今更気づいてしまって何なんですが、別口入力[な]に後続する仮定形「なら」の扱いについて魚の骨が喉に引っかかったような違和感がありましたので記事にしたいと思います。
今のところ基本コンセプトにおいては、別口入力[な]の用法は形容動詞の連体形-となっており特に触れてはきませんでしたが、改定コンセプトにおいて別口入力[だ]の用法が1.断定の助動詞(終止形) 2.形容動詞(終止形)の活用語尾 に加えて
「だ」(ろう) - (未然形)
「だ」(った) - (過去形)/
「だ」(っけ) -(確認の終助詞)/
「だ」(っ[て]) - (引用の格助詞)
「だ」(ぜ) - (終止形+終助詞)
…等の活用接続バリエーションに対応して改めて用法の範囲を拡大しています。これに対して「だ」の伴走者たる「な」は同様の関連が深いにもかかわらずこちらについての拡張はまだ手つかずでありました。
これには、見落としがちでしたが仮定形の「なら」が断定の助動詞/形容動詞 両者に存在しておりこちらの場合についてはなんとなく別口入力で入力するのかな…と思わせつつはっきりとは言及していませんでした。
少しぎこちないのですが、以下のように入力します。
「なら」→[な]ら
…[な]は連体形のときの個別感のあるパーツ然としていた時のイメージが強すぎて、この仮定形のように一連の流れに埋没した「なら」をいちいち[な]らと欠片で入力するのにうまく入っていけない抵抗感があります。
別口入力関連ではこれと同様の例に「便利キー[し]」のときの命令形 [し]ろ や、別口入力[だ]のときに終助詞と一体化している[だ]よ などの分離感のないものを無理やりマーキングすることに通じる違和感と根っこは同じです。
ただこれは「真なら」という場合には[な]必須で、「芯なら」という名詞由来のものなら[な]を省略したべたの入力とする…のような使い分けもできるかもしれませんがあるいはファジー的にして基本的に省略するしないがどちらでも良きに計らって解釈するというのは良さそうな処置ではありますが気安く濫用し過ぎるのもあまり好ましい事ではないかと思います。
定義の段階からこの調子では腰砕けですのではじめの一歩においては背筋を伸ばす意味でこの「なら」のようなときでも厳密に[な]ら と入力するのを推奨したいと思います。
感覚的には慣れが必要かもしれませんが適切な文解釈のためにもひとつの構えとしてもっておきたいところですのでどうそご理解のほどお願いいたします。
また、「な」は形容動詞連体形として一般名詞の前に配置される典型的な用法もありますが、準体助詞「の」と結びついた場合でも連体形として形式上機能しています。入力例として以下のような例があります。
「な」([の][か])
「な」([の][で])
「な」([の][に])
「な」([の][だ])
「な」([の][が])
「な」([の][は])
「な」([の][を])
「な」([の][と])
「な」([の][も])
「な」([の][や])
「な」([の]さ)
「な」([の]よ) 等
こちらに関しても中途半端に「なの」だけべた入力で[だ]を別口入力するといったイレギュラーな入力はかえって混乱を増してしまうのでこちらも律儀に[な][の][だ]とひとつづつ入力していくのを推奨します。
ただ、砕けた言い方の「-なんだ」「-なんで」のときは全べたの入力でも許すこととします。この辺のさじ加減は難しいところですが具体的な開発段階が持ち上がったところで調整していけば良い事かと思います。
さらに「な」が末端にきて終助詞として機能するときもあります。その場合は従来の<断定の助動詞/形容動詞の連体形>とはまた別の用法になりますがこちらについても対応していわば両建ての構えをとります。
終助詞の「な」には感動/詠嘆・禁止・願望・念押し・命令/忠告といったさまざまな用法がありますがこれらすべての終助詞を別口入力[な]で取り回していきます。
ただし「な」が間延びした「なぁ」や「なー」などは字面の通りにべたで入力しても良いものとします。
さらに通常の動詞や形容詞・形容動詞のほかへの接続としては
「感謝だな」「閉店ですな」「盲点やな」「皆無じゃな」
のようにコピュラ動詞「だ」「です」(会話調のものとしては「や」や「じゃ」も)の末尾につく「な」もあります。
さらに「な」は名詞・形容詞・形容動詞そして一般動詞・ル形動詞・コピュラ動詞のあとに接続して終助詞ニュアンスをつけるばかりでなく、
