人はなぜ戦争をするのか

循環器と抗加齢医学の専門医が健康長寿を目指す「人」と「社会」に送るメッセージ

特定秘密保護法は国家のガン化促進法である

2013年12月09日 14時52分24秒 | 社会
特定秘密保護法案が不透明な中身を抱えたまま成立しました。このことについて私は、長年、命を守る仕事に携わってきた医師として深く憂慮しています。特定秘密保護法案が十分な審議や適切な修正がなされることなく拙速に成立したことによって、わが国は確実に戦争へと進むガン化への第一歩を踏み出しました。

現政権の行為は医学的に見て、ガン化していく細胞のあり様と非常に共通しています。まず、ガン細胞とは何かについて考えてみましょう。地球上に生命が誕生して間もなくのころ、私たちの祖先は果てしなく増え続けることを願うガン細胞でした。彼らは増殖に必要な遺伝子のみを携えて生きていたのです。そのために、ガン細胞の世界では獲物をめぐって争いが続いていました。人類が領土や資源を巡って戦争を繰り返してきたのと同じです。やがてガン細胞は、利己的に増殖する遺伝子だけでは長生きできず、また子孫の将来も暗いと悟ったのでしょう。祖先は細胞が無秩序に増えないための装置、すなわち増殖制御装置を開発しました。生命は約20億年をかけてこの増殖制御装置をより精巧なものに作り変えていくことで進化を遂げることができたのです。私たちの体の中には約60兆個の細胞が存在しますが、それらがめったにガン化しないのは増殖抑制装置が正確に作動しているお陰です。ところが、何かの拍子にこの装置が機能しなくなり、進化した生物の体の中にも分裂、増殖に歯止めのかからない細胞が出てきます。これがガン細胞です。

ガン細胞は脱分化した状態にある未熟な細胞です。正常細胞はそれぞれが自分に与えられた役割を果たすために分化していますが、脱分化した細胞は、自らの役目を果たさず、増え続けることだけを目的にした遺伝子のみを機能させています。このようなガン細胞は、一時的に勢力を拡大することはできても、それ以上発展することはありません。ガン細胞は試験官の中では永遠に分裂し続けます。しかし、ガン細胞は、個体すなわち人間の体の中で無秩序に増殖することによって正常細胞の機能を障害し、個体の崩壊とともに自らも死に至らしめます。ガン細胞は抑えのきかない傍若無人な振る舞いによって自滅していくのです。

脱分化したガン細胞では細胞同士の協調性が失われています。分化した細胞では、分裂、増殖してもお互いが接触した際には争いを避けるようなcontact inhibition(接触阻止現象)という細胞間の紛争を未然に防ぐシステムが確立されています。細胞同士はcontact inhibitionに従って相手の立場を尊重すると共に、お互いの情報をやり取りして自分たちはどのような働きをすればよいのかを認識するのです。私たちの祖先はお互いに協調し合って多細胞化へと進化の道を歩み、個体を形成することができたのです。

細胞がお互いを尊重し、それぞれの役割を果たして個体を守っていくために、正常な細胞の中はとても民主的なしくみになっています。細胞内の民主主義が破壊されるきっかけは何でしょうか。それは遺伝子に組み込まれた細胞の欲望、すなわち少しでも自分の勢力を拡大したいという細胞が本来持っている国家権力にも似た欲望が頭をもたげる時です。民主主義を脅かす危機は、細胞の増殖を企てる勢力が多数を占め、それが暴走した時に訪れます。

生命は細胞の暴走を抑える増殖制御装置などの憲法を遺伝子に組み入れながら進化してきました。その憲法に保障された民主的なしくみを支えているのが、メディアに相当する細胞内情報伝達系です。例えば、国際紛争や原発事故のような大事件は、細胞内情報伝達系を介して細胞のすみずみまで瞬時に正しく情報が伝えられます。その結果、細胞内に暮らす数々の小器官は、細胞を守り、ひいては個体を守るために適切な対応をとることができるのです。ところが、ガン化を企てる細胞は、細胞内外で発生した事件を正しく細胞内小器官に知らせず、自らの増殖にとって都合のいい方向にのみ情報を伝えようとします。現在の特定秘密保護法案は、まさに国民が国内外の変化に正しく対応するための情報を隠蔽し、国家権力の暴走を許すガン化促進法なのです。

