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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

「ことら送金」はPayPayの送金機能に警戒した銀行各社が合同で作り上げたものだという見解がありますが実際の経緯の本当のところはどうなのでしょうか?狙いであるとか時系列であるとかを解説してください。

2025-04-13 | 番外編の番外編

「ことら送金」は、PayPayの送金機能に警戒した銀行各社が合同で作ったものではなく、株式会社ことらが提供する個人向けの送金サービスです。
「ことら送金」の開発経緯は、資金移動業者への対抗という側面と、銀行業界の構造課題解決という両面から捉える必要があります。公式には「日本のキャッシュレス化推進」が掲げられていますが、背景には以下のような要因が存在します。


基本的なサービス特徴:
ことら送金の送金方法には、相手の携帯電話番号やメールアドレスを指定する方法と、相手の口座情報を指定する方法の2通りがあります。
ことら送金で受け取るには、ことら送金に対応している金融機関アプリで携帯電話番号やメールアドレスを連携する必要があります。連携すると、口座番号を相手に伝えることなく、登録した電話番号やメールアドレスで送金を受け取ることができます。

現在利用されている全銀システム(全国銀行データ通信システム)の問題点:
1973年に稼働を開始しシステムを改修しながらも50年近く稼働し続けている間に時流に合わなくなってきているとの問題が。
専用線を使った大規模で高価なシステムのため、維持・管理にかかるコストが振込手数料などにプラスされるインフラ面での不可避なコスト体質。
2028年5月ごろには、現在の第7次全銀システムに代わり、第8次全銀システムが稼働します。それまでに送金コストの問題を解決しなければなりません。そのための一歩がことら社であります。
当然、ことら社が構築する決済インフラは全銀システムとは共存します。
ただし、全銀システムが金額の多寡に関わらず受け入れるのに対して、ことら社は少額決済・送金に特化しているところが力点です。
「ことら」が低価格でのサービスを提供できるのは、全銀システムを利用せず、日本電子決済推進機構(JEPPO)が運営するデビットカードのJ-Debitのシステムを利用することが大きいです。
「ことら」では決済アプリをAPIでJ-Debitに接続させる。既に存在するシステムを利用するため、新たな巨額のシステム投資も必要なく、安価なサービスの提供が可能となっています。


時系列的な経緯
1.2018年: 全銀システムがモアタイムシステムを導入し即時入金を実現したが、銀行間送金の高コスト構造は解決されず
2.2020年: PayPayなどの資金移動業者が口座振込を利用したチャージ手数料問題が顕在化。この年、ことらの構想が発表され会社設立
3.2022年10月: メガバンク3行・地方銀行20行を皮切りにサービス開始(最終的2024年9月25日時点で、ことら送金はメガバンク全行とゆうちょ銀行を含む293の金融機関で利用可能)

銀行業界の真の狙い
・地銀の顧客接点維持: 地方銀行の利用低下が深刻化する中、銀行アプリ経由での送金需要を創出
・送金コスト削減: 全銀システム(高コスト)からAPIベースの低コストシステムへの移行
・税公金対応: 2023年4月の統一QRコード導入に合わせ、30万円超の税公金振込で優位性確保

資金移動業者との関係
・現状: PayPay・d払いなど主要プレイヤーは未接続。資金移動業者側からは「説明不足」との不満が存在
・設計思想: 銀行側が主導権を握るシステム設計(API提供型)で、あくまで銀行間連携を優先
・戦略的意図: 銀行アプリを介した送金フローの囲い込み(例:Bank Pay/J-Coin Pay対応)


公式には「金融インフラの進化」が強調されていますが、実際には銀行業界が資金移動業者の台頭で失った個人送金市場の奪回を意図した側面が強いと言えます。特に地方銀行が「ことら経由での銀行アプリ利用促進」に期待を寄せている点が特徴的です。


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