別口入力助詞や別口入力パーツ[て][し]のあとについてニュアンスを付加する例も見られます。
(例):「お前がな」「お前もな」「お前とはな」「お前でもな」「普段はな」「電話をな」「達者でな」「ビンボーのくせにな」「ポチッとな」「鳥取のな」「デートへな」「大丈夫かな」「あと証拠とな」「頑張ってな」「用意しな」
これら助詞+な のカタチは末端部にあらわれてそれぞれの調子をもつ/整える はたらきをしています。
「な」の"終助詞力"は高くこれ以外にも様々な文法要素に接続して「な」をたった一つつけただけでさまざまな含意を相手に示すニュアンスをしっかりと出せるだけの力を持ったパーツとなっています。上記以外での接続要素としては、以下のようなものがあります。
(例):「よりな」「からな」「までな」「すらな」「けどな」
もっとより深く掘り下げていくと、「『それがどーした?!』ってな」で使われている[て][な]の[て]は引用の[て]であり語尾も終助詞的な「な」というよりは「…ってな具合に」と続くように名詞の前にきて連体修飾している色彩が強いので、本来の連体形の「な」の使用感覚に近いものがあります。
それはもとより「ような」「そうな」「みたいな」のような基本的言い回しについても見解を示していませんでしたが、同様のの使われ方の別口入力[に]の場合の接続例:「そうに」「ように」の場合も[に]の別口入力をともなっていくと定めているので「な」でも同じ類として別口入力を付随させる方針とします。
ただし既述になりますが「こんな」「どんな」「おかしな」「いろんな」「ろくな」等の一部の連体詞は[な]の別口入力はせずにひと続きのべた文字列としてタイピングしていくことは念押ししたいと思います。
連体詞と「な」の関係はとても微妙で「な」のつく連体詞も散見されているものの「ひょんな」や「異な」では[な]をあえて付随させたいものもありその定義がしっかり確立できてはおりませんがこれについてはまたの機会でいずれ議論していこうかと思いますのでここでの言及は避けたいと思います。
あと言及していない「な」の用法としては間投助詞の「な」(なー)があります。例えば「見たらな、歩いてな…」のように調子を整えるために句末に挿入される「な」です。こちらに関しては文解析上特に困難な点もないので入力においても適宜マーキングしていけばよいでしょう。
ここまで「な」についていろいろ論じてきましたが同じような頻出助詞の「ね」のほうは特に別口入力が用意されているわけでもなくべたで入力していくことになります。
「ね」に限らず日本語では終助詞の種類が役割語としてもキャラクター性の創作要素としてもいくらでも考えつくほど計り知れない面があるので終助詞の全てを別口入力していくというのはあまり現実的ではありません。ただ場合によっては構文解釈に支障をきたすような誤変換誘発語尾もありますのでこの辺はもっとデータを蓄積して対処していきたいところです。
最後にちょっと大きな難題が残っていまして対応を計りかねているのですが、それは古文・古典の言い回し全般に関するものの表現を一体どうしていこうかという問題です。
古典で使われる「な」には以下のような例があります。
・「花の色はうつりにけりないたづらに 我が身世にふるながめせしまに」(小倉百人一首 小野小町)では詠嘆の終助詞「な」が使われています。
・「君があたり見つつも居らむ生駒山 雲な隠しそ雨は降るとも」(伊勢物語 筒井筒・新古今和歌集)では陳述の副詞「な」が「そ」へ呼応する流れでやんわりとした禁止の意をもちます。
・「てしがな」「にしがな」「もがな」もこれ全体でひとつの単語(願望を表す終助詞)となります。
どれも重要な働きを持つ「な」の使われ方ですが、ペンタクラスタキーボードにおいて古典表現の細かなバリエーションに逐一対応していくというのはかなり難しいでしょう。
仮に「うつりなけり[な]」と入力してマーキングしたとしてもコンピューターは構文の意味構造を把握したうえで配置されたとは認識せずに、単に連体修飾や間投助詞であるかのように見当違いの解釈のままマーキングがおこなわれますが区切り目であることは認識しますので図らずも結果オーライでチャンク分解がおこなわれる結果となるかも知れません。