民主主義国家では三権分立の制度が確立されているように、細胞内でも何かの権力が突出してくると、それを抑制する権力が働きます。例えば正常な細胞内では細胞の増殖を促す遺伝子とこれを抑える遺伝子が拮抗しています。前者がガン遺伝子であり、後者が増殖制御装置の一つであるガン抑制遺伝子です。ガン遺伝子は細胞の成長や分裂を促し、逆にガン抑制遺伝子は細胞が無秩序に増殖しないように監視する独立した機関としての役割を果たしています。どちらの勢力が優っても細胞を秩序ある成長に導くことはできません。ガン細胞では、ガン遺伝子を活性化する情報のみが溢れ、ガン抑制遺伝子を活性化するはずの情報はブロックされているのです。

それでは、ガン抑制遺伝子は本来どのように機能しているのでしょうか。ガン抑制遺伝子は、もし細胞が無秩序に増殖しようと企てると、それを察知して細胞分裂に待ったをかけます。それでも従わないときは、細胞内小器官の一つであるミトコンドリアに知らせて「アポトーシス」という自殺の機構に訴え、細胞に引導を渡します。このしくみは、細胞のガン化を未然に防ぐため、細胞内に暮らす国民とも言えるミトコンドリアに与えられた大切な権利です。国会で内閣不信任の決議を下し、選挙によって政権を交代させることができる権利と同じです。

ミトコンドリアは私たち動物細胞の中に住む1ミクロンほどの生き物です。ミトコンドリアの祖先は細菌でしたが、生命誕生の初期に細胞と共生して生命進化をリードしてきました。ミトコンドリアはエネルギーを産みだす代わりに、安全で住みよい環境を提供してもらう契約を細胞との間でかわしています。ミトコンドリアと細胞との関係は、ちょうど税金を納める義務のある国民と、その代わりに生命と財産を守る義務のある国家との互恵的関係に似ています。

ミトコンドリアは細胞のガン化を防ぐ最後の砦です。細胞内では、もし民主的な制度が機能せず、細胞がガン化しようとしても、細胞の生死を決定する権限を持つミトコンドリアがアポトーシスによって細胞を裁いてくれます。アポトーシスは、細胞や個体の正常な発育を担保するために生命進化の過程で備わった最も大切な命の制御機構です。アポトーシスは、周りの細胞や、ひいては個体に迷惑をかけるような身勝手な細胞を消去するために不可欠な犠牲死のシステムです。アポトーシスが宣告される時、ミトコンドリアも細胞と一緒に死ぬ運命を辿ります。ミトコンドリアは自らを犠牲にしてでも細胞のガン化を食い止めようとするのです。

このように、細胞がガン化するのは細胞の中に本来あるはずの民主的な制度が崩壊するからです。ガン細胞では、細胞内に正しい情報を伝えるべきメディアが機能せず、アポトーシスを叫ぶべきミトコンドリアの声は封じられています。細胞が正しく機能し、個体を守っていくための憲法は遺伝子に組み込まれています。ガン細胞とは、自分にとって都合のいいように遺伝子を突然変異(改憲)して遺伝情報(法律)を変え、ミトコンドリアの活動(言論、表現の自由)を統制してアポトーシスから逃れ、勝手気ままに増殖を始めた細胞のことです。事実、ガン細胞内にはミトコンドリアの数が少なく、その機能は抑えられています。ガン細胞はミトコンドリアに頼らず、細胞外の栄養を理不尽に搾取してエネルギーを得ています。ガン細胞はアポトーシスを避けるようにミトコンドリアを遠ざけ、だまらせているのです。同じように、国家権力にとって都合の悪い情報を国民に秘密にできる法律を与党がごり押しで成立させたことは、国家がガン化し、戦争に向かう道を開いたことに他なりません。ミトコンドリアである私たち国民は、国家が戦争への道を暴走しないように政治の動向を注意深く見守っていかなければなりません。

