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腐るお金が世界を救う

2012-10-24 14:45:42 | 国債・財政問題

時事ネタではありませんが、大事なことだと思いますので紹介します。


「腐るお金」 縮む経済への処方箋 JanjanNews さんより
九鬼信2009/10/24

デフレスパイラルが止まらない。

将来クビになるかも知れない、給料は下がっても上がるとは思えない、そんな不安が財布のひもを固くしている。
その財布のヒモを少しでもゆるめさせようと、スーパーや家電店などはプライベートブランドなどを作って価格をどんどん下げている。
価格低下は食品や家電だけでなく、すべての商品を巻き込んでいる。
しかし、価格が下がるということは儲けが少なくなるということであり、それは給与を減らし、雇用を減らすことにつながる。
すると財布のヒモはますます固くなる。その財布をこじ開けようと商品の価格が下がる。すると給与と雇用が減る。
デフレスパイラルが恐ろしいのは、この悪循環が止まらないためだ。

厄介なのは、借金はますます膨らむことだ。
ものが売れなければ、借金を返せない。
しかし借金は利子が付くから、返さなければますます増えていく。
デフレスパイラルで収入は減るのに、借金は膨らむ。二重苦だ。
しかもこの苦しみは日本だけではない。
アメリカやヨーロッパなど、これまで繁栄を謳歌してきた先進国が揃って苦しんでいる。

この借金がふくらみ続けるというのは、本当に厄介だ。
世界経済がうまくいっているときは、ものがよく売れ、少しずつ物価が高くなり、それに併せて給料も高くなる。
これが経済成長というものだ。
経済成長のスピードと借金の利子率とが釣り合えば、帳尻が合うので、何も問題はない。
だがデフレスパイラルになると、経済は成長しないのに借金だけが膨らむ。
儲からないのに借金が増えればどうなるか。
倒産や破産ということで借金を帳消しにするしかない。
すると銀行は大損し、金を貸すのが恐くなって融資が滞り、企業の資金繰りがますます悪くなって倒産が増えてしまう。
これがデフレスパイラルをさらに加速させてしまう。

デフレスパイラルが止まらなくなるのは、お金の特質に原因がある。
それは、「減らない」、「増えてしまう」ことなのだ。

パソコンは古くなると価値がどんどん下がるし、最後には壊れて何の価値もなくなる。
コメなどの食品は時間が経つにつれ品質が劣化し、最後には食べられなくなって何の価値もなくなる。
お金以外のものはすべて錆びたり腐ったり壊れたりと、劣化する宿命にある。
ところがお金だけは違う。
1万円はいつまでも1万円。
腐りもせず、価値も減らない。
それどころか、銀行に預けておけば金利がタダみたいに低いとはいえ、少しは利息が付く。
お金は使わずに取っておくと、他のものとは違って増えるのだ。
コメを持っていても増えてくれないし、自動車はだんだん壊れていく。
だが、お金は使わずにいれば減らないどころか増えてしまう。
だから、財布のヒモが固くなるのだ。
財布のヒモが固くなるから給料が減り、雇用が減り、デフレスパイラルが止まらなくなるのだが、お金を持っておけばずっと減らずに増えてくれるのだから、財布のヒモが固くなるのも無理はないのである。

財布のヒモをゆるませるには、経済成長しかない。
ものがよく売れ、お金の巡りがよくなり、給料が上がり、財布のヒモがゆるみ、さらにものがよく売れ、それにつれて少しずつ物価も上がり、その結果売り上げが上昇し、給料も上がり・・・と、ゆるやかな経済成長を続けると、財布のヒモがどんどん緩くなる。
経済成長しなければ財布のヒモはゆるめられることはない。

だが、世界経済の構造が変化し、経済成長はあまり望むことができない。
理由は二つある。
一つ目は、世界の浪費王・アメリカの経済構造が壊れ、浪費社会を維持できなくなったことだ。
アメリカは巧妙な経済秩序を作ることで、「借金で浪費生活をエンジョイする」という奇妙な経済システムを作り上げるのに成功してきた。
それは「四つのパラダイム崩壊」に詳しいので、そちらをご覧いただきたい。

