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姫路大手前・岡崎外科 消化器肛門クリニック ブログ・肛門科通信

姫路城が好きで姫路在住の消化器・肛門科医によるクリニックのブログです。胃腸肛門の情報あり、気軽にお越し下さい。

おしりのしまりは大丈夫?

2009-06-01 01:00:00 | 肛門括約筋の話題
「おしりの締まり」は、内肛門括約筋などの無意識の締まり=「静止圧」と外肛門括約筋などの意識して締める力=「随意収縮圧」からなっています。正常な肛門の様子を参照。当院では、直腸肛門機能検査として、括約筋の強さを正確に測ることができます。肛門の広さが十分ある場合は、医師の指先の感覚でかなり正確に判定できますが、裂肛(切れ痔)などで狭くなっている肛門では指の太さが邪魔になり、正確に判定できません。そこでこの器械の登場となります(写真)。個人のクリニックでの導入はまれですが、直腸肛門の機能に注目するからには必要な装置だと考えています。(スターメディカル社製。圧力トランスデューサー、自動引き抜き器、ポケットモニター、データ転送ボックス、コンピュター・解析ソフトからなる装置です)
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肛門の手術で一番大切なこと

2009-03-20 01:28:44 | 肛門括約筋の話題
私が肛門を手術するときに一番大切と考えていることについてお話ししましょう。

肛門の一番大切な役割は、便をきちんと止めることだと考えています。そして次の役割は、きちんと便を出せることです。そのためには、肛門括約筋を主とする「便止め」の機能を守ることだと思います。これを守るための技術こそが、私たち肛門外科医にとっての誇るべき技術だと考えます。

肛門の変形をきたしやすい痔瘻の手術での、シートン法や、瘻管くりぬき術など。出来るだけ切らない方法を選択できる「余裕」も、私たちの技術です。「切りすぎた肛門は元に戻らない(*)」という言葉を常に念頭に治療をしています。

皆さん(患者さん)のお仕事は「括約筋トレーニング」です。協力してやっていきましょう。

クリニックのHP(website)はこちら(別ウインドウで開くのはこちら)です。

(*)「痔核の治療 ゴム輪を用いた結紮切除術」医学論文(共著)消化器外科, 28: 311-321, 2005
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ゆるむ時代に必要なものは?

2009-03-19 21:42:17 | 肛門括約筋の話題
超高齢化時代になり、肛門括約筋不全といわれる状態の「ゆるい肛門」にお目にかかることが増えました。

今後絶対に必要になるものに、「人造肛門括約筋」があると考えます。おしりが締まらないと、社会生活が出来なくなります。QOL(生活の質)を保ちながら長生きするためには、おしりの締まりが絶対必要です。直腸がんでの本当の意味での肛門温存(肛門管吻合)のためにも必要な技術です。磁力や電気による人工筋肉の研究も一部で少しずつ進んでいて期待しています。

こんなことを考えているのは、私ぐらいでしょうか。なにしろ私、姫路城の話をしていて、「おしろ」と言うときに、つい「おしり」と言ってしまうことがあるのです。細君にも「あなたって、ずーっとおしりのことを考えてるんでしょうねえ」と言われます。私はほめられたと思って、図に乗るくらいです、へこたれません。

クリニックのHP(website)はこちら(別ウインドウで開くのはこちら)です。
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ゆるむことは楽になる事?

2009-03-16 00:13:20 | 肛門括約筋の話題
肛門科で診ていますと、「昔は痛くて大変だったが、いつの間にか楽になった」と言われる方が多くあります。

若いころに内痔核、脱肛がひどく、脱出しては痛んでいた場合でも、いつの間にか楽になることがあります。
若いころに、裂肛(切れ痔)がひどく、つらくても、いつの間にか楽になることがあります。

これって括約筋が少しゆるく(緩く)なったからなのです。痔は若いひとの病気といわれるゆえんでもあります。
ゆるみ過ぎは困りますが、適度な緩みは、もしかして神様の配慮なのかしら。とは、専門医のつぶやき。

ゆるむこととも、うまくつきあわねばなりませんね。

肛門括約筋については、左のカテゴリーの「肛門括約筋の話題」をクリック。
「裂肛(切れ痔)」にも関連記事がありますよ。
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肛門括約筋を締めるトレーニング

2009-03-15 07:54:18 | 肛門括約筋の話題
肛門括約筋は括約筋を扱う手術(肛門狭窄形成手術、痔瘻手術など)の他、加齢や妊娠出産、会陰切開、体重増加などによって徐々に弱ってきます。正常な肛門の断面図も参照ください。

弱りを最小限にするために大事なのが、括約筋トレーニングです。そのコツをお教えしましょう。

慣れるまでは、お風呂などでリラックスしておこなってください。利き手の人差し指を肛門にあてます。決して中には入れないでくださいね。肛門の断面図でも分かるように、括約筋が閉まれば、肛門は少しだけ上につり上がる動きをするはずです。その動きを人差し指で感じながら、括約筋だけが閉まるように練習します。「5秒くらいしめ、フッと力を抜く」の繰返しを何分かしてみましょう。慣れてくれば、指も使わず、どこの筋肉も動かさずに出来るようになります。誰にも気づかれないで出来るようになれば、もう大丈夫。

クリニックのHP(website)はこちらです。
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Q:括約筋切開で膣の筋力は?

2009-03-14 00:41:27 | 肛門括約筋の話題
裂肛の治療としての内肛門括約筋側方切開術(LSIS)を受けた女性からの質問がありました。(コメントのチェックの仕方が不十分で、お返事が遅くなったことをお許しくださいね)

Q:「括約筋は8の字になっていると聞きました。LSISで膣の方の筋力に影響があるでしょうか?」ということです。
A: 多少はYesです。(下記をよくお読みください)

LSISをお受けになったのですから、内肛門括約筋が常にきつく閉まっている状態を改善するために手術されたものと拝察いたします。その結果現在、裂肛による肛門狭窄の症状が改善しているのなら、治療は成功しています。ご安心ください。(LSISで切り過ぎると緩み過ぎることがあります)
一つの筋肉が8の字型をしている訳ではありませんが、複数の筋肉が結果として女性の場合は8の字になっています。しかし筋力はこの8の字の筋肉だけの問題ではなく、多くの筋肉全体の問題なのです。以前はこれらの筋肉がゆるむことによる症状を直腸脱、子宮脱などと分けていましたが、最近は「骨盤内蔵脱」として、一つのものとして扱う傾向にあります。ですので、多少は影響があると言わざるを得ません。これから大切なことは、現在の筋力を保つことです。そのために、おしりを締める練習が大事です。おしりを締めることは、つまり膣を締めることでもあります。筋力に影響するものとして、出産時の会陰切開や、産後の体重の戻り、肥満なども重要です。括約筋の手術だけではないのです。

筋力を保つトレーニングを解説しました。ごらんください。手術していないかたも、加齢により緩んでいくものですからね。

この内容はカテゴリー「裂肛(切れ痔)」と「肛門括約筋の話題」両方に関わるので、同日に2回掲載しています。日付ごとにご覧になっているかたご了承ください。

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