トンスランド38度線での攻防は続いていた。
今戦線を維持しているのは「硬いコンクリート」である。
北朝鮮の精鋭「天馬(せんぐん)号」は、1つを除いて完璧な性能を誇示したが、1つの欠点で全てを台無しにしている。
「重い」
そして、それを覆す動力が無かった。
大型の大陸型戦車の共通の欠点である。
K-1の段差乗り越えられないビデオは何もK-1、K-2も何も特別な問題ではないのだ。
段差こそ戦車の敵である。
北朝鮮は天馬号だけではなく、その「真反対」の軽量バイク部隊を作るべきだったのだ。
だが、それをやっていない。無論、南トンスランド群も同じである。
馬鹿と馬鹿の良い勝負だったのだ。
北朝鮮は基本的な点を全て押さえていた。
だが、一つ間違った点がある。
それは南トンスルランドが「度外れた馬鹿」だったのだ。
楽勝の相手だと思っただろう。
それは皆そうだ。
北朝鮮の勝利は確実と「物の分かった軍人」は言うだろう。
だがプロシアのメッケル少佐は関が原の戦いを「西軍勝利」と断じたが間違っていた。
メッケル少佐は「ナポレオン」の「地勢的勝利は決定的なものではない」と言う事を忘れていたのだ。
実は南トンスルランドが今戦線を維持しているのは「有能」ではなく、合理的と非合理的の間の極端な差だったのだ。
そして南トンスルランドが今あるのは、珍しく真面目に作ったコンクリート構造物だったのだ。
そんな「糞みたいなもの」で全ての作戦をパーにしているのである。
到底キム・ジョンウンは分かっていなかった。
まだキム・ジョンウンは戦術的常識を持っていた。
これは南トンスルランドより遥かにマシだった。
だが今回の戦闘ではマイナスになったのだ。
先ず北朝鮮は、38度戦を一斉に硬化するヴェーマハトをやりたかったのだ。
だが、そうは行かなかった。
三国志の時代、魏の司馬懿仲達は北の公孫淵の反乱の折り、司馬懿指揮下の魏軍を迎え討たんと、布陣したが司馬懿は、その陣を無視し、早々に渡河し、居城を襲撃した。
これを称して「敵の守らんが所を討つ。何ぞ敵の望む所で戦う事非ずなり。」である。
その敵の望む所で北朝鮮は戦う事を決めたのだ。それは「ソウルを落とす」事、「ソウルを占領する」事、「敵首都を落とす」事に「拘泥した結果」である。
頭の悪い南トンスルランド群(「むれ」と読む統率の無い集団である。)は、元々こんな戦いになるとは思っておらず間抜けの公孫淵と似たようなって言うか、間抜けの弱っちぃ公孫淵がチョングソの起源かも知れない。いや、この間抜けで弱い点、司馬懿に簡単に一撃で滅亡って、そりゃチョンと同じでしょう。
そんなこんなで、北朝鮮も南トンスルランドも同じ間抜けの腰抜けの低能の弱い弱い公孫淵の血を辿った挙句、この手の泥仕合を。そう、今後は当に泥仕合となった。
開城から進行する天馬(せんぐん)号の一部隊は、艱難辛苦の挙句、ようやくソウルの北北西から進行に掛かるようになった。
一方で江原道(あの心霊詐欺豚じゃないよ)からの侵攻は、今の所、ブロック塀を突破できずに居た。
ここでの「腰抜け卑怯戦術」は戦車の威力ばかりに頼っている北朝鮮の弱い点を撃たれた。
と言うか、南トンスルランドは妙に攻めにくかったのだ。
中途半端な開発、何か知らないが何か立っている。そんで道路も悪けりゃ規格も不統一。まぁ規格があっても守らなきゃ意味ないし…。
そんなこんなで、ブロック塀を越えた天馬号約500両は、相応の戦力の筈が、今爆撃による穴と、元々仕上がりの悪い道路によって、予想外の苦戦をしている。
「これは意図したものか?」北朝鮮の金血便将軍はそう思ったが、それは考え過ぎだった。
適当に捏造した。これが正しい結論だったのだ。
そりゃ1両や2両、いや10両にしようか?それぐらいは走れるが、そう毎日ではない。そして、敵が攻める時は、千両以上くるのだろうが、日本の場合、きちんとそれに対応できる適度舗装するかもしれない。勝つと思っているから、だがチョングソの場合「根拠のない自信」と「自分が無敵」と思い込む勘違い、そして「必ず手を抜くという脳の異常」も相俟って、結局、この様な駄目な駄目な仕上がりとなっているのです。
例えば日立市の日立の工場から大型プラント(原発のキャスク」)なんかを運ぶ時は、自慢の350tトレーラーを走らせるが、それは道路のど真ん中で、その時には通行止めとなる。
これほど、重量物を動かすのは土地に影響を与えるのだ。因みに、その道路も日本最高レベルの舗装である。だが350tもあると、道路が持たない。
チョンの適当舗装では、100t程度のものが走ると、ボロボロになってしまうのである。まだ、何もない草原の方がマシだった。
それがチョンの土木捏造。
だから防衛方針も、駄目な土木建築を壊していけば、相手の足が止められるのである。
しかし、今、頑丈な筈の天馬号ですら、メチャクチャな集中攻撃を食らうと、幾ばくかやられる事が分かり、また航空戦力は南の方が圧倒していた。
困った事にF-15Kはほぼ停止。主力はF-5だったのだ。
このF-5はいい仕事をした。またAE&Wも5機がフル整備が米兵によって行われた為に、最高の効率で動いている。
