遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

千の風になって。というお話 2.

2007-08-17 07:37:53 | Weblog
家を建て直した頃から「何かがオカシク」なってきた事。
お母さんが亡くなった事。
残ったのはお墓や必要以上に立派な仏壇のローン。
お母さんの死からご長男が仕事も辞め引きこもりになった事
ご自身が病気・半身不随になった事。
そして次男の死。

全て淡々と語っていましたが「悪いことばかりだった」これまでの生活に
     
     「自分が何かを判断する時、それが本当に正解なのか?
      正しい判断をしているはずなのに、決断が下せなくなってね。」
                         と胸の内をお話してくれました。

「心配してくれる人がいなくなってしまった」とご次男の事を語ります。
実家を出ていたご次男は“建て直したら戻ってくる”という話でした。
でも戻っては来なかったのですが
お父さんのことを心配し電話をくれ
休み度に実家を訪れ、お父さんの衣類やらを買ってきたり話し相手になったり。
登山から戻り休暇中に皆でお墓参りに行く予定だったそうです。
お兄さんとも仲が良く、引きこもってもご次男には心を開いていました。
引きこもりになって語る
お兄さんの“解けない悩み”を夜通し聞いてあげ
上手く言っていないお父さんとご長男の間を取り持ったり。
離れて住んでいても、ご次男がいたからなんとか保っていた家族。
     「自分まで駄目になってしまうかもしれない」
もしかしたらそんな思いから、あえて実家に戻るのをやめたのかもしれません。

メイクが終わり「おヒゲを剃るか?」聞きたくてもご長男は戻りません。
電話でやっと聞いてもらい「全て剃る」と判断されたご長男からの伝言。
それが終わっても最後までご長男は戻ってくる事はなく
葬儀屋さんと2人ご長男を納棺させて頂きました。
「お母さんの所へ行って仲良くな」
お父さんは故人様にそう話しかけました。

私は“千の風になって”じゃないけど
いつでもお二人で
最高級仏壇の中から~
お墓の中から~
家のあらゆるところから~
ふらふらどこにでも居て欲しいと思いました。
うっかり仏壇を買わされちゃう優しいお父さんと
繊細すぎるご長男を守って前を向いて生きる勇気を与えて欲しい。
ここのご葬家に明るい風を吹かせて欲しい。
そう願わずにいられない思いで、ご葬家を後にしました。








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