「雲[な]隠し(そ)」については特殊で今まででてこなかった呼応で結ぶ副詞だというのですからコンピュータにとっても思いもしない、認識しようもない用法でありますので対応するのは難しいでしょうが初回は煩わしいかと思いますが手直しして頂いてその後の学習や登録に委ねるしかないようです。
現代において編集自在の古文を創作的に駆使するというのはあまり考えにくいですし、引用・解説的に使われるのがほとんどでしょうから対処策としては単純に有名どころの言い回しの古文を個別的・機械的にデータをはじめから入れておけばなんとかなるかな、とも思います。
文法的意味合いを理解していないままではありますがなんとかその場しのぎに変換はできるのではないでしょうか。
…と、まあこのように消極的な姿勢で申し訳ないのですが、現代語においても方言や口語スラングに十全に対応しきれていない今の状況では古典表現にまできめ細かく対応していくのは難しいかと思います。
ですので頻出語だけ辞書語彙を厚くしていくということでここはお茶を濁したいかと思います。
「てしがな」「にしがな」「もがな」についても辞書対応ということで「言わずもがな」あたりの定番表現ももちろん入れておいた方がいいです。それほど気にすることの事ではないかもしれませんが、モダンガール(モ・ガ)という語があるので「-な」の適用に引っかかって「モガな」という語がひねくり出されないとも言えませんので「もがな」が辞書にあることに越したことはありません。一応、念のため。
というわけで「な」の別口入力適用範囲を拡大していったわけですが文法的・構文解釈に関わる影響もさることながら仮定形「[な]ら」の持て余し感や律儀に[な][の][だ]と別個に入力していくというちょっとしたクセのようなものであるとか、ユーザーの感覚に抵抗感のありそうな改定も含まれた内容となりました。
もちろん感覚が受け入れられずに「なら」「なのだ」をべたで入力していきたいというユーザーもおられるでしょうからべたの入力であっても特異な変換をせずに柔軟に解釈していく余地というのも残しておかなければいけないなと思います。
「な」の違和感については慣用的・習熟的に対処していくんだと地道に周知していけばきっと受け入れられるのだと信じて、別口入力自体のもつ元来の性質、賦性(ふせい)をより活かしていく運用ができることを目指していきたいと思います。
今のところ基本コンセプトにおいては、別口入力[な]の用法は形容動詞の連体形-となっており特に触れてはきませんでしたが、改定コンセプトにおいて別口入力[だ]の用法が1.断定の助動詞(終止形) 2.形容動詞(終止形)の活用語尾 に加えて
「だ」(ろう) - (未然形)
「だ」(った) - (過去形)/
「だ」(っけ) -(確認の終助詞)/
「だ」(っ[て]) - (引用の格助詞)
「だ」(ぜ) - (終止形+終助詞)
…等の活用接続バリエーションに対応して改めて用法の範囲を拡大しています。これに対して「だ」の伴走者たる「な」は同様の関連が深いにもかかわらずこちらについての拡張はまだ手つかずでありました。
これには、見落としがちでしたが仮定形の「なら」が断定の助動詞/形容動詞 両者に存在しておりこちらの場合についてはなんとなく別口入力で入力するのかな…と思わせつつはっきりとは言及していませんでした。
少しぎこちないのですが、以下のように入力します。
「なら」→[な]ら
…[な]は連体形のときの個別感のあるパーツ然としていた時のイメージが強すぎて、この仮定形のように一連の流れに埋没した「なら」をいちいち[な]らと欠片で入力するのにうまく入っていけない抵抗感があります。
別口入力関連ではこれと同様の例に「便利キー[し]」のときの命令形 [し]ろ や、別口入力[だ]のときに終助詞と一体化している[だ]よ などの分離感のないものを無理やりマーキングすることに通じる違和感と根っこは同じです。
ただこれは「真なら」という場合には[な]必須で、「芯なら」という名詞由来のものなら[な]を省略したべたの入力とする…のような使い分けもできるかもしれませんがあるいはファジー的にして基本的に省略するしないがどちらでも良きに計らって解釈するというのは良さそうな処置ではありますが気安く濫用し過ぎるのもあまり好ましい事ではないかと思います。
定義の段階からこの調子では腰砕けですのではじめの一歩においては背筋を伸ばす意味でこの「なら」のようなときでも厳密に[な]ら と入力するのを推奨したいと思います。
