都市 残暑 ３

　路地に入ったら、道端に大きな水槽、金魚が涼しげに泳いでいる。
家の中に撮らせてくれと声かけると「どうぞ」といって老女が出てきた。
　この近くでは名物らしい。通りがかりの小学生や、園児たちはしばしここに立ち止まるという。
　「お店の看板代わりになりますね」と私が言うと。ご主人がなくなって、数年前に店はやめたという。
　さばさばとして話好きの人だ。
この水槽が老女と近所とを取り持っている気がしてきた。
水槽の写り込みはないほうが良いに決まっているが、老女との出会いの記念に。