プリンシパル=エージェント理論とレントシーカーの違いは、以下のように整理できます。
【プリンシパル=エージェント理論】
・概要:プリンシパル(依頼人)とエージェント(代理人)の関係において、エージェントがプリンシパルの利益を最大化するために行動する際に生じる問題やその解決策を研究する理論。
主な課題:
・エージェンシー問題: プリンシパルとエージェントの利害が一致しない場合、エージェントが自己利益を優先する行動を取ること(例:モラル・ハザード)
・情報の非対称性: プリンシパルがエージェントの行動を完全には監視できないため、エージェントが不正確な情報を提供する可能性
適用例:
・株主(プリンシパル)と経営者(エージェント)
・経営者(プリンシパル)と従業員(エージェント)
【レントシーカー】
・概要:レントシーキングとは、既存の資源や制度を利用して自らの利益を増やそうとする行為であり、しばしば公共政策や規制を通じて特権的地位を得ることを目指す。
主な特徴:
・政治的ロビー活動や規制の操作によって、自らに有利な条件を作り出す
・経済的には、生産的活動ではなく、既存の富や資源の再分配に焦点を当てるため、社会全体の効率性を損なうことがある
適用例:
・特定産業団体が政府から補助金や規制緩和を求める場合
違い
このように、プリンシパル=エージェント理論は契約関係における効率性向上を目指す一方で、レントシーカーは既存制度を利用して自己利益を追求する点で異なります。