もう一つは、環境問題だ。
さすがのアメリカでさえ、これ以上浪費生活を続ければ地球が壊れてしまうという意識が強まってきた。
途上国はまだまだ豊かさへの憧れを止められないが、それでも忸怩たる思いがどこかにあるようである。
「消費は美徳」というこれまでの浪費社会の信仰が崩れ、浪費はやはり悪徳であった、という時代に世界は突入しつつある。
環境への配慮が、財布のヒモを固くして消費を減らす口実として存在感を増している。
「皆さん、もっとものを買って経済をよくしましょう」と訴えかけても、「じゃあ、環境問題に対してどうするのだ」というジレンマが発生する。
エコノミー(経済)をよくしようとすればエコロジー(環境)が悪影響を受け、エコロジーを守ろうとすればエコノミーが悪くなる。
この矛盾に苦しんでしまうのである。

もちろん、環境と経済は必ずしも矛盾しない、むしろ環境対策は経済対策につながる、という意見がある。
それも事実だ。
ただ、環境対策はお値段の張るものが多い。
太陽電池を屋根に敷き詰めるには100万円では足りない。
給料が下がり、雇用不安がある中では、なかなか手を出せない金額だ。
そんな高額な対策を取るくらいなら、おカネのかからないもう一つの環境対策・・・ものを買わない、という行動の方が簡単に実践できる。
しかも、「ものを買わない」という環境対策は、個人のレベルでは同時に経済対策でもある。
財布が痛まないからだ。
結局、環境への配慮は財布のひもを締める結果につながりやすい。

実際、環境負荷を減らすには、浪費生活をできるだけ改めるのが望ましい。
太陽電池を使うのも一つだが、そもそも電気やガスの使用量を減らすというのも立派な環境対策だ。
消費行動を控えるというのは、最も効果的な環境対策の一つなのだ。
世界中の人々、特にこれまで浪費社会をエンジョイしてきた先進国が消費を控えれば、地球環境への負担は大きく軽減できる。
環境を考えれば、消費はどんどん減らした方がよい。

だが、現在の経済システムでは消費が減ると儲けが減り、借金の負担がさらに重くのしかかるようになる。
お金は上述したように、増えはしても減りはしない。
借金ともなれば、利子は貯金の利息よりずっと大きい。
儲けがないのに借金が膨らむ。
それでは生活が成り立たなくなる。
地球環境を守れば私たち自身の生活が成り立たなくなる。
そんなジレンマに私たちは立たされている。

これを解決する一つの方法として、「腐る貨幣」を試してみる価値がある。
使わずに取っておくと、価値がどんどん減っていくお金だ。

今日は1000円の価値があるが、毎日10円ずつ価値が下がるお金があったとしたら、あなたはどうするだろう?
価値が減る前になるべく早く使おうとするだろう。
それを受け取ったお店も、「こんなお金はさっさと使ってしまった方がよい」と、通常のお金を使うより先に、その「腐るお金」を何かの支払いに使ってしまうだろう。
「腐るお金」はいわゆる「悪貨」だ。
誰もそんなお金を持っていたくない。
価値がまだ残っているうちに、さっさと使ってしまいたくなる。
だから、「腐るお金」は次から次へと人の手に移っていく。
通常のお金と違って、すごいスピードで次から次へと。
「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉があるが、「腐るお金」は悪貨であるため、「良貨」である通常のお金はちっとも動かなくても、どんどん流通する。
つまり、お金の巡りがよくなるのだ。
お金が動くようになるというのは、それにあわせて商品が売れるということになる
商品が売れれば儲けが出て、給料も払えるし雇用も生まれる。
そうなれば財布のヒモも緩くなる。
お金が動けば、経済はよくなるのだ。

「腐るお金」がお金の流れをよくし、景気をよくすることは、オーストリアのヴェルグルという町の実験が示している。
ヴェルグルはスタンプ紙幣という一種の「腐るお金」を発行し、大成功を納めたのだ。
スタンプ紙幣は一定期間ごとに少額の印紙を貼らないと価値がなくなってしまうので、印紙代が惜しい人は早めに使ってしまおうとする。
それを受け取った人も印紙代を払いたくないから、さっさと使ってしまおうとする。
「腐るお金」がすごいスピードで町の中を流通し、あっという間に経済を活性化したのだ。

このヴェルグルの実験を、日本でも試してみる価値はある。
ただ、いきなり現在の日本銀行が発行する紙幣を「腐るお金」にするのはハードルが高い。
一時期話題になって消えた、政府紙幣のアイディアを復活させ、これを「腐るお金」としてみてはいかがだろう。

