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TONALITY OF LIFE

作曲家デビュー間近のR. I. が出会った
お気に入りの時間、空間、モノ・・・
その余韻を楽しむためのブログ

乗り継ぎ便の魔法

2015-02-15 01:59:53 | 旅行
眼下にはシアトルの夜景が煌めいて、いよいよ最終目的地へと飛び立った。
クリスマス・ヴァージョンの粋なアナウンスに機内のムードがとてもいい。
禁煙の注意は “Santa hates smoke” いった具合。
バンクーバー、シアトルと経由した疲れは吹っ飛んで、
ようやくiPhoneに入れてきた音楽を聴きたい気分になった。
夢見心地なイントロは小野リサが歌うクリスマス・ソング♪「ウン・フェリッツ(フェリッツ・ナビダッド)」。
優しいポルトガル語の響きに包まれる。

隣のシートにはミンモと同い年くらいの女の子。
しばらくすると人懐っこく話し掛けてきた。
アイダホから乗り継いで、お父さんに会いにいく途中だと言う。
アメリカの映画やドラマに出てくる子供はまるでデフォルトのように両親が離婚しているが、
この子もどうやらそうらしい。
今日の日を指折り待ち焦がれていた様子に
「僕も離れて暮らすwifeとdaughterに会いに行くところなんだよ」とおんなじ気持ちを伝えた。
本を開いてもイヤフォンを入れても長くは続かず、到着が待ち切れないとこぼしてくる。
“me, too” と答えては、残りの時間を教えてあげた。

再会前のフライトでは、会えなかった時間の分、想いが加速度的に凝縮されてゆく。
それを味わうことになるのは直行便よりも乗り継ぎ便である。
去年もそうだった
近くまで来ているのに足止めされるもどかしさ。
乗り継ぎという道行きが魔法のように効くのである。

パーク ハイアット 東京 客室のシェルフ

2014-08-21 00:54:38 | 旅行
西新宿・パーク ハイアット 東京の客室のシェルフ(棚)は、実に凝った作りである。
冷蔵庫はもちろんのこと、湯飲み・グラス類からエスプレッソマシーンに至るまで
一切合財が大小様々な扉のなかに納められている。
一つずつ開いては何がどこにあるのか確認するのさえ楽しい。
特に感心させられたのが常温で置かれたリキュールの小瓶たち。
扉を開くと背面からの光に、カラフルで個性的な形状のミニボトルが浮かび上がる仕掛けになっている。
さらにこの光は、上段に飾られた額縁をもほんのり照らしていた。
なんと棚板の一部がくり貫かれており、そこからも光が漏れるように設計されているのであった。
棚と言えば、我が家のキッチン棚をオーダーメイドしたとき、
途中から値段が気になってしまいいくつか妥協した。
このシェルフを眺めていると、せっかく特注したのであればとことん理想を追求すべきであったと思わされた。

ところで、いいホテルでは、チェックインから部屋に案内される場面で胸が高鳴る。
心地よい緊張感に五感が研ぎ澄まされ、非日常への期待値は急上昇。
その点、パーク ハイアット 東京のチェックインは完璧だった。
まずは椅子に座っておこなわれるのがいい。
短く生けられたユリの芳香が鼻に届いて、天井には観葉植物の涼しげなシルエットを見た。
案内された50階の部屋はさすがに空が近かった。
先ほどまでの高揚感に代わって、今度は自分だけの居場所ができた安堵感が押し寄せる。
一服しようと椅子に座るとガラスの机に空の青が映し出されていた。
こんなシーンに気付いて見入ってしまうのが何よりもリラックスしている証拠である。


ミニボトルの粋なディスプレイにやられて、寝る前遂にバカルディを手に取ってしまった。
ウィスキーとさんざん迷った挙句ラム酒にした。
やはりこのシェルフはよくできている。

http://www.ikyu.com/dg/special/2014/00000588/start.aspx?stc1=10&stc2=102365&stc3=00000588

