9.11について

2001年の9.11事件や、その他色々な感想、思い、などを書いていけたらなと、思っています。

9.11について  マイケル・ハドソン著 <超帝国主義国家アメリカの内幕> その7

2018年11月16日 | 日記
とあるスナックで

コー
では、また読もう。

エピローグ

そういう破滅に対しヨーロッパやアジアが恐れを抱いているために、アメリカは、イギリスが19世紀に支配したのと正反対のプロセスを通じて世界経済を支配できている。イギリスが自らの帝国を統治したのは、世界の銀行家としての地位だけではない。世界の銀行家として、参加者に公平と考えられてきた伝統ある方針に基ずく国際的支払いメカニズムを保証する責任を担っていたからなのである。世界の中央銀行として、イギリスは、国際金融システムをきちんと機能させる責任を引き受けていた。

もしイギリスがなかまのイギリス連邦加盟国に向かって、「確固たる資産の裏づけもなく、支払うつもりもないただの紙切れのようなポンド債権を発行させてくれなければ、お前たちの経済は崩壊するぞ」と脅したとすれば、それは、まさに市民的宗教の地位にまで昇格していた政治学への反逆だったろう。他の国々はイギリスと袂を分かち、それほど圧政的な経済から完全に独立するために戦争の危険すら冒したかもしれない。(コー注:現在のアメリカはこのように同盟国にさへ、脅しているという事か)

イギリス帝国のやり方は、今日のアメリカのそれと何と対照的なことだろう!世界への食糧輸出国としての地位を手放したくなかったアメリカ政府は、(ヨーロッパ共通農業政策に戦いを挑んで破れたので)アジアやかつてのソ連、そして第三世界諸国に対し、食糧をアメリカの輸出に依存することを要求した。軍事的依存も同じく要求した。ところで、アメリカが支配的な地位を占める部門は、主としてエレクトロニクスと軍事関連技術を基盤としている。アメリカはそれらを脱工業化経済として前面に押し出し、一方経済全体を通じて、重工業や肉体労働の規模は縮小させつつある。

アメリカが、国際金融の米国債本位制を通じて世界の銀行家であり続けるのは、債務国としてであって、イギリスがそうだったように有形の見返り物資の上に立って銀行業をこなす債権国としてではない。1945年に間に合わせのシステムとして始まったものが、アメリカが一方的にドル・ブロックの友邦の資産を吸い上げる能力となってしまった。そしてそれら友邦は、世界金融の破滅をもたらすことなしにはそのプロセスを止めることができない。1968年以来、圧力のキーポイントは、アメリカの外交官が見せた、もし外国の中央銀行がドルをアメリカ財務省に再融資するのを止めたら、すぐにでも世界の破壊者として振舞うぞという態度だった。これは、ニクソン大統領の”狂気の爆弾男」的脅迫を金融面で繰り返したものにほかならない。もし思い通りにならないのなら、アメリカは怒りに任せてでたらめに振る舞い、その結果世界はひどい目にあうだろうというのである。

こういう態度を取るにあたり、アメリカは他国にまねのできない一つの選択肢を享受している。国内市場が広大なので、アメリカは”独り我が道を行く”ことができるのだ。その金融的請求権や、今や世界経済に浸透しているドル債務という上部構造ーー外国人によるアメリカへの高度の直接投資と結びついているーーを考えると、アメリカの自給自足への動きは、世界の金融システムを破壊してしまうかもしれない。

こうした崩壊という幽霊のおかげで、アメリカの外交官は、スムーズに機能する国際的取引や決済にもっと大きく依存している国々には手の届かない選択の自由を得ている。対外貿易はアメリカのGNP中わずか5%程度を占めるにすぎず、おおくのヨーロッパ諸国の25%前後とは雲泥の差だ。諸外国の中央銀行は、一兆ドル以上もの米国債を保持している。ヨーロッパとアジアが自前の通貨システムをドル本位制に置き換えることができるまでは、そして、自らの自給を達成する第一歩として貿易・投資戦争というリスクを引き受けようとするまでは、アメリカ経済は自らが身分相応に暮らすべきだと感じる理由を見いだせないだろう。

米国債本位制が差し出すよりもっと公正で平等な国際経済を作り出すための歩みを妨げているのは、この制度の本質的に搾取的な性格が一般的にあまり知られていないという事実だ。これを知ることが、世界金融外交の中心的な前提条件となるべきだろう。
(コー注:おそらくマレーシアのマハテェールは知っているんじゃないだろうか、そんな気がする)

アメリカは第三世界の債務国を、自らに従順なエリート層を通じて支配している。債権国たる先進工業国内では、アメリカとIMFへの金融的従属を説くシカゴ学派の”輸出のためのマネタリズム”学説を学んだ中央銀行家がアメリカの利益を代表してくれるのを知っている。ヨーロッパとアジアの政治家や有権者を取り込むために、アメリカ政府は自国経済が、世界経済の安定を守る客観的で技術主義的な英知を指導的に実践していると、声高に、ほとんど絶えず繰り返している。

しかし、それらの主張のアカデミックな基礎---それらの経済理論と統計モデル---は、IMFと世銀が過去何十年間にわたり、第三世界と旧共産主義世界の経済をゆがめるために使ってきた、相も変わらぬ役立たずのマネタリズム的政策なのだ。日本においてはどうだったろうか。アメリカの外交官は、経済的挑戦を仕掛けてきた日本をプラザとルーブル合意に従わせることで、やすやすと日本の力を打ち崩した。それらの経済的自殺とも言える合意により、日本はバブル経済をふくれあがらせ、1990年以後実際に破綻することになるのであ

日本は、イギリスが第二次大戦後に屈服したのと同様に、自国の経済政策をアメリカのアドバイザーの指令にゆだねてしまった。それはまるで、アメリカの提案が真に外国の利益を願っており、世界の発展を自国の国益の上に置いているかのようだった。今や、アメリカのリーダーシップに対するそういう信頼は間違っていたことが、すべての国に明らかにならなくてはならない。にもかかわらず、1985年から86年に日本が金利を下げてバブル経済を作り出すよう要求されたのは、単に共和党政府の再選を助けるためアメリカ国内の景気をを煽り立てるためでしかなかったのを理解している日本人はどれだけいるだろう?

第二次世界大戦の終結にあたりアメリカの保護の下で約束された、自由市場に基ずく公正な世界経済は、その代わりに、先例を見ない政府統制の時代を導きだすことになった。アメリカ以外の国では、金融部門を通じて中央集権的な経済計画が推し進められたが、それは、マネタリストの教科書にある生産や生活水準の向上のためではなく、利子や配当をしぼりだして外国に送りださせるためだった。この種の”自由市場経済”は、徐々に力を増す搾取から自国社会を守ろうとする政府への単なる攻撃へと堕している。公的課税への反対がかかげられるのは、債務国から支払われる利子や配当の形にせよ、債権国からアメリカ財務省への中央銀行貸付にせよ、アメリカに向かう経済的余剰がより大きくなるためでしかない。


古典的な経済世界は完全に逆転した。アカデミックなエコノミストたちには、この現実を自らの理論化に組みこむ仕事が、そしてアメリカ以外の国々には、新たなダイナミクスの分析を将来の対外政策に組みこむ仕事が残されている。

エピローグ----(終わり)




小林
いじめているアメリカ側の著者が、こんな仕組みでいいんですかと言ってくれているのに、いじめられているほうは、ちっとも理解できないし、知らないという事なんですか。


コー
残念だけど、どうもそうらしい。
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