton50mmは絞りの違いによる描写の変化を楽しめるレンズと言えます。その分、Planar50mmと比較して重量が倍、直径も2cmほど大きくなって使い勝手は落ちてしまいます。なのでこの両者は撮影意図によって明確に使い分けることが可能な、個性がはっきりしたレンズと言えますね。

Planar 35mm 検証(Nokton 35mm F1.4との描写比較)

2015-12-12 00:14:39 | Planar検証
フォクトレンダーのNokton 35mm F1.4はLeicaの人気レンズであるSummilux 35mm F1.4と同じスペックながら、手ごろな価格で大変人気があります。絞り開放でのクラシックな味わいと、絞り込んだらキリッと締まった描写の二面性を持つ特徴も人気の秘密です。一方で、Planar 35mmは高評価のGマウントレンズの中では評価が若干別れるレンズです。この二つのレンズを同じ条件で撮影して比較してみることにしました。カメラはSONY α7Sを使いました。

まずはNokton 35mm F1.4の描写です。絞りはPlanarと合わせるためにF2.0としました。


次はPlanar 35mm F2の描写です。絞りは開放のF2.0です。(若干不利ですね)


Noktonの方が周辺部は若干シャープに見えるように感じます。また、一方で歪曲に関してはPlanar 35mmの方が少し優れているようです。ちょっとこれだけでは比較しにくいので中心部と周辺部で絞りを変えつつ撮影した等倍画像を並べてみることにしました。

まずは、中心部の描写です。上段がNokton 35mm、下段がPlanar 35mm、絞りがF1.4からF2.8までの比較です。


次は絞りがF4からF8です。(同じく上段がNokton35mm、下段がPlanar35mmです。)


次は絞りがF11とF16です。(同じく上段がNokton35mm、下段がPlanar35mmです。)


色の傾向が違うのはよくわかります。Planarはマゼンダ寄りですね。開放F値が違うので、F1.4からF2.0あたりは同条件での比較にはなっていませんが、F2.8ぐらいになるとほとんど差が無いですね。続いて、周辺部の描写を同じように比較してみましょう。

上段がNokton 35mm、下段がPlanar 35mm、絞りがF1.4からF2.8までの比較です。


次は絞りがF4からF8です。(同じく上段がNokton35mm、下段がPlanar35mmです。)


次は絞りがF11とF16です。(同じく上段がNokton35mm、下段がPlanar35mmです。)


周辺部の比較ではNoktonの方がほぼすべての絞りにおいて、シャープでコントラストが高く見えます。どうも結果は私の予想とは逆でした。周辺までビシッとしたHologonやBiogon、あるいは画面前面に均一で高解像なSonnarと比べると、Noktonの描写の目指すところが違うのかもしれません。昔のLeicaの35mmは必ずしも高コントラストではなく、モノクロームで撮影すると良い描写でした。いずれにせよNokton 35mmはかなりコストパフォーマンスが高い高性能レンズと言えると思います。





Planar 45mm GとPlanar 50mm ZMを比較してみた

2015-10-13 23:05:57 | Planar検証
巷の評判ではPlanar45mmの方が評判が良いようですが、果たしてホントに差があるのか、確認してみることにしました。
被写体はレンガの壁を選択しました。歪曲や解像度を見比べやすいかなと。カメラはSONY α7Sで三脚に固定しました。

まずはPlanar 45mm Gから。絞りは開放F2、ISO100です。


次はPlanar 50mm ZM。絞りは同じく開放F2、ISO100です。


いかがでしょうか?両方の描写は同じPlanar構成のレンズであって、大変よく似ています。若干色味が異なり、Planar 45mmはマゼンダより、Planar 50mmは黄色寄りでしょうか。どちらが実物に近いかは正直わかりません。歪曲収差の出方や量もほぼ同じぐらいですね。周辺の甘さ加減もほぼ同じように見えますね。これではちょっと差がわかりにくいので、絞りを段階的に変えて尚且つ、等倍で撮影したものを並べてみました。

まずは中心から。上段がPlanar 45mm G、下段がPlanar 50mm ZM。絞りはF2~F4です。


同じく上段がPlanar 45mm G、下段がPlanar 50mm ZM。絞りはF5.6~F11です。

取っ手の部分にピントを合わせていて、その部分の画質に着目しているのですがほとんど差がないですね。目を皿のように見比べると、45mm Gはちょっと開放のコントラストで負けてるかもしれません。