感覚的には慣れが必要かもしれませんが適切な文解釈のためにもひとつの構えとしてもっておきたいところですのでどうそご理解のほどお願いいたします。
また、「な」は形容動詞連体形として一般名詞の前に配置される典型的な用法もありますが、準体助詞「の」と結びついた場合でも連体形として形式上機能しています。入力例として以下のような例があります。
「な」([の][か])
「な」([の][で])
「な」([の][に])
「な」([の][だ])
「な」([の][が])
「な」([の][は])
「な」([の][を])
「な」([の][と])
「な」([の][も])
「な」([の][や])
「な」([の]さ)
「な」([の]よ) 等
こちらに関しても中途半端に「なの」だけべた入力で[だ]を別口入力するといったイレギュラーな入力はかえって混乱を増してしまうのでこちらも律儀に[な][の][だ]とひとつづつ入力していくのを推奨します。
ただ、砕けた言い方の「-なんだ」「-なんで」のときは全べたの入力でも許すこととします。この辺のさじ加減は難しいところですが具体的な開発段階が持ち上がったところで調整していけば良い事かと思います。
さらに「な」が末端にきて終助詞として機能するときもあります。その場合は従来の<断定の助動詞/形容動詞の連体形>とはまた別の用法になりますがこちらについても対応していわば両建ての構えをとります。
終助詞の「な」には感動/詠嘆・禁止・願望・念押し・命令/忠告といったさまざまな用法がありますがこれらすべての終助詞を別口入力[な]で取り回していきます。
ただし「な」が間延びした「なぁ」や「なー」などは字面の通りにべたで入力しても良いものとします。
さらに通常の動詞や形容詞・形容動詞のほかへの接続としては
「感謝だな」「閉店ですな」「盲点やな」「皆無じゃな」
のようにコピュラ動詞「だ」「です」(会話調のものとしては「や」や「じゃ」も)の末尾につく「な」もあります。
さらに「な」は名詞・形容詞・形容動詞そして一般動詞・ル形動詞・コピュラ動詞のあとに接続して終助詞ニュアンスをつけるばかりでなく、
別口入力助詞や別口入力パーツ[て][し]のあとについてニュアンスを付加する例も見られます。
(例):「お前がな」「お前もな」「お前とはな」「お前でもな」「普段はな」「電話をな」「達者でな」「ビンボーのくせにな」「ポチッとな」「鳥取のな」「デートへな」「大丈夫かな」「あと証拠とな」「頑張ってな」「用意しな」
これら助詞+な のカタチは末端部にあらわれてそれぞれの調子をもつ/整える はたらきをしています。
「な」の"終助詞力"は高くこれ以外にも様々な文法要素に接続して「な」をたった一つつけただけでさまざまな含意を相手に示すニュアンスをしっかりと出せるだけの力を持ったパーツとなっています。上記以外での接続要素としては、以下のようなものがあります。
(例):「よりな」「からな」「までな」「すらな」「けどな」
もっとより深く掘り下げていくと、「『それがどーした?!』ってな」で使われている[て][な]の[て]は引用の[て]であり語尾も終助詞的な「な」というよりは「…ってな具合に」と続くように名詞の前にきて連体修飾している色彩が強いので、本来の連体形の「な」の使用感覚に近いものがあります。
それはもとより「ような」「そうな」「みたいな」のような基本的言い回しについても見解を示していませんでしたが、同様のの使われ方の別口入力[に]の場合の接続例:「そうに」「ように」の場合も[に]の別口入力をともなっていくと定めているので「な」でも同じ類として別口入力を付随させる方針とします。
ただし既述になりますが「こんな」「どんな」「おかしな」「いろんな」「ろくな」等の一部の連体詞は[な]の別口入力はせずにひと続きのべた文字列としてタイピングしていくことは念押ししたいと思います。
連体詞と「な」の関係はとても微妙で「な」のつく連体詞も散見されているものの「ひょんな」や「異な」では[な]をあえて付随させたいものもありその定義がしっかり確立できてはおりませんがこれについてはまたの機会でいずれ議論していこうかと思いますのでここでの言及は避けたいと思います。
あと言及していない「な」の用法としては間投助詞の「な」(なー)があります。例えば「見たらな、歩いてな…」のように調子を整えるために句末に挿入される「な」です。こちらに関しては文解析上特に困難な点もないので入力においても適宜マーキングしていけばよいでしょう。
