昨日このブログで「一億ミトコンドリア総活躍社会はやってくるのか (第二話)」をご紹介しました。第一話は以前に別のジャンルに掲載してしまいました。申し訳ありません。そこで、第一話はもう一度このジャンルで紹介させていただきます。
第3次安倍内閣は新成長戦略の目玉として一億総活躍社会構想を打ち出しました。「強い日本を取り戻す」というキャッチフレーズの下、強靭な国造りを目指すという安倍総理の政治姿勢の表れだと思います。しかし、残念ながらこの政策は時代錯誤の感をぬぐえません。それは、なぜか。人の成長過程に当てはめ、ミトコンドリアの立場から説明したいと思います。
わが国は明治維新以後第二次大戦に至るまで富国強兵を国是としてきました。私が傾倒する司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」は日本という黎明期の国民国家が一丸となって世界の列強国の仲間入りを目指す姿を描いています。明治はわが国にとって最も輝ける時代、まさに日本の青春時代でした。太平洋戦争は、さらに強靭な肉体(軍事力)を希求した結果起きた不幸な出来事、つまり「若気の至り」と解釈することもできます。そのつらい経験から、私たちは、青春時代を過ぎたわが国にとって大切なのは肉体ではなく、精神であることを学びました。戦後、私たちは平和を守り続け、ひたすら科学技術を磨くことで発展を遂げたのです。しかし、経済の沈滞などから、もう一度青春時代に戻りたいという欲望が国家権力者の心に芽生えつつあります。
未開な国家が近代化を進める姿は人の肉体が成長する様子に似ています。肉体の成長期にはどんなに食べても太ることはありません。栄養は全て血となり肉となります。それは、細胞に暮らすミトコンドリアは数が豊富で、若々しく、生き生きとしているからです。しかし、加齢と共にミトコンドリアの数は減り、機能も減退します。その結果、代謝が低下して太りやすく、糖尿病、高血圧、脂質異常症になりやすい体質に変化していくのです。そういった体質の変化を理解せずに若い時と同じように強靭な肉体を目指せば、健康を損なうのは当然です。アメリカでは高齢者の若返りを目的とした成長ホルモン療法が一般化しています。確かに成長ホルモンの注射は一時的に筋力を増強させ、人を若返らせるかに見せる作用があります。しかし、その副作用は細胞の異常増殖、すなわちがん化を引きおこし、かえって寿命を縮めることに繋がるのです。国家のかじ取りも同じで、成熟した国家にとって無理な成長戦略は必ずひずみを生じます。国内では貧困や格差が進み、それを補うため海外に覇権を求めるというがん細胞の挙動にも似た振る舞いは、国民を再び戦争の悲劇へと導く危険性を孕んでいます。
狐狸庵先生こと遠藤周作の座右の銘、「20代は肉体の季節、40代は心の季節、60代は霊の季節」という言葉を借りれば、わが国はすでに心の季節を過ぎ、霊の季節を迎えつつあるのではないでしょうか。成熟した国家が歩むべき道とは国家権力を強化することではなく、国民であるミトコンドリアを元気にし、幸福にすることです。それが結果的に国家の繁栄を持続させる賢明な方策ではないかと思います。
第3次安倍内閣は新成長戦略の目玉として一億総活躍社会構想を打ち出しました。「強い日本を取り戻す」というキャッチフレーズの下、強靭な国造りを目指すという安倍総理の政治姿勢の表れだと思います。しかし、残念ながらこの政策は時代錯誤の感をぬぐえません。それは、なぜか。人の成長過程に当てはめ、ミトコンドリアの立場から説明したいと思います。
わが国は明治維新以後第二次大戦に至るまで富国強兵を国是としてきました。私が傾倒する司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」は日本という黎明期の国民国家が一丸となって世界の列強国の仲間入りを目指す姿を描いています。明治はわが国にとって最も輝ける時代、まさに日本の青春時代でした。太平洋戦争は、さらに強靭な肉体(軍事力)を希求した結果起きた不幸な出来事、つまり「若気の至り」と解釈することもできます。そのつらい経験から、私たちは、青春時代を過ぎたわが国にとって大切なのは肉体ではなく、精神であることを学びました。戦後、私たちは平和を守り続け、ひたすら科学技術を磨くことで発展を遂げたのです。しかし、経済の沈滞などから、もう一度青春時代に戻りたいという欲望が国家権力者の心に芽生えつつあります。
未開な国家が近代化を進める姿は人の肉体が成長する様子に似ています。肉体の成長期にはどんなに食べても太ることはありません。栄養は全て血となり肉となります。それは、細胞に暮らすミトコンドリアは数が豊富で、若々しく、生き生きとしているからです。しかし、加齢と共にミトコンドリアの数は減り、機能も減退します。その結果、代謝が低下して太りやすく、糖尿病、高血圧、脂質異常症になりやすい体質に変化していくのです。そういった体質の変化を理解せずに若い時と同じように強靭な肉体を目指せば、健康を損なうのは当然です。アメリカでは高齢者の若返りを目的とした成長ホルモン療法が一般化しています。確かに成長ホルモンの注射は一時的に筋力を増強させ、人を若返らせるかに見せる作用があります。しかし、その副作用は細胞の異常増殖、すなわちがん化を引きおこし、かえって寿命を縮めることに繋がるのです。国家のかじ取りも同じで、成熟した国家にとって無理な成長戦略は必ずひずみを生じます。国内では貧困や格差が進み、それを補うため海外に覇権を求めるというがん細胞の挙動にも似た振る舞いは、国民を再び戦争の悲劇へと導く危険性を孕んでいます。
狐狸庵先生こと遠藤周作の座右の銘、「20代は肉体の季節、40代は心の季節、60代は霊の季節」という言葉を借りれば、わが国はすでに心の季節を過ぎ、霊の季節を迎えつつあるのではないでしょうか。成熟した国家が歩むべき道とは国家権力を強化することではなく、国民であるミトコンドリアを元気にし、幸福にすることです。それが結果的に国家の繁栄を持続させる賢明な方策ではないかと思います。
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