”川越 伊佐沼にて”
「乗っ込み」という言葉をご存じだろうか。
釣りをする人にはおなじみの言葉だ。
冬の間水を抜いていたこの沼に、
今勢いよく水が注がれている。
釣り人は皆この時期を待っていた。
魚が産卵のために、浅場に群れをなして押しかける現象だ。
ふるさとが諏訪湖の近くだった私には懐かしい言葉だ。
子供が小さかった時、田んぼの数十センチ幅の浅い水路で、
20cmオーバーの鮒を釣った。
「僕釣り上手でしょう」。と有頂天になった。
それもこの乗っ込みのなせる業だ。
小学校低学年と思われる男の子を連れた母子。
「魚、何してるの?」
母親:「魚が喧嘩してるの」。 「ふ~ん」。
会話はそれでおしまい。
おいおい、それはないよとのど元まで出かかったが、母子は行ってしまった。
私がしきりにカメラを向けていたので、
同年輩のご夫婦に話しかけられた。
「乗っ込み」という言葉は初めてだという。
私が説明して、一年のうち今頃の時季に起こる現象で、
数日間で終わってしまう。と話すと、
「私たち良い時に居合わせたのね」とご夫婦。
これが自然の姿だよな。 若い母子のストレスから少し解放されました。
大きいのが♀で小さいのが♂かな?
こんなに目がしっかり撮れたのは初めてです。
奥多摩湖、秩父湖などは終日谷間にこの水音が響き渡ります。