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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
平成の初めの頃。
* あいどるチーコちゃん、行方不明となる
今は、とある深夜のこと。
血を滴らせた腕が、ワープロのキーを、
ぽっつりぽっつりと、押し込んでいた、
私の首を、ガッと絞めに来た。
ギャーーッ!
家族の眠りを妨げるような3人の子持ちのオッさんの悲鳴。
心臓が、数回転ダンスした。
なーんだ。
振り返ってよく見ると、奈良県は西の京の唐招提寺の、
ごく近くに住む千手千眼観音・観女センティから、
不可思議な能力を持つ、わが250ccの手のない、
愛バイク・「Sサヤカ」の為に、リースしてやっている、
リース手だった。
センティは、1,000本近くもある手の貸し出しを、
してくれている有り難い存在だ。
半分は、慈悲のため、あとの半分は、
金のためだそうである。
その金の使い道を、
私は、聞いていないので、知らない。
きっと、何か深い事情でもあるのだろう。
超プライベートなことなので、
訳は、聞かないことにしている。
そのサヤカのコントロールの元に動いている手が、
しきりと、私の肩を叩いては、ワープロを指差す。
きっと、誰かに重大な事件が、起ったに違いない。
私は、すぐさまワープロを、通信用に切り替えた。
屋久島に住む樹齢2,500年以上という縄文杉の、
ジョジィじぃさんが、主催するパソコン・ワープロ通信と
テレパシー通信との相互乗り入れが、
可能な「縄文通信」ネット(略して、「縄通」ネット)に、
アクセスを開始する。
「縄通」ネットとは、私が、ジョジィを唆して、
開設させた人間界と非人間界との交流を計るために、
設けられた、非常に便利な通信網のことである。
ネットには、大阪府吹田市の万博公園に住む、
太陽の塔・タイタイからのメールが、1通届いていた。
{オッさん、チーコちゃんが、3日前から帰ってこない。
兄貴のコガ坊に問い合せたが、甲賀にも帰っていない。
至急来て、一緒に捜してくれないか}と言うことだった。
つづく