昔の望遠鏡で見ています

星の林について

 今まで、望遠鏡をたくさん並べたところを「望遠鏡の林」と呼んできた。これは単に、重なり合う三脚や鏡筒が、まるで樹木が集合しているように見えることから、そのままを呼んでいたのであるが、「星の林」という言葉も意識していた。「星の林」は、現代では不思議な言葉ではあるが、国語辞書には載っているようだ。このことをもう少し詳しく知りたいと思っていたところ、関連した文章を見つけたので紹介したい。日本の古代文学について、自然がどのように感じられ表現されているかを、語彙の方面から述べた” 花鳥風月誌(池田亀鑑 著、昭和22年、版元 齋藤書店)” の中の「星」の項目に、解説されている。

 星の空を「ほしの林」「ほしの原」又は「ほしの宿(やどり)」などという。萬葉に「詠天」と題して、「天の海に雲の波たち月の船、星之林にこぎかくる見ゆ」とあり、夫木抄十九俊頼の歌に「ほしの林やうづもれぬらん」同經信の歌に「雲の林の星原や」同為家の歌に「さゆる夜の雲みる星の林より」等と見え、他にも所見が少なくない。「林」とは多い意、「原」とは廣い意であらう。「星の宿」は、新千載秋、經信の歌に「たなばたの星の宿に霧たちわたる」夫木抄十九家隆の歌に「祈りこふ星の宿も雲はれて」等とあるもので、平安時代の末葉に近くあらはれた語と思はれる。日月五星の宿る所即ち「天」の意である。二十八宿、二十八次(次は舎である。)などといふのも、みな同様である。(天文道の思想によるもので、上代の思想に基くものではない。)なほ宇津保の菊宴に「星の位」とあり、後代に至って「星を連ぬ」というのは、殿上人をさすのであって、「雲の上人」というに比したのである。

 「望遠鏡の林」の写真は、独りよがりではあるが撮影(当ブログ2019.4.14参照)しているので、次は「望遠鏡の原」を、どこかの星まつりで撮ってみたいものである。



 これは、「望遠鏡の川」。

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