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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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複合助詞(別口入力複合パーツ)と別口入力(3)

2017-02-27 | 別口入力にまつわる諸問題
さて今回は前回・前々回と続けた複合パーツのことについて、触れられていなかった事項に言及したこまごまとした雑記です。

複合助詞だけにとどまらず、「な」や「だ」を用いて組み合わせられた複合パーツの類はまだあります。
例えば副助詞「だに」がそうです。古典や文語などで使われ昨今ではあまり見ないのですが、「微動だにしない」「見るだに辛そうな」などの表現で使われています。「さえ」「すら」とほぼ同じ意味をもちます。
これは「だ」+「に」の連結によるものではなく2文字で一つの独立した助詞です。別口入力においてはこのように全体で一つの助詞であるときも"だ+に"のように連続入力していきます。

もう一つ厳密な取り扱い方に触れておかねばならないのが接続助詞の「でも」は別口入力には使用しないということです。
仮定条件に使われる「でも」ですがこれは連用形のテ形に見られるもので一部の五段動詞において音便形によって濁音化が生じるところから端を発する形の助詞です。(泳いだ・死んだ・学んだ・住んだ)
この形の「で」の含まれる「でも」の用法に限っては入力時は"転んで+も"のように「も」の受け持つ部分のみ別口入力をしていきます。
これはテ形のて(例:見てしまう)の別口入力「て」が存在しないのにその濁音化した「で」も同様の用法で別口入力が用意されているわけではないからです。
ややこしいのがこの「で」の別口入力は
・形容動詞の活用語尾
・「ようで」「そうで」「みたいで」などの助動詞の一部
・断定の助動詞「だ」の連用形
・格助詞の「で」
・各種用法の「でも」の一部の「で」
  ├初心者でも使える =ましてや上級者ならなおさらわかる
  ├お茶でも飲もうか =軽く例示してみる
  ├槍でも鉄砲でも持ってこい =例を列挙する
  ├せめて第3話だけでもみてほしい =希望
  ├まんざら捨てたものでもない =不確かな・軽い判断
  └医者でも病気になる =特殊なケースの一般化

などのようにさまざまな用法があり混同しやすいのですが「ても」の音便化した「でも」には別口入力は適用されないというのがその成り立ち上からもご理解いただけると思います。
逆に接続詞としての「でも」(例:腹が立った。でも許す)は別口入力せずにベタ打ちで入力します。
「でも」は「それでも」の短縮形であり逆説や反論の用法がありますが接続詞は文頭にくるので分かりやすいかと思います。
さらに「でも学者」や「でもしか先生」などのように接頭語・単語の構成要素になっている「でも」もベタ打ちで入力します。ベタ打ちをすることによって何らかの合成語・派生語であるということがわかれば単語学習にも寄与するのではないでしょうか。


最後に末尾に「な」のつく「こんな」という語の扱いですが、これは形容動詞とも連体詞とも諸説ありましてひとつの説に収まりきらない特殊な特徴をもっています。
形容動詞の観点から見てみると、こんなだ、こんなだろう、こんなに…など形容動詞に準じた活用をするように見えますが、連体形のときにすんなり「こんなな」とはならず語幹のままの「こんな」の形が使われさらに助詞「ので」「のに」につくときだけ「こんななので」「こんななのに」の形になります。(連体形が2種類ある)
似たような考えで形容動詞とはたらきが類似しているのに分類上は連体詞となるものが「同じ」という語です。「同じだ」「同じに」はありますが「同じな」はちょっと不自然になりますね。「同じ」がそのまま使われます。
別口入力においても"こん+な+な+の+で"のように連続入力するのは避けたいのでどちらの品詞であるかの議論は置いていおいて、「こんな」は「な」を別口入力はせずにベタ打ちで入力する方がペンタクラスタキーボードの場合には馴染んでいると考えます(こう書いてしまうと何だか"連体詞支持派"寄りみたいですね)。

なお、この点に関しては過去記事 連体詞と別口入力 において「こんな」を連体詞だと分類していましたが形容動詞だともいえるという可能性を示しつつ訂正したいと思います。

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複合助詞と別口入力(2)

2017-02-24 | 別口入力にまつわる諸問題
前回の助詞が組み合わさってできる複合助詞の話から発展して話を進めたいところですが、今一度複合助詞というものについて振り返ってみたいと思います。
まず、骨組みと言うかでき方については、単独の助詞の連接によってできる複合助詞だけでなく、結合することによって元の助詞の機能とは異なる意味を持った新たな助詞(もはや複合助詞とは言わない単独の助詞)が構成される場合も多いです。
また、「の」においては格助詞というよりも準体助詞(形式名詞)として連接し複合助詞(あるいは一語の助詞)を構成するのに一役買っているものであるといえます。(あくまで格助詞の枠組みの拡張として捉え、「の」までのひとかたまりを体言化する格助詞だという説もあります)