己を知らない南トンスルランド群は敵の情報だけはしっかり知っていたので「とりあえず負けなかった」のである。
6時間後、ようやくコンクリートブロックを排除して、北朝鮮の戦車部隊が攻め込もうとした時点で、今度はコンクリートブロックを支えていた、左右の壁に爆発がおきた。
そして斜めに亀裂が入る。その亀裂に沿って、左右のブロックが内側に入り込む。そして天馬号が左右から押し潰された。
このトンスランドとしては意外なほどの巧妙な建築はこの期に及んでも敵を排除した。
これの除去に更に6時間を必要とする。
北朝鮮は500両の戦車で進行を進める為に、歩兵を続々と塀を超えさせた。だが、それを座視していなかった。1万両も用意した無人対人戦車をフル出動させた。
ミニガンは壁を乗り越えようとした北朝鮮兵を次々となぎ払った。
北朝鮮軍は壁の周辺ではなく遠く迂回した場所で塀の前に出ようとしたが、そこには隙間なく対人地雷が存在した。
恰好の猟場となった。
この狡猾な罠の応酬は延々と続き、ここでは北朝鮮兵が10万以上骸を晒した。
一方で、開城からの戦車部隊は100両程度で、ようやく辿り着いた感じだった。
キョンギ道 パジュ市チョサンリを突破した後、ムサンエから渡河を行い、北部からの突入部隊と南のバンチョロから東へ渡河した部隊が混成し、
一時停止して、歩兵などの航続を待った。
戦車部隊からは、支援の砲撃を要請したが、ソウルの中心部を攻撃すると瓦礫で交通が阻害される恐れがあると、拒否された。
それに対して、ソウル東部の幹線道を中心として敵の戦車部隊がいる可能性がある。そちらを掃射して貰いたいとの願いは受け入れられた。
砲撃が暫く続いた後で、航続も揃い、進軍を開始した。
先ずは周囲から歩兵を先行させた。やはり対戦車地雷が山とある。
工兵部隊は、対人地雷を地面スレスレニ配置して、対人地雷を叩き出そうとした。
対人地雷は、長さ100mに渡り、地中5cm程度の深さのものを削りだした。それには幾ばくかの爆発も見えた。
工兵は、その対人地雷の削ぎ取った部分を歩き、その周辺の様子を探った。怪しそうな場所に大きな石を投げて、爆発を探った。
そのような慎重な進軍が繰り返された。それから暫くすると「パーン」
狙撃兵の銃撃である。
狙撃位置は、撃たれた兵士の位置から推定され対人弾頭がビルの中に打ち込まれた。
北朝鮮の戦車隊は、これが限度と思い「全車突入せよ!」
但し、突入はしながら戦車に乗った工兵が石を前に投げて、対戦車地雷を探っている。
一方で斥候の兵士は、纏まった機動部隊は存在しない旨を報告してきた。
「秘匿しているとは考えられないか?」
「とりあえず駐車場の類は全て調べました。予てからの協力者からの報告からも符合します。」
これ以上慎重策は将軍に怯懦ととられる恐れがある。
「進軍を続けよ!」
高速で、道路を走った。天馬号は80km以上の速度が出る。かつての戦車、そうM-47や48の低速戦車のように30km/hの三倍の速度が出るのだ。
だが、それで驚いた事がある。
路面が変だ?何かフワフワする。こんな舗装道路で?
と思うが早いか、
「隊長!」
そう叫ぶ後続の戦車部隊だった。
その後雷のような音がする。
思わず後ろを振り返ると驚いた。戦車が沈み込んでいる。
「落とし穴か!」それにしても、一般人が通る道路だぞ!?
だが、その後更に進軍すると、先行する戦車隊が、「何か変です!隊長!危ない!ここはぁぁぁああ!」
その言葉を言い終わる前に、先ほどを10倍する雷鳴が轟く。それは雷鳴ではなかった崩落の音である。
前方の天馬号の部隊20両がまとめて地下に崩落したのだ。
「なんと言う事だ!こんな空洞があるのか!ここは首都だぞ!こんなスカスカの地盤である筈が…」
だが、そこに巨大な下水と上水の管があった。
「エロージョンか?こんな大規模に?それで、この有様か?」
実は、ソウルの地盤は、配水管と共に水で削られていたのだ。
「そして、この高層建築?気がふれていないか?」
見上げれば、高層建築である。
「これは不味い。砲撃しないのは正しかったが、だからと言って、ここを占拠するのは難しい。南のゴキブリは、この穴の状態を把握しているのか?」
実は日本の土中探査会社が調べたのだが、それは若干の問題があった。表面は正解だろう。だが彼等の探査はミリ波を使ったもので、探査能力としては深くは無い。
本当の大空洞が既にあったのだ。それは100t近い戦車の大群が動き出してようやく分かったのだ。
ソウル大陥没坑1号と名付けられた大陥没を彼等は見つけたのである。戦車隊は、後退せざるを得なかったが、その後ろは小さいながら陥没している。
。。。。
書いていて分かったけど、ソウルを陸上戦力だけで攻めるのは無理がある。
開城から、ソウルまでの間の山の多さには辟易する。また川の前後の段差を考えると、相当な工兵と段差を超える方策が必要。間に何回も山の間を通らねばならず、これを突破するのは可能なのか?ギモンである。
一番いいのは、強襲揚陸艦などにより、開城から渡ってくるのだが、そんな艦艇があるのか?
一番守りにくいのは、国境線の殆どを山が覆っているので人海戦術で来られるのが一番面倒だろう。
この辺は適当に済ませましょうか?
。(続きます)。