昔の望遠鏡で見ています

タカハシ8cmセミアポ鏡筒



 天文に興味を持ち始めた70年代初頭、天文雑誌に掲載されるタカハシの宣伝は、とても魅力的であった。アポクロマートの意味もよく判っていない筈なのに、セミアポクロマートという言葉に、その頃の天キチたちの心は鷲づかみにされた。また、その当時に発刊された「星雲 星団ガイドブック」(藤井旭著 1971 誠文堂新光社)に掲載された観測風景に、タカハシの望遠鏡がひときわ立派に写っていたのを、憶えている。こうして、私の一番欲しい望遠鏡はタカハシとなり、同社の65S型を買ってもらうことになったのだが、親からはすぐに飽きると思われたのか、2年近く待たされることになった。この時の望遠鏡への切ない思いが、後の古スコ愛好家になる端緒になったのではないかと自己分析している。
 6.5cmの次に発売された8cmについては、当時の一般的アマチュアの持つ屈折の最大口径とも言うべきもので、所有することなど夢のまた夢であったが、時代が変わり数十年後に入手できた時は、とても嬉しいものであった。以下に、鏡筒の各部を紹介する。




 対物レンズは3枚玉のため、奥行きの深い対物セルとなっている。これは、65S型と同じ形状である。




 接眼部は二段ドロチューブ式で、1段目(黒色部分)はラックピニオンで30mm伸縮し、二段目(メッキ部分)は85mmの粗動ができる構造である。写真撮影を意識していると思うのだが、その動きにはガタも無く滑らかで、さすがタカハシと感じさせる。





 ファインダーは9倍40mmで、長くて格好が良いものである。




 蓋も重厚で、高級感が感じられる。

 こうして見てくると、白と黒の部品で構成された天体望遠鏡は、品があって良いと思った。

 ※鏡筒重量:約4.7kg

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