「腐るお金」を使うと奇妙なことが起きる。
給料が下がっても消費は落ちないのだ。

給料でもらったお金が「腐るお金」だったら、取っておいてもなくなってしまうのだから、さっさと使ってしまうだろう。
もちろん、「腐るお金」で給料をもらうと、次の給料日までにお金の価値がどんどん下がるわけだから、実質給料が減らされたようなものだ。
だが、お金を手元に残していても価値が減っていくばかりだから、使わずにはいられない。

もちろん、「腐るお金」は価値がどんどん下がるから、価格の高いものより安いものを買おうとするだろう。
売る側も、なるべく安い値段で商品を提供して買ってもらおうとする。
安くするから、そこの従業員は給料が安くなる。
給料が安くなるから、安い商品しか買えなくなる。
こうして、物価の値下がりと給料の低下は続くが、不思議とお金の動きは止まらない。
お金が腐るからだ。

そう、「腐るお金」だと、経済成長しないのにお金の巡りがよくなり、「景気がよくなる」という不思議なことが起きるのだ。
そんなことが起きるのは、お金を「腐らせる」ことで、「貯めておくことができない」、つまり貯蔵機能を奪って、交換する機能、すなわち交換価値だけを残すことに成功するからだ。
お金が貯蔵の利かないものになれば、価値が減る前に使ってしまおう、という風にし向けるのだ。
「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉は、そもそもあまりよい意味では使われていなかったのだが、「腐るお金」は、この言葉を逆手に取ったなかなか面白いアイディアだ。

「腐るお金」について詳しく知りたい人がいれば、『エンデの遺言―根源からお金を問うこと』が入門書として優れているので、ぜひ読んでみて頂きたい。
この本は、児童文学で有名なミヒャエル・エンデが最後に語った、「お金」の奇妙な性質に疑問を呈した、興味深い内容のものだ。
ミヒャエル・エンデは、映画化されて一世を風靡した「ネバーエンディングストーリー」、ある程度の年齢の方なら、NHKの「アインシュタインロマン」という科学特集に記憶のある人がいるだろうが、その司会進行役としても登場していた。

そのエンデが、生前、「腐るお金」の可能性について言及していたのだ。
時はバブル崩壊してまもなくの頃。
そのときすでにエンデは、「お金のあり方を見直さないと、人類の存続に関わる重大な事態になりかねない」と警告している。
世界に先駆けて、日本が「腐るお金」をうまく使いこなし、経済を縮小させながら経済を活性化させ、環境問題に貢献する実験を試みてみるのはどうだろう。
「腐るお金」の発行量をうまく調整すれば、活気ある経済を維持したまま、経済の規模を小さくするという「縮小均衡」をスムーズに進めることができるだろう。
そのことは地球環境への負荷を小さくすることができることを意味する。

はたして、「腐るお金」が経済全体にどんな影響を及ぼすのかは、さまざまな思考実験が欠かせない。
予想できない事態も起こりうるだろう。
だが、試してみる価値のあるアイディアであることは確かだろう。

(自分のコメント)
デフレは先進国病なのかもしれません。というか、どんな国でも経済が成熟してしまうと現状の通貨システム、即ちロスチャイルドが世界中に伝播し実践している、通貨が利息を生み出す通貨システムでは、通貨の滞りによってデフレが発生してくるようです。

通貨即ち、紙切れや金属、通帳の表記、磁気的な記憶、電気的な信号などが利息を生むなどということは、変な話です。通貨以外の「もの」は殆どが時間とともにその価値が減退するのに、実用上は交換手段以外無価値といっていい通貨が「価値を生み出す」ことが理にかなっていないようです。

考えて見ればこの歪な通貨システムによって、どれほど人々が拝金主義に陥っていることでしょうか。よく、金持ちほどケチとか言いますが、そんなのを助長しているのが「通貨が価値を生む」悪しきシステムなのでしょう。

昔の人は、「金は天下の回りもの」といいましたが、良い言葉だと貧乏人の自分は思います。
使うことのできる通貨が少ないのが貧乏人なのですが、何故少ないかというと、お金持ちが通貨を退蔵したり、投機とか変な事に回したりして貧乏人に回ってこないからです。だから、やっぱりお通貨は腐ったほうがいいです。


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