ウェディングドレス

都内某所、閑静な住宅街で大きな一戸建・・

交通事故でお亡くなりになった故人様は27歳の女性。

トラックと乗用車との衝突による事故だと聞いていたので激しい損傷を予想し、訪問させていただきました。
・・・が、カラダや顔はほとんど無傷でした。衝突時のショック死だったそうです。


ご両親の希望で、お身体と頭を綺麗にしてあげたいとのことでしたので機材を搬入し、湯灌を執り行いました。


ご自宅には家族以外に十数名いらっしゃいましたが、湯灌の立ち会いはご家族3名だけにさせていただきました。

ご両親とあと1人は・・・婚約者でした。
しかも結婚式7日前とのこと。

こんなことがあっていいのでしょうか。


ご両親も婚約者も何も語らず、うつむいて涙をこぼされてました。



・・・ご両親と婚約者の強い希望でウェディングドレスをお着せしました。お化粧し、整髪をしたらとても亡くなっているようには見えません。

お着替えとお化粧が終わった段階でご親族皆様に最期のお別れをしていただくことにし、お部屋に入っていただきました。
故人様を見たご遺族様は、その姿を見ると同時に号泣され、

「本当に死んでるの？」

「ちょっと起きなさいよ～！」


ご両親と婚約者は、

「おいっ　起きろよ！」

「目を開けなさい！」

私たちはその場にいることができず、退室しました。


しばらくしてお柩を搬入し、納棺をおこないましたが、私たちもご家族の涙と声かけに耐えられず、涙をこぼしながら納棺しました。


私たちは故人様をきれいにしてあげることはできましたが、ご家族の悲しみを安らぎにかえてあげることはできませんでした。


・・・結婚式目前に亡くなった故人様、無事、天国に行けたのだろうか？






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