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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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めくるめく繚担の世界

2020-12-19 | 接頭語・接尾語の変換

――担は、中国の伝統的な質量の単位である。1担は約60kgに相当する。なるほどなるほど。
…そんな話はさておいて、
私の趣味である(懸案事項)の接尾語をウォッチングしてみたところによるとここ数年来の傾向として「担当」を意味する「○○担」というワードが今アツい!
特にジャニーズ系のグループ・ユニット!いろいろあります。

スト担(SixTONES)、WEST担(ジャニーズWEST)、嵐担、キスマイ担(Kis-My-Ft2)、Jr.担(ジャニーズJr.)、キンプリ担(King & Prince)、スノ担(SnowMan)等々

まさに百花繚乱、ファンの熱量を感じさせる数々の担、咲き誇るのはタレントさん達でしょうが織りなすそれを支える育みの大地、潤いの山河、匂い立ちそよぐ風となってひとつのシーンを形づくっていますね。
この他にはマンガ/アニメ/ゲーム/演劇のキャラの担や俳優さんなどのほか振り付け担や教師、タイトル/シリーズそのものの担などがみられます。
にわか仕込みでちょっと調べてみたのですが、作家・画家・監督の担やアスリート担、モデル担などは見つかりませんでした。(武将や志士についてはよくわからなかった)

今やすっかり定着して市民権を得た担でありますが
私が「担」という言葉に初めて出会ったのは1990年代の官庁スキャンダルのときに目にした「MOF担」という言葉で、銀行と大蔵省の癒着が社会問題になった事件が思い出されます。(財務省の前身:大蔵省のアルファベットはMinistry of Finance)。
そんな特任部隊的なテクニカルタームの印象が深いニュアンスから、旦那衆やタニマチご贔屓衆とも相通ずるような応援の色彩とそれがもつある種のステイタスへと変貌していったのはまことに興味深いところであります。

この担の面白いところは、個別人物の担もさることながら立場関係・諸事情-位相・縄張りやメタゲーム要素の焦点材料となるような機能語彙が非常に豊かに発達しているということです。

自担/同担/他担/無担/元担/誰担/本担/サブ担/俺担/副担/正担/担タレ/デビュー組担/箱担/事務所担

などがそうですね。
他には担が形成する動詞や様態・イディオムなどを調べてみたところ

担降り/兼担/同担拒否/強火担

などがありました。
ペンタクラスタキーボードを標榜する当ブログとしましては、こういった語を漢字変換するにあたって三属性変換の連続押し、つまり
三属性ハ万(接辞がらみの属性)→三属性ロ万(動作様態を表す属性)
のように属性指定を遷移させることによって担のもつ属性叙述性を汲み取ってこの2つの条件を兼任する「担」をピンポイントで出すというインターフェースで実現できるはずだと提案しています。
装填手や遠征勢などのような語もこれと同じ原理で変換ができますね。
かな漢字変換ではこういった語句の変換は初回ではつまづきがちでありますのでこのような入力機構の提案でこういった問題も解決していければ良いなと思っておるところです。


最後に調子に乗って担にあやかった造語・言葉遊びをつらつらと綴ってみましたのでよかったらあなたの担ライフの向上にお役立てください。

核担
在担
殉担
着担
輪担
献担
異担
担外
担失
非常勤担
疑似担
初担

御用担
公認担
曲担
シチュ担
エセ担
テンプレ担
ビジネス担
モブ担
愉快担
履修担
保護担

つながり担
きっかけ担
発信担
姉妹担

これが被担される側の気持ちか
担ぶりの気持ちいいヤツ
当該担とみられる
担壇が賑わっている
あの子はよい子ちゃん担よ
担教育にいそしむ
私などまだまだ浅担ですから
担理担則にのっとり
休担届を出す
才能のある担筋
既担感を覚える
担質暑苦しいね
義担心にかられる


…以上お目汚し失礼しました。

 


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イケ散らかす派生形ほか/複合動詞ひとりごちる/ぴえんもあるよ

2020-12-11 | にほんごトピック

<「--散らかす」の各種派生>
イケ散らかして
病み散らかしそう
草が生え散らかす
煽り散らかす
沸き散らかす
イキリ散らかす
エモ散らかす
褒め散らかす
絡みちらかす
萌え散らかす
バズり散らかす
スベリ散らかす

…等々の複合動詞は近年その新用法・造語力に注目が集まっていますね。
嬉しいことに夏ごろ書いた
新世代の複合動詞たちがイケ散らかしている・ありえんやばいWeb使用例列挙 - P突堤2
の記事が当ブログには珍しく検索流入スマッシュヒットしておりまして、今回は調子に乗ってPART2の用例を集めてみました。
「--散らかす」に限らず、最近見かける複合動詞の例やちょっと面白みのありそうな昔の複合動詞を掘り起こしてみたりして収集し、以下に列挙してみようかと思います。
動詞+動詞のカタチに限らず名詞+動詞形のものであったり複合形容詞やなにやら素性不明の用言の複合物なんかもあります。
よかったらお楽しみ、いやそれに限らず実生活やネット戯言などにご活用いただければ幸いかと思います。


