見出し画像

昔の望遠鏡で見ています

秋の日の星見

 とある秋の日に新たな鏡筒を試すべく、山岳道路にある駐車場を目指した。平野部では青空が広がっていたが、高度が揚がるにつれて徐々に雲が増え、ついには一面の曇り空になってしまう。それでも天候の回復を期待して、望遠鏡を組み立てた。
 持ってきたのは、大型のティーガル経緯台とTSA102である。そこからは、平野部に広がる市街地や田園地帯に加えて、その先の大海原も望むことが出来る。鏡筒を水平にし接眼鏡を覗くと、海に浮かぶタンカーや貨物船、そしてその先にある半島部の山並みも見えた。ゆっくり望遠鏡で景色を見ることは、街中ではとてもできる事ではないのだが、ここでは誰に気兼ねをすることもない。こうやって望遠鏡を覗いて感じる楽しさは、最近の電子観望では得ることのできない独特なものなのだと思う。

 辺りが暗くなっても、一向に晴れる気配が無いので、山頂なら雲抜けしているのではないかと移動することにした。無人の料金所付近まで来ると完全に雲の中で、車のライトも二~三十数m先までしか届かない。真っ白な世界を、先を凝視しながら運転していくと、路面を流れる霧の切れ間が徐々に大きくなり、山頂に着く頃には遂に星々が現れる。
 広い駐車場には数台の車が停まっていて、若い人たちの声が聞こえる。おそらく、夜景を見に来たのだろう。周囲を見回すと、登ってきたのと反対の風下の方向は晴れており、山麓に広がる家々の明かりを望むことができた。肝心の星の方は天頂を超える雲もあり、望遠鏡を出すまでの空ではなかった。

 ここまで来たのだからと、風下にあるリフト発着所まで行ってみることにした。車で10分程度走っただろうか、到着した駐車場は山頂方向は視界が遮られるが、南には隣県の街の明かりも見渡すことができる、雲の影響も殆ど無いところだった。



 改めて望遠鏡を組み立てて、天の川の方向に向けてみた。月が明るくて見え方は程々だったが、見えただけ良しとしようと思った。フラットナーの効果も調べてみたが、今一つはっきりしなかった。後日判ったのだが、フラットナー以降のフランジバックには最適値があるにも拘らず、今回はピントが合うのをいいことに、より短いところに接眼鏡をセットしてしまったので、充分効果を発揮できなかったのかもしれない。




 ティーガル経緯台であるが、10cmF8鏡筒と言えど微動ハンドルまでの距離が結構あるので、フレキが有れば良いと感じた。







最近の「天体望遠鏡」カテゴリーもっと見る