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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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属性選択の遷移過程を反映した変換候補のリオーダリング

2017-06-03 | 画面の流れとインターフェイス
転成名詞などの例からもわかるように三属性の境界は時として曖昧であり、ひとつの語が複数の属性をかけ持ちするケースは十分考えられます。
例えば「戦死」のように用言全般のよろづロ万に属すると考えられている語句がありますが、一方で「-死」という接尾語を含む言葉なので第三のよろづハ万への帰属も兼ねています。
これは接辞の「し」が氏・誌・史・市・師・紙のように選択候補が多岐にわたるためこの例のサ変動詞などのように用言としてのよろづが検出される場合にはその特徴を活かしてよろづロ万を持たせることにより、他のよろづの、接尾語をもつ変換候補選択が煩雑になる場合と差別化できて便利だからです。

元々このような措置に至ったのは特にこれといった考えがあったわけではなく、気軽な気持ちで「大は小を兼ねる」の言葉通りとりあえず両方に変換候補を載せてしまえばいいんじゃないか…との判断によるものでした。
とはいったもののあれこれ思考実験を巡らせているうちに、この「属性かけ持ち」のインターフェイスとしての挙動は結構奥が深いのだということが推量できるとの認識に至りました。
ユーザーは変換候補の中から納得のいく候補が上位に無いと、変換キーが4つもあるせいか別の変換キーで選択したら期待する変換候補がすぐ見つかるのではないかと試行錯誤し、渡り鳥みたいになってしまう行動様式をもつに至るのではないかとの洞察が頭をよぎってきたのです。
これは意図する属性の変換候補リストの中に元々入っていなければお手上げなので無論セイフティー的に手広く帰属属性を兼任させればよいのですがこれだけではせっかちなユーザーから満足の得られるインターフェイスとしては手ぬるいものになってしまうだろうと言わざるを得ません。
三属性変換の候補リストの提示に、それまで試行錯誤した文脈が反映されていなければただその都度その都度刹那的に属性のリスト照会をしているだけで、ユーザーの意図をくみ取ろうという視点が全く欠けているのです。
ペンタクラスタキーボードの強く意識する、システムとしての「人間-機械系」というものをより高いレベルで体現するためにも想定されるユーザーのオペレーションミスからしっかり観察しそれを有効に生かしていかなければなりません。

まずは実例から入ってどのような改善策があるのか解説していきたいと思います。
「見得を切る」で使われる「見得」について順を追って考察していきたいと思います。この語は名詞としてピックアップしましたが「見得を切る」というイディオムで使われているというのもあって叙述用言の発端としてみる=叙述構造句として不可分…だとみなし用言属性のよろづロ万を兼任しています。(厳密には名詞なのですがよろづの用として様態叙述イメージに併呑されます)
例えば「出ました…この見得!」みたいに突発的に名詞使いされることもなくはないので名詞属性を持たせるということに特に問題はないと思われます。
ただ順当に考えれば名詞でみえといえばまず「三重」が挙がるので「見得」がトップに来るということはまずありません。そこでユーザーは「三重だと名詞名詞しすぎているから叙述要素のニュアンスで…」ということでロ万の変換キーを押して軌道修正しようと試みます。
このとき一度名詞のイ万を経由していることを鑑みて、二番手でよろづロ万に遷移したときのトップ候補が両方のニュアンスを満たす「見得」になるようにする工夫です。
普通なら単発的に見ると「みえ」のロ万での候補順位は「見え」「観え」「見栄」などが上位に来るはずなのですがこのようなときには普段あまり使われない「見得」がピンポイントでトップに来るという算段です。

さらにこの考えを進めていくと特に接頭辞・接尾辞を含んだ言葉=ハ万に対して興味深い強みを発揮するパターンがよくみられるので留意しておきたいところです。
例えば極端な話、ぷりしら嬢の・ぷりしら場の・ぷりしら城の・ぷりしら錠の・ぷりしら状の・ぷりしら上の・ぷりしら乗の・ぷりしら条のなどのような接尾語「じょう」のつく言葉を属性遷移のニュアンスづけを利用して効果的に変換候補を選択できるようにすることも理論上可能です。
経由する属性は、「嬢・場・城・錠」は名詞属性のイ万、「状・上」は叙述成分のロ万、「上・乗・条」は抽象概念的なハ万での変換に反映させれば適当かと思います。
ここで一部「上」がロ万とハ万で重複していましたが、ここが属性兼任のクセのあるところでかならずしも排他的に浮かび上がってくるだけとは限らないという事も考慮に入れなければなりません。
なにかよいデータ定義様式を検討しないと変換手続きが意図するふるまい通りに機能してくれないことが見込まれるのでいずれ対策が必要になってくるでしょう。
さらにはハ万の同属性遷移=かさね踏み(?)のときには本来のハ万で列挙したオーダーが切り替わってしまっては意味がないのではないかという疑問も湧いてきます。
あと細かい話ですが通常変換×3ののちハ万へ遷移した場合などは通常変換で通過した変換候補はハ万のテーブルでは省いて再オーダーされるなどといったようなチューニングも求められるかもしれません。
さらにさらにイ万→ハ万の遷移のときとハ万→イ万の遷移のときで差が出てきたりはするのか、またそういった定義はあるのか、検証事項は尽きることはありません。
ただあまりにも属性遷移反映が行き過ぎると求める変換候補を見失ったとき収拾がつかなくなってしまいますのでわかりやすさのために通常変換に再び戻したときには候補順位テーブルをリセットさせることが大前提になってくるかと思います。