濡れそぼらせて
まろびでる
度し難い
スベり降り注いでいる
切なほっこり
かっこかわいい
ブサ可愛い
ありえんかっこいい
良き良きすぎて
あてこする
おくんなまし
するよろし
御免こうむりたい
勿体つける
寝かしつける
書き抜かる
寝腐る
利食う
鋳つぶして
マリオづいてる
分からずじまい
ひとりごちた
わけわからんぴえんだった
メイクが薄いぴえんだった
しょぼんぴえん

…こうしてみると前項動詞よりも後項動詞の方に力点がある、フックのあるパターンが多いみたいですね。
ざっと見ると「うちひしがれる」「物寂しい」「うろ覚え」みたいな接頭辞が先行するパターンの新語はあまりなかった感じです。
あとは「利食う」などもすっかり一般化しているのにかな漢字変換ではいい加減対応してくれみたいな語も多々あるかと思います。

複合動詞、なかなかのワンダーランドでしたね。機会があれば今後も深掘りしてみようかと思います。


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補助線・勇み足

2020-12-05 | 文解析は副詞が鍵
前回の記事、
活用形の拡張:接題目形…補助線 - P突堤2
で考察していた中で出していた例で
耐えかね:(VN+接辞)"導入フレーズ"とするのは早合点でした。ちょっと練り込みが足りなかったかな?
やはり「--かね」の部分はまがいもなく複合動詞であり、それは今回意図したような接辞の類とは分けた方がいいようです。
ちょっと言い訳をさせてもらえば以下の理由があります。

耐え[かね]の部分に関して:
・自立V+付属Vの形に引っ張られ過ぎた。後部要素がなまじ付属Vだっただけに接辞的にとらえてしまっても構わないんだ、という気のゆるみがあった。
・[かね]はテ形・タ形にしたとき音便形にならず[かねて]と素直な形になる。
 他の複合動詞後部要素に着目してみると、「切り(きった)」「込み(こんだ)」「付き(ついた)」「合い(あった)」「上がり(あがった)」「抜き(ぬいた)」
 …等々ある中で、音便形を取らない[かね]のような語に法則外のニュアンスを(勝手に)感じて、何やら特別感の計らいで[--かね]は例外的に接辞的にとらえても構わないという先入観があった。
 これには語彙イメージ的背景がありまして、複合動詞型の連用形転成名詞をざっと列挙してみると
 「焼き増し」「申し開き」「置き去り」「出涸らし」「浮き彫り」「走り書き」などのように容易には音便のテ形タ形に接続しにくい、これは格助詞の「で」と混線しているせいもあってますます[かね]のような音便形にならない後部要素に稀少性を感じてしまう一因かもしれなかったかもしれない。
 しかし実際には音便形を取らないでテ形やときにはサ変兼務可能な複合動詞由来の転成名詞はいくらでもあります(「やり直し」「受け取り」「聞きかじり」等)。

いずれにしましても[--かね]は複合動詞のカテゴリーのものとして組み入れるよう軌道修正し、接辞運用の利便性の誘惑をさっぱり断ち切って、動詞としての振る舞い、文構造解析のさばきに立ち返って連用中止法の構成構図を地道に究明していくほかないかと思います。

…とは言うものの接題目形を適用したい狙いの最たるものとして[--すぎ(過ぎ)]があります。これは活用形の着目は置いておくとして
多すぎ 高まりすぎ 痛がり過ぎ 汗ばみ過ぎ しょぼくれすぎ なさすぎ
などのように形容詞語幹との接続はとりわけ特殊でもありますし、形容詞語幹+「がる」からの接続、さらには
活用接尾辞一体型動詞「汗ばみ-すぎ」の例や打ち消しの助動詞「ない」&形容詞語幹につく付加の「さ」のカタチ「居なさすぎて」からの[すぎ]
等々のように純動詞+[すぎ]のカタチよりももっと拡張されて文法的許容性バリエーションも多彩なものになっています。
もはや[すぎ]は一般動詞とりまわしで済みそうな接題目形でカバーできる範囲を大きく超えてなにぶん文法的な要素も絡んできそうですのでここで結論を急ぐのはやめてもう一層の掘り下げが必要かと思います。

以上、接題目形についてはこれで完成形とはせず、もっと材料を集めて反芻・咀嚼・消化してより一層のパースペクティブを確立したうえで練り直していこうかと思います。
なんだか、一度振り上げたこぶしを納めどころに困ってしどろもどろとカッコ悪い感じではありますが、これはこれでいいのです。
なにしろ今は膨大なインプットの最中でありますから、知識を定着させるためにはこういったアウトプットを適宜織り交ぜながらやっていった方が断然有意義なのです。
インプットばかりしていてはちっとも完成形には届かない、まずは「早くプロトタイプを作る→評価と調整を繰り返す」の黄金律にしたがって前進していくしかありません。
なのでこれに懲りずに予定通り「接頭辞接尾辞」まとめ記事を形にすべく、年末追い込みをかけていこうかと思います。

この頃は記事のペースも亀の歩みとなってしまい心中もどかしい気持ちもあるのではありますが、読者様にはどうぞ温かい目で見守っていただけますようよろしくお願いします。



<おまけ画像:日本語入力の新しい試み>


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