新宿区西新宿が淀橋と呼ばれていた頃。
僕は中学生で、野球部と写真部に所属して、両方をかけ持ちする
忙しい放課後が続いていた。
当時住んでいた所から歩ける距離に、現像液や印画紙などの
写真用品を小売りする小さな店があった。
僕はいつもその店でトライXの生フィルムを買って、ネオパンの
空パトローネに詰め込み、黒マジックで800と書き込む。
その数字はその日の気分によって400, 800, 1600と変わった。
僕はミノルタSRT101に55ミリ一本で(当時は交換レンズなど
持ってはいなかった)意味も無く新宿の街を撮り歩いた。
暗室作業の日が近くなると、仲間と月光の四つ切り紙や定着液
などを買い求めに来たものだ。
のちにその小さな小売店、淀橋写真商会は
ヨドバシカメラとなるのだ。
2010年の2月、僕は神保町のギヤラリーでひっそりと開かれている
写真展を訪ねて、久しぶりのモノクロームに再会した。
大先輩の照明技師UEKIさん、初めての写真展。
ベッサLに広角レンズ。
モノクロームの淡い祭りの光が、アクリルに封じ込められている
のが新鮮だった。
もう手元にSRT101は無いのだけれど、
インクジェットで復活した月光ペーパーで遊んでみるのも
悪くはないと思い、僕は通い慣れた新宿西口のヨドバシカメラへと
向かった。
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koba-p
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