次に右上隅の周辺部分の比較です。上段がPlanar 45mm G、下段がPlanar 50mm ZM。絞りはF2~F4です。


同じく上段がPlanar 45mm G、下段がPlanar 50mm ZM。絞りはF5.6~F11です。

こちらも傾向としては大変よく似ており、絞り込むにつれてシャキッとしてくる度合いも同じような感じです。とはいえ、目を凝らしてよく見るとPlanar45mm Gの方がどの絞りにおいてもほんの少しだけシャープに見えなくもないです。ただ、5mmという微妙なの焦点距離の違いによる見え方の違いではないと言い切れない感じがします。

今回のように平板な被写体では明確な差や両者のキャラクターの違いは見えにくいかもしれません。ですがどちらかひとつ選べと言われれば好みとしては私はPlanar 45mm Gかなぁ。


Planar 45mm検証(SONY α7S vs ネガフィルム 近接編)

2015-04-18 12:46:50 | Planar検証
これまで、デジタル(SONY α7S)とフィルムのレンズ固定での撮り比べは、下記を記事にしてきました。

・Planar35mm検証(SONY α7s vs ネガフィルム 遠景編)
・Planar45mm検証(SONY α7s vs ネガフィルム 遠景編)
・Planar 35mm検証(SONY α7S vs ネガフィルム 近接編)

今回は、Planar 45mmでの近接編での検証になります。条件はこれまでと同じ、フィルムはNikon Coolscan 5000EDでスキャン後にPhotoshopでレベル補正のみ、デジタルはα7SでRaw撮影後、Lightloomでストレートに現像のみです。意図的なシャープ処理やノイズ除去等は実施していません。

まずはフィルムです。

CONTAX G2 KODAK GOLD200

次はデジタルです。

SONY α7S ISO200

フィルムは若干赤みが強い感じになってしまいました。フィルムの方が画角が広いのはPlanar35mmと同じです。鳥の胴体あたりを比べると被写界深度がデジタルの方が浅い感じがします。ピントの合い方の違いが原因でしょうか。α7Sは鳥の目に合わせたのですが、フィルムの場合はCONTAX G2ですのでどこに合ったのかは正確にはわかりません。フォーカスフレームは鳥の目を狙ってますが。画面周辺部も前景/後景ともにデジタルの方がぼけ方が大きいように見えます。とはいえ並べて比較してわかる程度の差なので両方とも十分な画質を確保していると思います。


Planar 35mm検証(SONY α7S vs ネガフィルム 近接編)

2015-02-28 00:41:20 | Planar検証
昨年、デジタル(α7S)とネガフィルムで撮影したものを比較した記事を書いたところ、いまだに大変アクセスが多いのでその続編を作成しました。前回は遠景の撮り比べだったので今回は最短撮影距離の50cm付近で絞り開放で撮影しました。今回も前回同様、α7SはRawで撮影したデータをLightroomでストレートに現像し、フィルムはNikon coolscan 5000EDでスキャン後にPhotoshopでレベル補正のみ行いました。どちらもシャープ処理やノイズ除去等の画像処理はしていません。

まずはCONTAX G2で撮影したフィルムです。

フィルムはKodak Gold 200です。

次はα7Sで撮影したデジタルです。

ISOは200で揃えてあります。

最初に目につくのは画角の違いです。α7Sの方が狭いです。焦点距離で2~3mmの差がありそうに感じます。レンズは同じなのに不思議ですね。右側の花の前ボケに着目すると粒状性の違いからどちらがフィルムで撮影したものか区別が付きますね。両方甲乙付けがたいですが、私は色に深みが感じられるフィルムの方が好みだったりします。みなさんはいかがでしょうね?

■以前の記事
Planar35mm検証(SONY α7s vs ネガフィルム)

Planar35mm検証(SONY α7s vs ネガフィルム) その2

2014-11-23 09:11:14 | Planar検証
SONYからα7の後継機であるMarkIIが発表されましたね。α7Rやα7sのMarkIIも期待したいところです。

さて、Planar35mm、45mmをα7sとフィルムで撮り比べした結果は少し前に紹介しました。Planar35mmはこちら45mmはこちら。この時に紹介したのは絞りF8の遠景を撮影した写真でしたので、少し条件を変えて今回は「絞り解放、最短撮影距離付近」での結果で比べてみることにしました。