箱根は芦ノ湖に限る

2014-08-11 00:08:17 | 旅行
元箱根港の桟橋が近づいてきた。
夏の陽光に包まれて観光地らしい賑わいを見せている。
本当は避暑地らしいと書きたいところだが、箱根も連日の30度超え。
ロープウェイ最高地点の大涌谷ですら汗だくになってしまった。
帰りの海賊船は、先端の見張り台にも立てるというエクストラチャージを払って、湖面の風を存分に浴びた。
その昔、修学旅行で訪ねたときには奇抜に映った海賊船。
それが今ではあたりの景観にすっかり馴染んでいるから不思議である。
30分のクルーズは時間的にも丁度いい。
そして改めて、箱根は芦ノ湖に限ると確信した。
湯本や仙石原では箱根に来た感じに乏しい。
芦ノ湖のパノラマこそが最も箱根らしいと思うのである。
湖畔から富士山を望めれば言うことはない。

オレゴンのグルメ Vol. 2 ~ ユージーンのタイ料理 “TA RA RIN”

2014-04-08 23:56:37 | 旅行
アメリカの小都市でこんな味に出会えるとは思ってもみなかった。
絶品のタイ料理店 “TA RA RIN” はユージーン市のほぼ中心部にある。
甘み、酸味、辛味…どれを取っても洗練されていて、一言で言うならば味がいい。
写真は前菜として注文したMiang Kum Salad。
レタスやほうれん草でココナッツフレーク、生姜、干しエビ、ライム、オニオン、ピーナッツ、チリなどを包んで、
自家製のソース(homemade Thai sweet herbal sauce)を付けて食べるというもの。
日本人スタッフの話によるとソースは厨房の奥で作られていて秘伝なのだとか。
どのお皿も彩り豊かな盛り付けが美しい。
ファミリーレストランのような店の作りに広い駐車場も完備されている。

http://tararinthai.com/

オレゴンのグルメ Vol. 1 ~ コーストのシーフード “Mo's”

2014-04-06 13:16:53 | 旅行
発音すると「モウズ」。
モウというのが強調される感じで、ミンモが地元の人の発音をまねてはケタケタ笑っている。
オレゴンコーストへ一泊二日の小旅行。
一泊目のディナーですっかりファンになり、翌日のブランチにディナーと滞在中の食事はすべてMo'sを目指した。
北のキャノンビーチから南はフローレンスまで、コースト沿いに計6店舗を構えているのである。

名物のクラムチャウダーも、レモンを絞って溶けたバターと絡めるカニもすばらしかったが、
No.1はブランチに空腹で頬張ったシーフードサンドウィッチ(写真)。
ツナ、シュリンプ、カニの3種が小型の丸いパンにそれぞれたっぷりと挟まれている。
ビール代わりのジンジャーエールともよく合った。
クラムチャウダーは遊説の合間に訪れたケネディ大統領もいたく気に入ったそう。
料理人(Moさん)をロスへ同行させようとしたものの丁重に断られ、
バケツで2杯持ち帰ったというエピソード付き。

http://www.moschowder.com

暖炉は音がするもの

2014-02-03 00:20:02 | 旅行
ロビーの暖炉は立派だった。
革張りのソファに体を沈めて足を伸ばし、しばらく炎を眺めることにした。
我が家の三人以外には誰もいない。
時おりびっくりするほど大きなパチッという音がした。
薪がよく乾いているからなのか、木の種類のせいなのか、暖炉には音があることを思い出す。

記憶のなかから松本隆の詞が浮かんできた。
~スケートぐつを肩にぶらさげて湖畔のカフェに暖まりに来たの
 かじかんだ手を暖炉にかざしてパチパチはねる炎のダンスを見てたの~
松田聖子に提供した♪「真冬の恋人たち」の2コーラス目だ。
音まで見事に描かれている。
松本隆『秘密の花園』(新潮文庫、1984年)

できればBGMを変えたかった。
こんなのはどうだろう。
ノルウェー出身のジャズ・ピアニスト、Tord Gustavsen率いるトルド・グスタフセン・トリオ。
アルバム『Changing Places』は、暖炉を見つめながら聴くのにぴったりな1枚だと思う。
雪が深々と降る夜ならばなおよい。

部屋に戻ろうとすると、2階のバーでは生演奏が終わったようで初老のミュージシャンが降りてきた。
管楽器のケースを抱えている。
個性的な口ヒゲに大きく割れたアゴ。そのままイラストにできそうな風貌だった。
どちらからともなく “Happy New Year! ” と声を掛け合った。

外に出ると満天の星空。
この日は新月で、宇宙の奥行きを教えてくれるかのように次から次へと星が見えてくる。
オレゴンコーストですばらしい炎と星に出合った2014年の始まり。

