政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)との広域自由貿易協定(FTA)を環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と並ぶ重要な政策と位置づけ、両にらみで交渉を進める。
背景には、中国の参加を想定したASEANの構想に力を入れる姿勢を示すことで米国を牽制(けんせい)し、難航するTPP事前協議を有利に進めたい思惑もある。
枝野幸男経済産業相は28日、ASEANとの交渉入りを目指す広域FTA「東アジア包括的経済連携(RCEP)」とTPPの関係について、「どちらが大事かという問題ではない。
国益にかなうものは進めていく」と強調した。
政府は現在、TPP交渉参加に向けた事前協議を進めているが、米国は日本に自動車、牛肉、保険の市場開放を求め、いまだに日本の交渉参加に同意していない。
日本国内でも農業関係者を中心にTPPへの反発が強く、政府は30日の日米首脳会談での交渉参加表明を断念することになった。
事態を打開できない野田政権にとってASEANの構想は渡りに船だ。
米国は中国抜きのTPPを通じてアジアでの経済的な主導権を維持・拡大する戦略。
逆に米国を外したASEAN主導の枠組みが具体化することには危機感があり、「RCEPが、停滞しているTPP交渉参加への協議に刺激を与える」(経産省幹部)と期待する。
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