わが国の周囲を見渡せば、すでにガン化したとも言える国家が存在します。こういったガン細胞の脅威に対して国際社会はどのように対応すべきなのでしょうか。わが国も未熟な国家に逆戻りして闘えばよいのでしょうか。ガン細胞に対抗できるのは武力ではありません。進行したガンに対し、抗がん剤という武力を用いて真っ向勝負を挑んでも、最終的に勝利することはできません。結局はガン細胞も正常細胞も共倒れして、その中に暮らすミトコンドリアが悲惨な目に遭うのです。ガンを治療する理想的な方法は、ガン細胞が周囲の細胞と協調できるように矯正してあげることです。ミトコンドリアの声に耳を傾けられるような民主的な社会に変えてあげることです。

細胞がガン化するのは、必ずしもその細胞にだけ責任があるわけではありません。細胞がガン化するのは多くの場合、個々の細胞を統治する立場にある個体のよくない生活習慣によって細胞にストレスがかかるからです。飽食、運動不足、喫煙は細胞にストレスを与えてガン化に導く大きな要因です。よくない生活習慣を改めれば体の中はガン細胞が矯正されやすい環境に変わります。さまざまな細胞が協調して暮らす個体である国際社会は、資源の無駄使い(飽食)を避け、外交努力(規則正しい運動)をし、核兵器(タバコなど有害な嗜好品)を排除してガン化を企てる細胞からストレスを取り除かなければなりません。そうすれば、ガンは個体を死に至らしめるほどには大きくならず、やがてガン細胞は内部から興った民主的な勢力の台頭によって矯正されることになるでしょう。

このブログは風詠社出版の小著『長生きしたければミトコンドリアの声を聞け』の一部を抜粋、編集したものです。小著では少子高齢化社会を生き抜く真のサクセスフル・エイジングとは何かをテーマに、健康長寿を目指す「人」と「社会」に向けてミトコンドリアの立場と視点からメッセージを送っています。私たちはミトコンドリアの声に真摯に耳を傾け、幸福な少子高齢社会への道を歩んでいかなければなりません。それこそが、ミトコンドリアがリードした生命進化の頂点に君臨する人類の責務であると思うのです。

特定秘密保護法案はわが国をガン化へと導く第一歩か

2013年12月05日 17時43分38秒 | 日記
特定秘密保護法案が不透明な中身を抱えたまま成立しようとしています。このことについて私は、長年、命を守る仕事に携わってきた医師として深く憂慮しています。特定秘密保護法案が十分な審議や適切な修正がなされることなく拙速に成立すれば、わが国は確実に戦争へと進むガン化への第一歩を踏み出すことになるでしょう。

現政権の行為は医学的に見て、ガン化していく細胞のあり様と非常に共通しています。まず、ガン細胞とは何かについて考えてみましょう。地球上に生命が誕生して間もなくのころ、私たちの祖先は果てしなく増え続けることを願うガン細胞でした。彼らは増殖に必要な遺伝子のみを携えて生きていたのです。そのために、ガン細胞の世界では獲物をめぐって争いが続いていました。人類が領土や資源を巡って戦争を繰り返してきたのと同じです。やがてガン細胞は、利己的に増殖する遺伝子だけでは長生きできず、また子孫の将来も暗いと悟ったのでしょう。祖先は細胞が無秩序に増えないための装置、すなわち増殖制御装置を遺伝子に組み込みました。この増殖制御装置をより精巧なものに刷新していくことで生命は進化を遂げることができたのです。私たちの体の中には約60兆個の細胞が存在しますが、それらがめったにガン化しないのは増殖抑制装置が正確に作動しているお陰です。ところが、何かの拍子にこの装置が機能しなくなり、進化した生物の体の中にも分裂、増殖に歯止めのかからない細胞が出てきます。これがガン細胞です。

