すずみにいってきます

昨年暮れに我が家でおもしろいことがあった。

日曜日　私はゆっくりと風呂に入った。

居間には娘二人、
一人は昨年十月からはまっているパズル本を夢中でやっていた。
後で聞くと　このパズル本実は妻（娘の母親）のものであった。これ以降　妻の口癖は「私のパズルを勝手にして・・」を接頭語に「部屋をかたづけろ」とか「勉強しろ」とかの用語を上手く使っている。
もう一人はテレビで娯楽番組を見ている。カチン？！とか忍者エイト？！とか言うグループに夢中だ。おっと娘から訂正が入った。正式には「カトゥーン」と「カンジャニエイト」と言うらしい。
とにかく娘たちは夢中のど真ん中である。
妻は食事の支度をしていた。我が家の構造上、台所に立つと、換気扇の音で居間の音が全くしないのが若干の欠点である。

そんな中、私が風呂から上がってきた。今日は仕事の持ち帰りもなく、のんびり一日を過ごした。湯船につかりながら、ラジオを聞いていると、ついついつかりすぎて、長湯になってしまった。

湯上がりの時はみんな関心を示さなかったものの、
「ちょっと　すずみにいってきます」
と言って外にでた。外は優しい冬の風が、少し湯あたりした体をゆっくりとさましてくれた。ところが何やら家の中が騒がしい！！

入ってみるといきなり
「お父さん　いったい何を見に行ったの？」
「・・・？」
「だって、お父さん『○○見に行ってくる』と言って出ていったよ」
「・・・？・・・！！」

父さんは
「涼みに行ってくる」といったのに「鈴見に行ってくる」と聞こえたんだね。