乃琶の独り言

ピアノを勉強している管理人(現在術後療養中)が、日々で想うこと、練習やレッスン、聴いた曲の感想などを徒然に書いています。

ティム・バートンの「コープス・ブライド」

2005年10月23日 21時24分19秒 | 本・映画・ドラマ




ひさしぶりに映画を見てきました。
ティム・バートンの「コープス・ブライド」。
すっごい良かったです!!!

映画館で、ひさしぶりに泣けました。

家柄が欲しい成金の家と、お金が欲しい由緒正しい家柄の家との政略結婚、
ということから物語は始まります。
人々の欲や見栄など、そんな醜いものがどろどろと渦巻く現世と
生命の輝きが失われてしまっているのに
人情や温かさに満ち、活気にあふれている死後の世界、
その二つの世界を股にかけて
男女三人が織りなす三角関係・・・。

と言えば、これまたドロドロに輪をかけたお話かと思いきや、
全くそうではなく、
主人公三人が真に純粋であり、
心から、愛する人と、そしてもう一人の人間の幸福を願い、
それゆえ悩み苦しんだりすると言うのが心にぐっと来るのです。

気弱で優柔不断で、己の危機を自ら招くと言うへまをやらかしてしまう
ビクターは、なぜか憎めないキャラクター。
心底優しいその姿には「シザー・ハンズ」のハサミ男に通ずるものがあります。
コープス・ブライド(死体の花嫁)、エミリーは
朽ちかけた肉体に花嫁衣装をまとっていて
目玉がしょっちゅう落ちたり、腕がとれたりとか、正直とてもグロテスク。。。
なはずなのに、
一番積極的で行動力があり、キュートで愛らしさに満ちあふれていて、
ちっとも気持ち悪くない・・・。
そして、もう一人のヒロイン、ビクトリアも
一見内気そうに見えて、実はすごい行動力と勇気で
愛する人を救おうと奔走する・・・。と
主人公三人三様に、非常に魅力的なのです!

この物語に一貫して描かれているのは
人間の優しさ・・・と言うことでしょうか。
そういう主人公たちの深い優しさと
その周りを取り巻く者たちの底抜けの優しさに
何度も胸を打たれ、涙しました。

次に、絵が非常に美しい!
CGではなく、ストップモーション・アニメと言って、
すべてパペットをパペット・アニメーターが少しずつ動かして
それを一コマ一コマ撮影していくという、気の遠くなるような作業の積み重ねで出来た映像ですが、
細部まで詳細に作られ、描き込まれた精緻な世界は
どこをとっても、ハッと息をのむ美しさ。

濃い茶色と白のダークなトーンで描かれる現世の男女と、
青白いトーンで描かれる死後の世界の花嫁との対比も
幻想的で、お互いを引き立て合っていて、とても素敵でした。

声優出演している、豪華キャストも見逃せません。
ジョニー・デップは、「シザー・ハンズ」以来、ファンでいつも気になる俳優ですが、
声だけでもその存在感を、多いに示していました。
「眺めのいい部屋」のヘレナ・ボナム=カーター、「ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ」のエミリー・ワトソンなど
しっかりとキャラクターと見事に同化しているのには感動でした。

最後に、ダニー・エルフマンの音楽もすごく良いです!
切なくて愉快でちょっぴりブラックな
ティム・バートンの世界をいっそう深めてくれています。
音楽も絡めて、特にビクターとエミリーがピアノを連弾するシーンが
とても好きです。

公式HP→ティム・バートンの「コープス・ブライド」