ガン細胞は脱分化した状態にある未熟な細胞です。正常細胞はそれぞれが自分に与えられた役割を果たすために分化していますが、脱分化した細胞は、自らの役目を果たさず、増え続けることだけを目的にした遺伝子のみを機能させています。このようなガン細胞は、一時的に勢力を拡大することはできても、それ以上発展することはありません。ガン細胞は試験官の中では永遠に分裂し続けます。しかし、ガン細胞は、個体すなわち人間の体の中で無秩序に増殖することによって正常細胞の機能を障害し、個体の崩壊とともに自らも死に至らしめます。ガン細胞は抑えのきかない傍若無人な振る舞いによって自滅していくのです。

脱分化したガン細胞では細胞同士の協調性が失われています。分化した細胞では、分裂、増殖してもお互いが接触した際には争いを避けるようなcontact inhibition(接触阻止現象)という細胞間の紛争を未然に防ぐシステムが確立されています。細胞同士はcontact inhibitionに従って相手の立場を尊重すると共に、お互いの情報をやり取りして自分たちはどのような働きをすればよいのかを認識するのです。私たちの祖先はお互いに協調し合って多細胞化へと進化の道を歩み、個体を形成することができたのです。

細胞がお互いを尊重し、それぞれの役割を果たして個体を守っていくために、正常な細胞の中はとても民主的なしくみになっています。細胞内の民主主義が破壊されるきっかけは何でしょうか。それは遺伝子に組み込まれた細胞の欲望、すなわち少しでも自分の勢力を拡大したいという細胞が本来持っている国家権力にも似た欲望が頭をもたげる時です。民主主義を脅かす危機は、細胞の増殖を企てる勢力が多数を占め、それが暴走した時に訪れます。

生命は細胞の暴走を抑える憲法を遺伝子に組み入れながら進化してきました。その憲法に保障された民主的なしくみを支えているのが、メディアに相当する細胞内情報伝達系です。例えば、国際紛争や原発事故のような大事件は、細胞内情報伝達系を介して細胞のすみずみまで瞬時に正しく情報が伝えられます。その結果、細胞内に暮らす数々の小器官は、細胞を守り、ひいては個体を守るために適切な対応をとることができるのです。ところが、ガン化を企てる細胞は、細胞内外で発生した事件を正しく細胞内小器官に知らせず、自らの増殖にとって都合のいい方向にのみ情報を伝えようとします。現在の特定秘密保護法案は、まさに国民が国内外の変化に正しく対応するための情報を隠蔽し、国家権力の暴走を許すガン化促進法なのです。

民主主義国家では三権分立の制度が確立されているように、細胞内でも何かの権力が突出してくると、それを抑制する権力が働きます。例えば正常な細胞内では細胞の増殖を促す遺伝子とこれを抑える遺伝子が拮抗しています。前者がガン遺伝子であり、後者がガン抑制遺伝子です。ガン遺伝子は細胞の成長や分裂を促し、逆にガン抑制遺伝子は細胞が無秩序に増殖しないように監視する独立した機関としての役割を果たしています。どちらの勢力が優っても細胞を秩序ある成長に導くことはできません。ガン細胞では、ガン遺伝子を活性化する情報のみが溢れ、ガン抑制遺伝子を活性化するはずの情報はブロックされているのです。

それでは、ガン抑制遺伝子は本来どのように機能しているのでしょうか。ガン抑制遺伝子は、もし細胞が無秩序に増殖しようと企てると、それを察知して細胞分裂に待ったをかけます。それでも従わないときは、細胞内小器官の一つであるミトコンドリアに知らせて「アポトーシス」という自殺の機構に訴え、細胞に引導を渡します。このしくみは、細胞のガン化を未然に防ぐため、細胞内に暮らす国民とも言えるミトコンドリアに与えられた大切な権利です。内閣不信任の決議を下し、選挙によって政権を交代させることができる権利と同じです。

ミトコンドリアは私たち動物細胞の中に住む1ミクロンほどの生き物です。ミトコンドリアの祖先は細菌でしたが、生命誕生の初期に細胞と共生して生命進化をリードしてきました。ミトコンドリアはエネルギーを産みだす代わりに、安全で住みよい環境を提供してもらう契約を細胞との間でかわしています。ミトコンドリアと細胞との関係は、ちょうど税金を納める義務のある国民と、その代わりに生命と財産を守る義務のある国家との互恵的関係に似ています。