また、複合助詞には「からには」「とともに」「に対して」などのように必ずしも一文字助詞だけからなるわけではなく、連語的に連なるものも多くありますがここでは別口入力との組み合わせを念頭に置いているので一文字の助詞・助動詞あるいは活用語尾の複合によるものについてクローズアップしていきたいと思います。
前回は2つの助詞の組み合わせによる2文字の複合助詞について挙げましたが今回は「な」や「だ」に連結の対象を広げて2文字あるいは3文字からなる複合パーツについての解説です。

<「だ」と「な」を含む別口入力複合パーツの例>
だが だと だとか だとは だとも だの だな だか
なのを なのが なのは なのに なのと なのや なので なのも なのな なのか なのだ

以上あげていきましたが、これらのうち「だな」「なのな」の最後の「な」は終助詞の「な」(詠嘆や命令・念押しなど)なので簡単のために今は説明せずここでは断定の助動詞あるいは形容動詞の活用語尾の一部としての用法に焦点を当てて解説していきたいと思います。
まず「だが」については接続詞(自立語)の「だが」である場合と、断定の助動詞「だ」+逆接の助詞「が」の複合したもの(付属語)…両方の可能性がありますがどちらの場合でも別口入力"だ-が"のように入力していきます。
同様に「なので」も接続詞の場合と「な」+助詞「ので」の複合の場合とが考えられますがこれも別口入力"な-の-で"のように入力します。

なお、断定の助動詞「だ」については関連事項として次の2つの性質を頭に入れておくといいかも知れません。
(1)連用形の活用に「に」がない。
形容動詞では「豊かになる」のようにワンフレーズで一つの意味を成すので「に」が連用形の活用語尾として機能しますが、
「祭りになる」では「祭り」(名詞)+「に」(助詞)+「なる」(動詞)のように分解されて「に」が変化の結果を導く格助詞としてはたらき断定の意味をもたないからです。
(2)連体形の「な」が接続する形は、「な+の」、「な+のに」、「な+ので」の形だけに限られ、体言(名詞)は接続しない。
「のに」「ので」は2文字分で一つの接続助詞です。「なのは」「なのが」「なのを」等は「な+の+副助詞」または「な+の+格助詞」のような連結になります。
これらは形容動詞にはない要素です。

また両品詞の場合にも言えることですが、別口要素「な」と「だ」を2つとも含んだ「なのだ」については連語的ではあるものの
断定の助動詞「だ」または形容動詞の連体形活用語尾+助詞「の」+断定の助動詞「だ」からなる組み合わせとなっておりこれも連続して別口入力"な-の-で"のように入力していきます。

以上で「な」や「だ」を使った別口入力複合パーツについて解説していきましたが連続して入力するのが多少面倒かもしれませんがご理解いただきたいと思います。
文法上の解説もしていきましたが、実際のIME変換エンジンの動作にこういった背景情報がどの程度汲み取られていくものなのか、あるいは別口入力の働きかけによって文法上の細かな判断の局面が猶予されているといったほうが正しいのか見極めていきたいところです。もちろん余計な干渉を起こさずに文法情報が適切に反映できるようにするのがベストだと思うので今後も探っていきたいと思います。

なお申し遅れましたが当記事において当たり前のように使っていた言葉に、若干の補足を入れたいと思います。
「別口入力複合パーツ」という言葉ですが、"複合助詞""複合辞"のようにひとくくりにするのにはちょっと違和感があったため苦し紛れで考えたものですが、
片や断定の助動詞「だ」、片や形容動詞の連体形の活用語尾「な」などと一般の格助詞・副助詞などとの混合を"複合辞"とするにはいささか乱暴であり、別口入力の都合上で連結するものだけを対象にしているだけに過ぎないので限定的な意味として厳密には「別口入力複合パーツ」と呼ぶこととしたいと思います。
ただ、検索の用途上は複合動詞で調べるケースが多いので以後の記事では「複合助詞(別口入力複合パーツ)と別口入力(3)」のように併記した形でいきたいと思います。

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複合助詞と別口入力(1)

2017-02-13 | 別口入力にまつわる諸問題
「として」「において」「をはじめ」などのように助詞とその他の品詞が接続してそれ自体でひとつの助詞のように機能するものを複合助詞と呼びますが、格助詞・接続助詞・副助詞・係助詞・終助詞のいくつか2つが組み合わさってできる複合助詞も相当数ありさまざまなはたらきをしています。
当然ペンタクラスタキーボードにおいても助詞などの別口入力があり複合して使われるケースも多々ありますので説明していこうかと思います。

接続の許容性が高いものもあれば低いものもありますが、なんとなくの傾向はうかがえるものの複合の仕方の法則を説明する簡にして要を得るようなものはなかなか見出せないのでざっくりとあげていきたいと思います。

