TONALITY OF LIFE

作曲家デビュー間近のR. I. が出会った
お気に入りの時間、空間、モノ・・・
その余韻を楽しむためのブログ

子供の習い事 ~ ギター

2010-11-28 09:54:48 | 子育て
ギターの魅力にはっきりと捕らえられた瞬間があった。
それは仕事でクラシックCDのコンピレーションを選曲していたときのこと。
癒し系のCDにギターの作品を加えると、内容が格段にアップするのだ。
ピアノや弦楽器だと一本調子に傾きがち。
ギターの響きはそこに変化を与え、同時に安らぎを一層深めてくれるかのようである。
作品がスペインや中南米にゆかりがあるのも、幅が広がる一因かもしれない。

昔、深夜のラジオ番組で流れていたテーマ曲。
曲名を突き止めることなく時は過ぎてしまったが、
幾度となく現れるフレット・ノイズ(指がフレットを移動する際に、弦のエッジと擦れることで「キュッ」というような音がする)が
不思議と琴線に触れた。
やがてパット・メセニーやリー・リトナーを聴くようになったり、
いつの間にクラシック・ギターのCDが増えていたり...
今にして思えば、この楽器に対する愛着は自分のなかできっと地道に育まれていたのだろう。

そんな訳で、子供に何か楽器を習わせようと考えたとき、自然とギターが候補に挙がった。
かみさんも自分もピアノをやっていたので、
それとは正反対の持ち運びできる点がまず良いということになった。
一方で伴奏も一人でこなすのはピアノと同じ。
ヴァイオリンのように旋律がメインの楽器よりも魅力を感じる。
さらにアンサンブルこそが音楽の愉しみと言うのであれば、
ギターは将来バンドやボサノバなどいろんな形態に展開可能ではないか、などなどと
始める前から思い入れは膨らんだのであった。

電車で二駅のところにある教室に通い始めてから丁度一年。
半ば強引に勧めたので、最初のレッスンではイヤイヤと逃げ回ったミンモ。
ところが先生は心得ていて、「お母さんが弾くと子供は興味を示しますよ」といきなりかみさんに手ほどきを始めた。
果たしてそのとおり、ほどなくミンモはギターの傍に寄ってきた。
その後おばあちゃんが持っていた大人用のギターを偶然譲り受けることになり、
毎週日曜のレッスンに家族3人で出掛けては
ミンモの課題を一緒に追いかけている。
楽器の場合、充実したレッスンを迎えるには毎日の練習が欠かせない。
これが例えば水泳だと、決められた日にプールへ連れて行けばそれで済むのだが。
平日はこの練習に付き合っているのがかみさんで、
特に新しい曲をさらうときは相当の根気を要すると言う。
実際、6本の弦をコントロールするのはなかなか骨が折れる。
左手で押さえた弦を右手で弾いたつもりが、その隣の弦であることはしょっちゅう。
また複数の弦を同時に押さえるとなると、子供の手には負担が大きい。
しかしコツコツと歩みを進めていくうちに
一年前には想像もしなかったような美しい曲が待っていた。

ギターの小品はまるで編み物のよう。
高音の弦でメロディを奏で、低音の開放弦で合いの手を入れると、
それだけで縦糸と横糸が織り成されたかのように感じる。
ミンモの小さなお手てで奏でられる「アンダンティーノ」(フェルディナンド・カルリ作曲)にも
そんなギターらしい味わいが出てきた。