ミトコンドリアは細胞のガン化を防ぐ最後の砦です。細胞内では、もし民主的な制度が機能せず、細胞がガン化しようとしても、細胞の生死を決定する権限を持つミトコンドリアがアポトーシスによって細胞を裁いてくれます。アポトーシスは、細胞や個体の正常な発育を担保するために生命進化の過程で備わった最も大切な命の制御機構です。アポトーシスは、周りの細胞や、ひいては個体に迷惑をかけるような身勝手な細胞を消去するために不可欠な犠牲死のシステムです。アポトーシスが宣告される時、ミトコンドリアも細胞と一緒に死ぬ運命を辿ります。ミトコンドリアは自らを犠牲にしてでも細胞のガン化を食い止めようとするのです。

このように、細胞がガン化するのは細胞の中に本来あるはずの民主的な制度が崩壊するからです。ガン細胞では、細胞内に正しい情報を伝えるべきメディアが機能せず、アポトーシスを叫ぶべきミトコンドリアの声は封じられています。細胞が正しく機能し、個体を守っていくための憲法は遺伝子に組み込まれています。ガン細胞とは、自分にとって都合のいいように遺伝子を突然変異(改憲)して遺伝情報(法律)を変え、ミトコンドリアの活動(言論、表現の自由)を統制してアポトーシスから逃れ、勝手気ままに増殖を始めた細胞のことです。事実、ガン細胞内にはミトコンドリアの数が少なく、その機能は抑えられています。ガン細胞はミトコンドリアに頼らず、細胞外の栄養を理不尽に搾取してエネルギーを得ています。ガン細胞はアポトーシスを避けるようにミトコンドリアを遠ざけ、だまらせているのです。同じように、国家権力にとって都合の悪い情報を国民に秘密にできる法律をごり押しで成立させることは、国家がガン化し、戦争に向かう道を開くことになるのです。ミトコンドリアである私たち国民は今後の政治の動向を注意深く見守っていかなければなりません。

わが国の周囲を見渡せば、すでにガン化したとも言える国家が存在します。こういったガン細胞の脅威に対して国際社会はどのように対応すべきなのでしょうか。同じように国家を未熟化して闘えばよいのでしょうか。ガン細胞に対抗できるのは武力ではありません。進行したガンに対し、抗がん剤という武力を用いて真っ向勝負を挑んでも、最終的に勝利することはできません。結局はガン細胞も正常細胞も共倒れして、その中に暮らすミトコンドリアが悲惨な目に遭うのです。ガンを治療する理想的な方法は、ガン細胞が周囲の細胞と協調できるように矯正してあげることです。ミトコンドリアの声に耳を傾けられるような民主的な社会に変えてあげることです。

細胞がガン化するのは、必ずしもその細胞にだけ責任があるわけではありません。細胞がガン化するのは多くの場合、個々の細胞を統治する立場にある個体のよくない生活習慣によって細胞にストレスがかかるからです。飽食、運動不足、喫煙は細胞にストレスを与える大きな要因です。よくない生活習慣を改めれば体の中はガン細胞が矯正されやすい環境に変わります。さまざまな細胞が協調して暮らす個体である国際社会が果たす役割は、資源の無駄使い(飽食)を避け、外交努力(規則正しい運動)をし、核兵器(タバコなど有害な嗜好品)を排除してガン化を企てる細胞からストレスを取り除くことです。そうすれば、ガンは個体を死に至らしめるほどには大きくならず、やがてガン細胞は内部から興った民主的な勢力の台頭によって矯正されることになるでしょう。

このブログは風詠社出版の小著『長生きしたければミトコンドリアの声を聞け』の一部を抜粋、編集したものです。小著では少子高齢化社会を生き抜く真のサクセスフル・エイジングとは何かをテーマに、健康長寿を目指す「人」と「社会」に向けてミトコンドリアの立場と視点からメッセージを送っています。私たちはミトコンドリアの声に真摯に耳を傾け、幸福な少子高齢社会への道を歩んでいかなければなりません。それこそが、ミトコンドリアがリードした生命進化の頂点に君臨する人類の責務であると思うのです。