<とに続く接続の複合助詞>
とを・とが・とは・とに・との・とへ・とで・とも・とか

<のに続く接続の複合助詞>
のを・のが・のは・のに・のと・のや・ので・のも・のか

<かに続く接続の複合助詞>
かを・かが・かは・かに・かと・かの・かや・かで・かも

<その他の複合助詞>
をも・には・にも・へは・へと・への・へや・では・での・でや・でも・でか・もを・もが・もは・もと・もの・もか

とりあえずざっとあげてみました。精査していないので漏れがあるかもしれませんが、全体的にみると「と」「の」「か」に続く複合助詞が比較的多いようです。
これらの例の複合助詞は個々の助詞のはたらきが複合することで元々の機能とは違った新たなはたらきを生じる現象がみられるのが興味深い特徴です。
入力時には少しまどろっこしいですが2つの助詞の別口入力を連続でタイプすることになります。一応の配慮として前にも後にも最も接続機会の多いと思われる「の」のキーに限っては左右の下部に重複して配置してあります。その他の助詞も左右交互打鍵になりやすいよう配置したつもりですが資源に限りがあるので難しいところです。
注意しなくてはならないのが中途半端に一方はかなのクラスタキーからの入力、他方は別口入力からの入力にしてしまうと助詞の切れ目を誤認識して間違った単語を切り出してしまう可能性があるということです。(例:イルカを/要るかを)
ここは素直に完全別口入力していただきたいところです。

例外的なケースとして
-したトカしなかったトカ、見た事あるカモ… のような表記にみられるようにカタカナ書きにする使用例も考えられますが、これらは現状、かなのクラスタキーでベタの入力文字列として処理するくらいしか考えが浮かんできません。
盤面中央の[かな/カナ]キーで変換したいところですがあちらは別口入力の文字列が混在していてもうまく当該部分だけに[かな/カナ]変換を作用させたいというのが念頭にあるのであまりいじれません。
変換するにしても[かな/カナ]キーで変換中にカーソル移動で対象文字列を変更するなどの処理になってくると思います。


別口入力の便利さの陰で、こういった細かな問題が出てきてしまうのも痛しかゆしと言ったところなのですがこれでオシマイというわけにはいきませんでした…。
忘れてはならないもうひとつ大きな問題があります。別口入力の接続要素はでにをはなどの助詞だけでなく、
「な」…形容動詞の連体形であらわれる活用語尾
「だ」…形容動詞の終止形であらわれる活用語尾 または 断定の助動詞「だ」
というような、助詞にとどまらない要素とも組み合わせて接続することがよくみられるからです。

これらについてもさまざまなケースが考えられますので、ここらで一区切りして次回以降考察していきたいと思います。しばしお待ちください。

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書いてみてはじめて分かることもある

2017-02-09 | 当ブログの基本的な考え方・方針・見解
前回、英数モードやフォーム入力時のセキュリティについて書いたまではよかったのですが、[英・無変換]キーというのを持ち出してきてあれやこれやと説明してしまい、試しに盤面上に配置させてみた図を作成したところ、何かしっくりきません。


明らかに失敗でしたね。
無理やりとってつけたような配置の仕方も違和感がありますが、そもそもファンクションキーのF9・F10のはたらきにちょっと変更を加えれば済む話でした。
(日本語部無干渉型半角英数・全角英数)とちらっと書いてありますが、アルファベット・かな混在文を入力したところでかなの部分をあえてローマ字つづりに直すことなど考えなくてもよく、ローマ字で入力された部分だけに作用してF9・F10のような英数変換と同様に変換すればよいのであって、何も難しく考えることではなかったのです。
ペンタクラスタキーボードではかなとアルファベットの入力が完全に分離していますから"たんご"を"TANGO"のように変換するまでもなくタッチ液晶部からアルファベットを入力して注文どおり"TANGO"と書くこともできるわけですから。
ですので、結論として従来のF9・F10キーの機能の延長上として(日本語部無干渉型半角英数・全角英数)が機能するようにすればいいのです。

あとは通常変換においてTOYを学習してしまうとTOYsrusみたいになってしまうと懸念を表しておりましたが、これも杞憂で"toysrus"ひとかたまりとして一単語として抽出することは前後の字種の違いやスペースが入るなどの区切り情報から容易に判定できそうなのでそんなにクローズアップするところではなかったようです。

文字列処理の基本がわかっていない一端を覗かせてしまったみたいで恥ずかしい話ですが、書いている段階ではこういうものなんだと本気で思っていたりします。
でも完全に全体像を把握したうえで考えをまとめて書くなどということは到底できるものではありませんしそんなことをしていたらいつまでたっても考えがまとまらずにこうして記事のアップもままならなくなってしまいます。
人間、書いてみてはじめて分かるということもあるのです。草稿を書いている段階であとからいろいろと考えも浮かんできますし、図を作成している段階でも盲点に気づくことが少なくありません。
でもこうやってあとから振り返る記事をあげて修正していけばよいことなので亀筆になるよりかは少し前のめりにアウトプットしていくスタイルでいくほうが開拓的な分野には合っているかと思います。
静的均衡よりも動的均衡を目指す、ということです。

まだこのキーボードの事で誰かと突っ込んだ議論をしたわけでもないので議論のたたき台としてこうした失敗例が役に立つかもしれませんし、
数々の失敗目線の軌跡が後から談義に加わる人のための良き道しるべになることもあるかもしれませんので懲りずに頑張っていこうかと思います。

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