「おい。お前!」
キンケイドは、アタッシュケースの蓋を乱暴に閉じると責任者を指差した。
「ケッチャムさんはよぉ!つまりは退院してぇって言ってるんだよ!!
患者の意志を無視してもいいってぇのか?
お宅んとこのインフォームド・コンセントはどうなってんだよ!」
男はクスリと笑うと、
「随分な鼻息ですねぇ。Mr.キンケイド。
わが社にはそれに優先するリスク管理ってものがあるんですよ」
そう言って、懐に手を素早く忍ばせた。
キンケイドは、テーブルの上のアタッシュケースを、男の顔目掛けて投げつけた。
アタッシュケースは男の顔面を直撃し、男は布の人形のように壁に叩きつけられぐにゃりと体をしならせながら床に崩れ落ちた。
「キンケイド!」
僕は彼を睨むと、男のもとに駆けつけた。
息がある。
気を失っただけらしい。
「人を殺しちゃいけない!」
僕は彼を叱咤した。
「やらなきゃ。俺たちが、確実に殺られてたさ・・・・・・。
見ろよ」
キンケイドは、男を足で転がすと懐の銃を見せた。
「こいつ、オレを知ってやがった。
・・・・・・オレも有名人になったもんだぜ」
僕は手早く男のジャケットから銃と鍵の束を抜き取った。
それとほぼ同時に非常ベルが棟全体に鳴り響いた。
「来い!ケッチャム!!」
キンケイドは彼を抱えるようにして、走り出した。
「人命は大事だ。殺すなよ」
僕が念を押すと、キンケイドは目を皿のようにして、肩をすくめた。
「ったく。お前は根っからの医者だなぁ。
あいつらの人命よりも、俺達の人命を尊重してくれよ」
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「ケッチャムさんはよぉ!つまりは退院してぇって言ってるんだよ!!
患者の意志を無視してもいいってぇのか?
お宅んとこのインフォームド・コンセントはどうなってんだよ!」
男はクスリと笑うと、
「随分な鼻息ですねぇ。Mr.キンケイド。
わが社にはそれに優先するリスク管理ってものがあるんですよ」
そう言って、懐に手を素早く忍ばせた。
キンケイドは、テーブルの上のアタッシュケースを、男の顔目掛けて投げつけた。
アタッシュケースは男の顔面を直撃し、男は布の人形のように壁に叩きつけられぐにゃりと体をしならせながら床に崩れ落ちた。
「キンケイド!」
僕は彼を睨むと、男のもとに駆けつけた。
息がある。
気を失っただけらしい。
「人を殺しちゃいけない!」
僕は彼を叱咤した。
「やらなきゃ。俺たちが、確実に殺られてたさ・・・・・・。
見ろよ」
キンケイドは、男を足で転がすと懐の銃を見せた。
「こいつ、オレを知ってやがった。
・・・・・・オレも有名人になったもんだぜ」
僕は手早く男のジャケットから銃と鍵の束を抜き取った。
それとほぼ同時に非常ベルが棟全体に鳴り響いた。
「来い!ケッチャム!!」
キンケイドは彼を抱えるようにして、走り出した。
「人命は大事だ。殺すなよ」
僕が念を押すと、キンケイドは目を皿のようにして、肩をすくめた。
「ったく。お前は根っからの医者だなぁ。
あいつらの人命よりも、俺達の人命を尊重してくれよ」
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