今でも気になるクリスマスツリー

2014-02-02 23:15:38 | 旅行
目指した場所が見つからず、引き返すために一旦左折した山の道。
その先に佇んだ住宅の前にすばらしいイルミネーションのツリーがあった。
暗くなりかけた森の中でカラフルな大粒の光を纏っていた。
吸い寄せられるように近づいて速度を落とす。
青や白のLEDが主流となっている日本では見かけない色合いだ。

カメラに収めなかったことが悔やまれて翌日車を走らせた。
迷うことなく見つけたものの、昼間は灯りがオフになっていた。
その後三度向かうことはなく、今でも頭の片隅で気になっているクリスマスツリー。

苔むす木々の住宅街

2014-01-13 13:15:49 | 旅行
木々の葉はすっかり落ちて、夏に来た時とは様変わりしていた。
ガランと空間を持て余しているかのような学園都市の住宅街。
真冬はこれからというのに、街路樹も既存の樹木も芽吹く頃のような淡いエメラルドグリーンを醸し出していた。
不思議に思って近づいてみると、それは枝に張りついた苔。


ここオレゴン州西部は、北にあるオリンピック半島あたりからの温帯雨林に連なっていて
苔の生育には事欠かない。
舗道の隙間、屋根の縁…観察するまでもなく、いたる所にその姿があった。
散歩の途中で偶然見つけたMossという名のストリート。


3日遅れのサンタクロースになる

2014-01-10 08:12:45 | 旅行
サンフランシスコでの乗継便は2時間以上遅れて、
目的地の空港に着く頃、彼方の雪山は夕映えにうっすらと照らされていた。
眼下の雲と柔らかなハーモニカの音色がシンクロする束の間の幻想。
トゥーツ・シールマンスがメロディを奏でる♪「ヴェラス」を聴きながら。
やがて機体が徐々に下がり始めると、妻とミンモが暮らす町の灯りが見えてきた。
愛おしい気持ちが溢れ出す。

23kgに収まるよう格闘したスーツケースにはたくさんのお土産。
手提げに入れたマヨネーズは成田で没収されてしまったけれど、
機内持ち込みのリュックもパンパンにして
3日遅れのサンタクロースになろうと精を出したのだった。
一晩で門松に替わる東京とは違って、
空港にも街並みにもクリスマスのディスプレイと余韻が残っている。
赤い帽子と白いヒゲくらい用意すればよかったかなあ。

~ お知らせ ~
ブログ開設からまる5年が経ち、気の向くまま投稿してきた記事はこれで56件になりました。
本日を機にブログのタイトルを「WAY OF LIFE」から「TONALITY OF LIFE」に改めます。
以前より「WAY」に代わる言葉を探していたのが見つかりました。
日常は余韻を味わう間もなく慌ただしい、
だからこそマイペースながら書き留めていきたいと思います。

8月、夜明けのファンデフカ海峡を渡る

2013-09-07 14:39:23 | 旅行
北米西海岸のシアトル以北は多島の入り組んだ海岸線。
本土と島をつなぐ船のルートがいくつも存在する。
朝6時10分、カナダ・ビクトリア発のフェリーでファンデフカ海峡を渡り、海路で再び米国に入った。

8月でも明け方は肌寒い。
船内も冷え切っていたので車に戻って上着を探した。
衣類の袋からかみさんとミンモのフリースが運よくすぐに見つかった。
何度も実際にシュミレーションした甲斐あって、
ミニバンには電動自転車、スーツケースほかすべての家財がパズルのように収まっている。
一年過ごしたカナダを後に、今日からアメリカでの生活が始まる。
そう、今回の旅の目的は引っ越しのヘルプなのである。

視界の先にはワシントン州オリンピック半島の2,000メートル級の山々。
山頂付近に残っている僅かな雪が雲の合間から見えた。
そう言えば、晴れた日のカナダ側からの眺めはすばらしかった。
今日はその景色のなかへ少しずつ近づいていく。

ファンデフカ海峡。
ギリシャ人の水先案内人でこの地を航海したファン・デ・フカ(Juan de Fuca)の名にちなんで命名されたという。
つなげるとカッコいい名前だ。
そんな海峡を渡って国境を越えるというのは何だかわくわくした。
デッキの先端に立っては、ヒンヤリとした洋上の大気を何度も肺に送った。
ポートアンジェルスに到着するとまた長いドライブが始まる。