とあるスナックで
小林
この方の本を読んでみると実にわかりやすく「債務貨幣」をなぜ「公共貨幣」に変えなければならないかが、わかりますね。
コー
そうだね、制度上、システム上、もう無理だということだね。
特に日本は。
政府の財政赤字は、「債務貨幣」のシステムから必然に起こると言っていると思う。
はじめに
「財政健全化」ということばがあります。そのことばの裏には、大幅な赤字を抱える日本の国家財政は「不健全」だという認識が暗黙のうちにしめされています。たしかに、一般的に「赤字」そのものは、決して良い状態を指し示すものではありません。しかし、すべての事象には必ず原因があるように、財政赤字にも相応の原因があります。その原因を正しく理解しなければ、それを正しく「健全化」することはできません。
(コー註 その通りである。かれはうまい例えをいっている。たとえば糖尿病の患者に心臓病の人の治療をしたら、かえって悪化して大変なことになる。)
・・・・・・・。
そして、この税収不足と景気対策による国債の増発は、経済的なプロセスの必然的な帰結であって、「財政規律の欠如」とは関係がありません。為政者に財政規律があってもなくても、政府貨幣の発行が禁忌(してはいけないこと)とされていて、貨幣量の調節が信用創造に依存している現状では、国債の増発以外に世の中に必要なお金(貨幣)の総量を維持する手立ては存在しません。・・・・・・。
ですから、不況時に増税をしたり財政支出を抑えたりして財政赤字を削減することは、せっかく生み出したお金(貨幣)を消滅させて、不況をさらに悪化させる行為です。
(コー註 デフレだったらますます悪化させるということだ)
本来は、お金の総量を減少させることなく財政赤字を解決するためには、政府部門が自らお金(貨幣)を発行するほかないのですが、これは「節度なくお金(貨幣)を発行する危険がある」という理由から、いわば「禁じ手(禁忌)」とされています。
・・・・・・。
しかも、いったん市中銀行が買った国債を日銀(一応の政府部門)が買い戻す際に、利息の多くが市中銀行に移転しますので、自動的に国家財政を理不尽に圧迫し、国家の(=国民の)不利益となっています。したがって、このリスクと理不尽から抜け出すためには、隠然たる事実上の「財政ファイナンス」を止めて、
信用創造の廃止と政府貨幣の発行しか残された出口がありません。
(コー註 これこそ公共貨幣だ)
これは経済的必然にせまられた不可逆的現象であり、もはや異次元緩和の「入口」に戻ることはできず、「異次元緩和の出口」は「異次元への出口」にならざるをえません。
以上が・・・・・。
小林