【スポーツ茶論】別府育郎
二塁ベース上に井端弘和。
一、二塁間に立ちつくす内川聖一。
重盗失敗の残酷な光景に強い印象を残して、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は終わった。
大粒の涙をこぼした内川に、非はあったのか。
伏線は、第2ラウンドの台湾戦にあった。
1点を追う九回、四球の鳥谷敬が2死後二盗に成功し、井端のタイムリーで同点のホームを踏んだ。
盗塁失敗なら試合終了。
ベンチの作戦は「行けたら行け」だったという。
あの場面でそんな指示があるか。
翌日、担当記者に聞いてもらった。
一塁ベースコーチの緒方耕一によればこうだ。
「このチームは基本、全員グリーンライト(青信号)。
『走るな』のサインはあるが、あの時は何も出ていなかった」。
つまりベンチは何もせず、鳥谷が自分の責任で走ったということだ。
井端も、鳥谷が走ることは知らなかった。
「打ちにいったが、鳥谷が走るのが見えたので、とっさにやめたんです」。
これが井端の野球センスだ。
一塁に歩いた鳥谷は緒方に「(投手の)クイックは何秒ですか」と聞いた。
「1・4秒」と即答した緒方は、鳥谷が行く気だと知った。
だが鳥谷はすぐには走らない。
打席の長野久義には長打がある。
外野の間を抜ければ自分の足でホームに届く。
長野が倒れ、初めて走った。
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