TONALITY OF LIFE

作曲家デビュー間近のR. I. が出会った
お気に入りの時間、空間、モノ・・・
その余韻を楽しむためのブログ

レストランのチーズワゴン

2012-04-21 09:15:33 | グルメ
肉料理のあと、デザート前に運ばれてくるチーズのワゴン。
以前に別料金と知り満腹でもあったのでパスしたことがある。
しかし本場では、ライフアートという哲学のもと
チーズのない食事など考えられないと聞いて今回は積極的に試してみることにした。
ボトルで頼んだ白が残っていたので、白ワインに合わせたいとリクエスト。
7、8種類のなかからまず薦められた山羊のものが絶品で(写真右から2番目)
チーズの魅力を満喫することになった。

その昔、チーズについて田中康夫がタイユバン・ロブションのディレクター氏に訊いていた問答集より
R. I. がなるほどと思ったものは~
 ・2、3種類が適量
 ・残っているワインと食べるのでよし、そのためにワインを追加する必要はない
 ・ワインの産地と揃えるのも乙
 ・皿に盛られたチーズは自分の前のものから時計まわりに食べる、
  その順で進むとおいしいようにサービスマンが盛りつけるから(今回は横長の皿だった)
 ・秋が深まった時期が食べ頃、しかしなかには春や夏がおいしいものもある
 ・イタリアではジャムや蜂蜜がついてくる場合もあるが、チーズの時間にはチーズだけに集中するのがベスト

おススメを尋ねてみたり、好みを伝えたり、サービスマンとの会話を楽しむのもポイントかもしれない。
それによりレストランとの距離がグンと近くなる気がする。
写真一番左のオレンジ色のものは元のかたちが丸くて夕張メロンを連想、最初に目が行った。
白ワインにという条件からは外れてしまったようだが
どんな味なのか興味を示したところ薄く切り分けてくれた。
塩からいもの、酸味のあるもの、あるいはカビの味わい...
寝かせて熟成させたタイプもあれば、作りたてのフレッシュタイプもあり。
日常食べ比べることもほとんどないので、
せっかくエレガントなレストランで食事をするならば
舌の冒険にチーズを加えない手はないことを知った。

参考文献:雑誌『BRIO』2000年1月号より
「フランス料理の最後の関門 チーズをどうたのむか どうたのしむか」、光文社

イヴァン・リンスの♪「上を向いて歩こう」

2012-04-10 01:57:29 | 音楽
会社から桜の青山墓地を抜けてブルーノート東京へ向かった。
週末は花冷えしたので、満開は気温が上がった今日かもしれない。
「ジェーン・モンハイト with イヴァン・リンス」初日の1stステージ、お目当てはイヴァンである。
彼による♪「上を向いて歩こう」のカバーがYouTubeにアップされているのを先週遅ればせながら知り、
そのすばらしさから無性に会いたくなった。

その「上を向いて歩こう」は、イヴァンのバラードの美質がすべて詰めこまれているかのようなアレンジ。
一言で表すとしたら「流麗」、だろうか。
♪「Setembro」や♪「Iluminados」のように夢見心地にさせてくれるよどみない転調、
それが繰り返されるうちに宇宙の彼方へと引っ張られていく感じ、
そしていつもなぜか海の匂いがするところ。
日本語で歌われており、テンポが遅めのせいか、一言一句を噛みしめるような発音が耳に残る。
その独特の声質とあいまって、「歩こう」の「う(お)」音を伸ばすところなどは
声明か能の謡の節回しのようにも聞こえた。
込められた祈りが日本の風土に浸み渡ってゆくイメージ。
大震災のわずか数日後に地球の反対側からこんな音楽を発信してくれていたなんて。

CDやチケットを買わずにはいられないお気に入りのアーティスト、
R. I. にとってそれは紛れもなくイヴァン・リンスである。
久々の高揚感に包まれながら地下のステージへ。
初日は張りつめた雰囲気かと思いきや、
客席が埋まり切っていないこともあり意外なほどリラックスしていた。
それでもイヴァンはサンバの曲を終えるとガッツポーズをし、
セルメンへの提供曲♪「Lua Soberana」では観客にリフレインの合唱を仕掛けるという
相変わらずのパワフルさ。
しばらくは♪アイアーラカリア~の魔法から抜け出せそうにない。
ジェーン・モンハイトはポルトガル語でも歌いこなし、
特に♪「Comecar de Novo」(クインシー・ジョーンズ・プリゼンツの「The Island」としても有名)では
ディーヴァのオーラを存分に放出していたのはさすが。
MCで “I can't still beleive this” と繰り返していたとおり、
イヴァンとステージを共にしている感激が伝わってきた。

新婚時代、かみさんと二人で出掛けたイヴァンもここブルーノート。
今宵も一緒に行きたかったけど、ミンモがいるから
一人で行かせてくれてありがとう。

JANE MONHEIT with IVAN LINS
2012 4.9mon.-4.12thu.
http://www.bluenote.co.jp/