ここまで「な」についていろいろ論じてきましたが同じような頻出助詞の「ね」のほうは特に別口入力が用意されているわけでもなくべたで入力していくことになります。
「ね」に限らず日本語では終助詞の種類が役割語としてもキャラクター性の創作要素としてもいくらでも考えつくほど計り知れない面があるので終助詞の全てを別口入力していくというのはあまり現実的ではありません。ただ場合によっては構文解釈に支障をきたすような誤変換誘発語尾もありますのでこの辺はもっとデータを蓄積して対処していきたいところです。
最後にちょっと大きな難題が残っていまして対応を計りかねているのですが、それは古文・古典の言い回し全般に関するものの表現を一体どうしていこうかという問題です。
古典で使われる「な」には以下のような例があります。
・「花の色はうつりにけりないたづらに 我が身世にふるながめせしまに」(小倉百人一首 小野小町)では詠嘆の終助詞「な」が使われています。
・「君があたり見つつも居らむ生駒山 雲な隠しそ雨は降るとも」(伊勢物語 筒井筒・新古今和歌集)では陳述の副詞「な」が「そ」へ呼応する流れでやんわりとした禁止の意をもちます。
・「てしがな」「にしがな」「もがな」もこれ全体でひとつの単語(願望を表す終助詞)となります。
どれも重要な働きを持つ「な」の使われ方ですが、ペンタクラスタキーボードにおいて古典表現の細かなバリエーションに逐一対応していくというのはかなり難しいでしょう。
仮に「うつりなけり[な]」と入力してマーキングしたとしてもコンピューターは構文の意味構造を把握したうえで配置されたとは認識せずに、単に連体修飾や間投助詞であるかのように見当違いの解釈のままマーキングがおこなわれますが区切り目であることは認識しますので図らずも結果オーライでチャンク分解がおこなわれる結果となるかも知れません。
「雲[な]隠し(そ)」については特殊で今まででてこなかった呼応で結ぶ副詞だというのですからコンピュータにとっても思いもしない、認識しようもない用法でありますので対応するのは難しいでしょうが初回は煩わしいかと思いますが手直しして頂いてその後の学習や登録に委ねるしかないようです。
現代において編集自在の古文を創作的に駆使するというのはあまり考えにくいですし、引用・解説的に使われるのがほとんどでしょうから対処策としては単純に有名どころの言い回しの古文を個別的・機械的にデータをはじめから入れておけばなんとかなるかな、とも思います。
文法的意味合いを理解していないままではありますがなんとかその場しのぎに変換はできるのではないでしょうか。
…と、まあこのように消極的な姿勢で申し訳ないのですが、現代語においても方言や口語スラングに十全に対応しきれていない今の状況では古典表現にまできめ細かく対応していくのは難しいかと思います。
ですので頻出語だけ辞書語彙を厚くしていくということでここはお茶を濁したいかと思います。
「てしがな」「にしがな」「もがな」についても辞書対応ということで「言わずもがな」あたりの定番表現ももちろん入れておいた方がいいです。それほど気にすることの事ではないかもしれませんが、モダンガール(モ・ガ)という語があるので「-な」の適用に引っかかって「モガな」という語がひねくり出されないとも言えませんので「もがな」が辞書にあることに越したことはありません。一応、念のため。
というわけで「な」の別口入力適用範囲を拡大していったわけですが文法的・構文解釈に関わる影響もさることながら仮定形「[な]ら」の持て余し感や律儀に[な][の][だ]と別個に入力していくというちょっとしたクセのようなものであるとか、ユーザーの感覚に抵抗感のありそうな改定も含まれた内容となりました。
もちろん感覚が受け入れられずに「なら」「なのだ」をべたで入力していきたいというユーザーもおられるでしょうからべたの入力であっても特異な変換をせずに柔軟に解釈していく余地というのも残しておかなければいけないなと思います。
「な」の違和感については慣用的・習熟的に対処していくんだと地道に周知していけばきっと受け入れられるのだと信じて、別口入力自体のもつ元来の性質、賦性(ふせい)をより活かしていく運用ができることを目指していきたいと思います。