いずれにしろこれから煮詰めなければならない話ですがひとつ重要なポイントとして、上記のようなぷりしらという言葉が事前にどんな素性・フレームをもつのかがわからないときでも造語・複合語の類いが手軽に表記できるという利点があるということに触れておきたいと思います。
もちろんぷりしらというワードが人名の属性であることがわかっていて適切にぷりしら嬢へと変換されるという流れであれば解析プロセスに任せる方が良いかもしれませんが遷移を利用してより重層的な、奥行きのある構えがとれるならそれに越したことはない…ということはハッキリ言えます。


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ペンタクラスタキーボードはもっぱら短い語句の変換向けに機能を掘り下げたものではない

2016-08-16 | 画面の流れとインターフェイス
意味属性という切り口から望んだ語句の変換に素早くアプローチする三属性変換の特質として、短い語句の変換に機動的に対応できるという利点がありますが、長文を含む複数文節の一括変換はとても重要だと認識しています。確かに検索ワードの入力やファイル名フォルダ名の入力に威力を発揮しますが、日本語入力と名のつくものには長文の精度の高い変換は必須のものであり、決して軽視してはおりません。
でにをは別口入力の良さを存分に出せるのはむしろ一括変換の変換過程において発揮できるものであるということを強調したいと思います。
ただアプローチ方法が違います。従来の長文変換の処理過程では、形態素解析で要素をひとつひとつ取り出して品詞間の接続や単語そのものの接続しやすさなどを計算したり、時には意味解析や文脈解析などの高いレイヤーの処理を伴ったりしながら順を追ってプロセスを積み上げていき、一気に変換キー一発で目的の変換文に落とし込むという、シンプルでわかりやすい方法が提示されていますが、
ペンタクラスタキーボードにおいては端的に長文入力後の変換キー操作の一点に収束させるのではなく、でにをは別口入力で形態素を成形し準備立てるプロセスがあったり、≪≫キーで語句のかたまり間を移動して三属性変換をほどこし後から訂正しやすくしたり、まず最初は通常変換で無難な(冒険的でない)変換を試みて第二段階でユニークな部分の変換に移行するという形をとっています。
これは変換確定前後にわたって諸所に用意された重層的なプロセスで変換操作の対話性を重視したインターフェイスであり、仮に正解の語句変換が成功しなかったとしても違和感なく修正過程に自然と移行させる構図ができあがっています。
常に途切れることなく変換フェイズに関与しているという心理的効果があるとともに、ヒントを随時問いかけて正解に近づけていく数当てゲームのようなやりとりに似ているスタイルであり、ユーザーは最初は戸惑うかもしれませんが、終始このスタイルが貫徹されていることに慣れていけば、これはこれで一つのスタイルだな…と飲み込んで消化できるものとなっていると思います。

正解を出すための作業も大事ですが、かな漢字変換に誤変換はつきものですので、失敗したときの挽回策を手厚く用意することもユーザーの利便性のために必要なことであると考えます。

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≪≫でワード間を移動して変換

2016-08-04 | 画面の流れとインターフェイス
この記事では変換インターフェイスの中でも頻繁に出てくる場面の多い、変換文節におけるカーソル移動操作についてと、[かな][カナ]キーでの変換について解説します。


キーボード下部の丸型四角形のキーの中でかな/カナ/≪≫と表示のあるえんじ色でひときわ目立つキーが左側にあります。
刻印されている≪≫(二重の不等号)キーのはたらきは、通常のIMEにおいて←→でおこなっている文節間の移動(下線部の区切りを移動)とほぼ同じ機能を持つキーでこれを左右に動かすことによって変換語句のかたまりを移動して指定します。
通常の←→での注目文節間の移動と少し違うのは、別口入力によって助詞の区切りがある程度断片化されているのでワードの指定範囲を移動するときに「でにをは」その他助詞を抜かした形で飛び石のように指定範囲が選択されるという点が特徴で、文節を伸ばしたり縮めたりする操作のときには普通の矢印キーを使って調整します。
≪≫の左右移動と←→の左右移動の二段構えでカーソル移動をするので、Shift+←のような同時押しの操作がない分カーソル・区切りの移動がすっきりと行えると思いますし、区切り位置をもし間違ってしまってもあとから仕切り直すのがスムーズに行えるのが利点です。


三属性変換との連携操作では、≪≫で「でにをは」等助詞を飛び越えつつワード間を移動して、それぞれの変換語句で三属性変換イ・ロ・ハのどれかを押せば指定した属性の語句へ(図の場合は属性ロ:用言・動詞など)変換されます。
これらは主に漢字の語句(送りがな付きを含む)あるいは漢字とひらがな・カタカナの混在した語句へ変換されます。さらに別口入力「な」(形容動詞の連体形)や「だ」(断定の助動詞・形容動詞の終止形)が挟む場合には「な」や「だ」はひらがなのままで、残りの字種はその語句の表記したい形(漢字・ひらがな・カタカナ)に適宜変換されます。
これは[かな][カナ]キーで変換するときも同様で各種助詞・助動詞・語尾部分はひらがなのままで、注目語句はカタカナなどに変換されます。
(例)シリアスな ファンキーだ
なお[カナ]キーで変換する際、1回押すと全角カナ、2回押すと半角カナへ変換されるようにすると順当でわかりやすいかと思います。

通常の環境であればF6・F7・F8を押して変換する(時にはFnキー同時押しの場合もある)ところをキーボード盤面中央付近の押しやすいところに配置しており、習慣的見地から見ても配慮の行き届いたものとなっています。
日常的動作なので押しやすい位置にキーが配置してあることは重要ですね。


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