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憲法改正と突然変異

2022年04月06日 17時23分29秒 | 社会
ガン化を抑えるシステムは接触阻止だけではありません。細胞には他にもガン化しないための高度に洗練された遺伝子が整備されています。遺伝子は国家における憲法に相当します。国の形を決めるのが憲法ならば、細胞の形を決めるのが遺伝子です。

国家が憲法に基づいて法律を作るように、細胞は遺伝情報に基づいてタンパク質を作ります。法律は人間社会を動かす基盤ですが、タンパク質も細胞の枠組みを作り、細胞がさまざまな機能を果たすための原動力となります。

エネルギーを産み出すのに必要なタンパク質、細胞を動かすタンパク質、増殖に必要なタンパク質、ガン化を制御するタンパク質、これらすべてが細胞の正常な機能を担保するため有機的に働いています。憲法が正しく解釈されなければ国の形が歪んでしまうように、遺伝子が正しく翻訳されなければ異常なタンパク質が作られて細胞の機能が損なわれるのです。

わが国では護憲か改憲かという議論が噴出しています。生命にとって改憲とは遺伝子の突然変異を意味します。突然変異は必ずしも細胞にガン化をもたらすわけではありません。突然変異は進化の源泉でもあります。自然選択は常にその時代の環境に合ったように突然変異した個体の生存に有利に働いてきました。突然変異の目的が個体の利益のためなのか、細胞の無秩序な増殖のためなのかを見極めるのが細胞内に暮らすミトコンドリアの役目です。同様に、憲法改正の目的が国民の幸福のためなのか、国家権力強化のためなのかを判断するのが私たち国民の役目です。護憲か改憲かという議論よりも、人間社会の進化のためには、どの憲法をどのよう変えるかを議論すべきなのです。


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