origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

川本三郎『アカデミー賞 ーオスカーをめぐる26のエピソード』(中公新書)

2008-12-02 23:06:57 | Weblog
川本三郎は1944年生まれ。近代日本文学や映画に関する著作で有名である。ドイツ文学者の川村二郎とたまにごっちゃになる。
(1990年の出版当時に)60年の歴史を持つアカデミー賞に纏わる悲喜こもごもを描いた新書である。アカデミー賞に取り付かれたヘンリー・フォンダ、意外とアカデミー賞を取っていない名匠フランク・キャプラ、『痴人の愛』の名演技が認められずセルズニックに嫌われた名演ベティ・デイヴィス、エンターテイメント性が高すぎたためになかなかアカデミー賞を取れなかったスティーヴン・スピルバーグ、アカデミー賞に恵まれなかったチャップリン、バスター・キートンらの喜劇俳優、アカデミー外国語映画賞に輝いたヨーロッパの名監督たち(デ・シーカ、フェリーニ、ベルイマン、トリュフォー)や黒澤・溝口……。
著者はアカデミー賞の偏向ぶりを批判的にとらえてはいるが、全体的にはアカデミー賞という制度を映画振興に帰するものとして評価している。そしてアカデミー賞に纏わるゴシップは映画ファンとして見逃せないことは疑い得ない。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。