遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

顔面にシャワーなお話

2007-07-20 19:50:19 | Weblog
湯かんは決められたとおりの工程を、決められたタイミングで行います。

故人様をネットを張った浴槽に横たえて

頭上にシャンプー係で司会進行する“ディレクター”

故人様の体に平行して、洗体&メイク・納棺飾りつけなどする“アシスタント”です。



アシスタントの体の洗うタイミングに合わせて、ディレクターがご葬家に声を掛け話しかける言葉尻も全て決まっています。

演歌歌手の舞台のように毎日が同じことの繰り返しです。

このようにこれが”当たり前“と思ってやっている湯かんでもご葬家の突然の

”アドリブ要望“にびっくりすることもあります。





いつも通り普通に湯かんを進めていました。

男性の故人様で奥様が熱心にその工程を見つめています。

「お髭をお剃りしてもよろしいですか?」

頭上のディレクターはシェービングクリームを塗ってT字かみそりで剃ります。

次にアシスタントである私が一枚剃で細かい部分を剃ります。

お顔を剃った後、ディレクターが濡らして化粧水をつけたタオルを私にくれました。


お拭きあげしようとしたとき



「顔を洗ってくれないんですか?」と奥様



(??)と一瞬固まる私たち。



「顔は拭いて終わりなんですか?」と更に奥様

「今、このタオルにはお化粧水をつけたものでお拭きいたしますが」

「それで、終わりですか?ちゃんとお湯かけて洗ってほしいんですけど」

「え…っと、シャワーお顔にかけてしまってよろしいんですか?」

「普通、そうしますよね」



うーん。たしかに普通洗顔はバシャバシャお湯で顔を洗う。

今まで湯かんでの洗顔とは”お顔を拭くこと“であったので直にお湯をかけるなんて

考えたこともなかった。

第一、 鼻や口にお湯が入ってしまうかもしれないし

見た目なんだか失礼な事のように思っていました。

でも奥様はそのようにご希望されています。





ディレクターはまた、シェービングクリームを取り出し故人様のお顔をマッサージするように洗い

鼻・口・耳にお湯が入らないよう慎重に流していました。

横たわって寝ている故人様の顔面真上からお湯をシャワ~とかける姿は私にはちょっと新鮮な驚きでした。



洗顔で少し中断されたので、お体のお流しをしなければいけません。

私が始めようとしたとき私を見て「すみません」と奥様がすぅっとこちらにやってきて耳打ちします。



「アソコもよく洗ってくださいね」



一瞬ハッ(゜○ ゜;)としましたが「かしこまりました」といつもより多めにお流しさせて頂きました。

湯かんってお風呂ですから。

洗顔も体をくまなく洗うのも当たり前なんですよね・・・。










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ヒューマンケアでは、最期まで故人の尊厳を守るために死顔を整え、ご本人にもご家族にも、人生の最期にふさわしい最高の「グッドフェイス」でお送りいたします。

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
気の済むように (M)
2007-07-22 15:40:05
して差し上げたらいいんでは…と思います。
隅々まで綺麗にしてあげてください(笑)
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Unknown (Unknown)
2008-04-10 14:09:05
始めまして。先日、母の葬儀の際、担当から湯かんを進められました。しかし、来たのは社内不倫をしていると思われる男女ペア。母の元から退席させられ1時間。部屋からは談笑する声が漏れていました。「ご面会~」の声がけと共に部屋に入ると、大好きだった服は脱がされ、白い着物姿に不自然なまでの圧化粧。母を知る誰もが引きました。彼らは帰る際、ハイエースに荷物を積み込みながらも、いちゃつきながら「胸を触ったの、お知りを触っただの」と。とても不愉快でした。大切な母の旅立ちを汚された気がしました。群馬だけでなく全国的に展開している葬儀会社グループなのに。湯かんは下請けの業者に依頼しているようでしたが…。父は「母の不名誉になる」からと担当者には何も言いませんでした。同業の方として、どう思われますか?
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