まずはフィルムです。撮影はCONTAX G2 フィルムはコダックGOLD200、絞りはF2です。


次にデジタルです。撮影はSONY α7s、ISO200、同じく絞りはF2です。

真っ先に気が付くのが、CONTAX G2で撮影したフィルム画像のピントの甘さです。AFで失敗しないように真ん中の熊のぬいぐるみでピントを合わせたのですが、わずかに前ピンとなってしまったようです。網目の繰り返しの絵柄がAFの合焦精度に悪影響を及ぼしたのかもしれません。一方でα7sではピント拡大機能でキンキンに焦点を合わせたのでこちらはバッチリピントが来ています。今回の結果で、図らずしもCONTAX G2の弱点が露呈してしまいました。すなわち、撮影時にはピントが合っているかどうか、合っている部分がどこなのかが大まかにしかわからないという構造上の弱点です。今回の結果はピント精度のせいでフィルムとデジタルの画質の違いの比較は厳密には難しい結果となりました。でも、ピントの問題を抜きにして両方の写真を見ると、周辺部の画質含めさほど差がないと言えそうな気もしますね。いかがでしょう?

Planar35mm検証(SONY α7s vs ネガフィルム)

2014-09-15 18:20:32 | Planar検証
Planar45mmの検証に続き、Planar35mmでも検証してみました。
追記:α7sはAdobeRGBで撮影していますがIDC(V4.02)が正しくAdobeRGBを認識していないことが判明したため、Lightroomで現像しなおしました。

条件は同じです。
・撮影はフィルム感度(Gold200)に合わせて両方ともISO200、絞りはF8。フォーカスは無限遠。
・α7sはSONY純正アプリのImage Data Converter Lightroom5.6で標準設定現像。シャープ等の処理は一切してません。
・フィルムはNikon 5000EDとVuescanでスキャン。Photshopでレベル調整とトーンカーブ調整のみ。

まずはフィルムから。


次はα7s。

周辺の色かぶりは全くないと思います。パッと見では両社を区別するのが難しいですね。空の粒状感を見ればわかりますが。

次は中心部分を解像度を揃えて並べてみました。

解像感ははっきりα7sの方が一枚上手ですね。もしかするとフィルムの方はピントがきちんと合っていない可能性もあります。オートフォーカスレンジファインダーというG2のシステムの泣き所です。

次は周辺部分を解像度を揃えて並べてみました。

こちらも解像感はα7sの方が上ですね。周辺の乱れは皆無です。一方でフィルムの方も中心部よりは解像度が高く見えます。フィルムの場合撮影時やスキャン時にその平面性が大きく影響を与える場合があります。その意味では、フィルムの方が不確定な要素を含みますね。

Planar35mmとα7sの組み合わせは、Biogon28mm以下の焦点距離で見られた周辺部の色かぶりや像の流れが一切ないとても良い画質で撮影が出来ました。失敗できない撮影の際には35mmより長焦点側のレンズを使うと安心して使用できそうです。








Planar45mm検証(SONY α7s vs ネガフィルム)

2014-09-15 10:10:59 | Planar検証
兄弟ブログのHologon検証Biogon検証に続き、Planar45mmでも検証を行ってみました。こちらはCONTAX G2を使っています。
(追記:Sonnar検証もUpしました。)
α7sはAdobeRGBで撮影していますがIDC(V4.02)が正しくAdobeRGBを認識していないことが判明したため、Lightroomで現像しなおしました。

条件は同じです。
・撮影はフィルム感度(KODAK Gold200)に合わせて両方ともISO200、絞りはF8。フォーカスは無限遠。
・α7sはSONY純正アプリのImage Data Converter Lightroom5.6で標準設定現像。シャープ等の処理は一切してません。
・フィルムはNikon 5000EDとVuescanでスキャン。Photshopでレベル調整とトーンカーブ調整のみ。

まずはフィルムから。



次はα7s。

パッと見では区別できない感じです。全体的な粒状感で区別はつきますが並べないとわからないかもしれません。Hologon、Biogonのような周辺での色かぶりは一切見られません。

次は中心部分を解像度を揃えて並べてみました。

α7sの方はシャープ処理で直線がくっきりしているので解像度が高そうに見えますが両社ほぼ同等な感じです。観覧車の骨組みの部分はフィルムの方が自然です。レンガや屋根の模様はどちらも解像していないのでレンズ性能の限界なのでしょう。

次は周辺部分を解像度を揃えて並べてみました。

中心部と印象は全く同じですね。Hologon、Biogon21mmと違いα7sの周辺画質の劣化は見られません。さすがにこの焦点距離になると画面全面の均質性は問題がありません。

総評としては、α7sとフィルムそれぞれの個性の違いがあり優劣は一概につけられないと思います。フィルムの粒状感はモニターの画面で拡大して見ると好ましくないけれどもプリントした時にはこの粒状感が原因で画像に立体感がでるケースもあり、私はデメリットとは思っていません。時間が出来たら両方をA3程度でプリントして比較してみたいと思います。