TONALITY OF LIFE

作曲家デビュー間近のR. I. が出会った
お気に入りの時間、空間、モノ・・・
その余韻を楽しむためのブログ

別世界的名店 Vol. 3 ~ 代官山・リストランテASO

2011-11-12 11:29:09 | グルメ
このブログのテーマである「余韻」についてあれこれと思いを巡らせるとき、
ASOで挙げた結婚式と披露宴ほど長く続いたそれは今のところ無い。

旧山手通り…東京で最も絵になるストリートの一つ。
代官山テラスに代表される低層の建物は空を広く見せ、
樹木がこんもりと茂ったお屋敷や大使館が風格を与えている。
オープン・カフェの草分けとも言えるカフェ・ミケランジェロはこの地を代表するランドマークとなって久しい。
しかしその奥に極上のリストランテがあることを知ったのは、結婚式場を探していた時である。
雨が降りしきる五月の或る夜、その日もサロンでは披露宴がおこなわれていた。
「雨音さえもすてきなんですよ」というマダムの言葉は嘘ではなかった。
中庭を挟んで雨が流れるガラス越しに見た新郎新婦はさながら映画のワンシーン。
トスカーナの邸宅をイメージして改装されたという昭和初期の洋館は、
クリーム色の回廊、豊かな緑と美しく調和していた。
豪華な造りでありながら成金趣味とは異なる気品がそこかしこに漂っていて
それでいて気取ったところはなく寛げる雰囲気というのは
なかなか醸成できるものではないだろう。
その後予約を入れ、式と宴が実現したのは、朝夕の外気がひんやりとし始めた10月下旬のこと。

つい先日、◯周年の結婚記念日に出掛けてきた。
2階のテラスを出たところにある壁泉には思い出がある。
お色直しのために二人で腕を組んで退場し、かみさんのヘアチェンジを待つあいだ
ライオンの口から流れ出る水の音を聞いた気がする。
樹齢300年のケヤキの先に見えた月、階下のざわめき…
披露宴も中盤を回ってちょっと余裕ができたのか、このまま時が去るのをもったいなく感じ始めていた。

それからしばらくは心の面積の多くをASOが占め、足を運びたい衝動に何度も駆られた。
写真ができましたとの連絡を受けていそいそと出かけたのは約3ヵ月後。
1月の暮れかけた代官山、人影まばらなカフェにはミラノ製ストーブの炎がゆらめき
そこだけぽっかりと不思議な時間が流れていた。

会場をこのレストランに決めたカップルは、昼の部にするか夜の部にするかで一度は迷うかもしれない。
でも結論は、どちらを選んでも間違い無いということ。
春夏秋冬、どの時間帯であっても、どんな天気であっても、
優雅な時間が流れるまさに別世界的名店なのだから。
そして、サロンに輝くシャンデリアといい、チャペルの深緑色の窓枠の意匠といい、
結婚という人生の一大イベントにふさわしい
ドラマティックな空間であることを書き添えておこう。

阿曽総料理長が標榜する「オペレッタ的イタリア料理」、
その魅力についてはエントリーを改めて。

http://www.aso-net.jp/aso/