とあるスナックで
コー
ではまたまた読んでいこう。
p-203
グリーンスパンは「大部分の国民の持ち家の価格が上昇したのだから、これは貯蓄が増えたのと同じだ」と主張した。私は「貯蓄と負債の意味を、あなたは混同している」と厳しく批判した。グリーンスパンは、人々が値上がりした住宅をATMのように使い、値上がり分を担保に入れてお金を借り、それを消費目的で使ってしまう事を、悪いことだとは思っていなかったのである。
もし住宅の価格が人工的につり上げられたものではなく、人々が貯蓄を増やし、住宅の需要が増加したために上昇したのなら住宅バブルは起きなかったはずだ。もし住宅購入に20~30%の頭金が必要であれば(もちろん住宅価格は経済要因で変動するが)大崩壊する運命の住宅バブルは引き起こされなかっただろう。
本当の富が、景気循環のバブル景気時の住宅価格の上昇などで生まれるはずはない。良いタイミングで住宅を売却できれば、たしかにその人はお金を儲けることが出来る。だが、全体で見れば、国全体の富が増えるわけではない。このような土地ころがしでは新しい富は生まれないのだ。これは単に売り手に手早く利益を出させるのを許しているしているだけだ。住宅価格が上昇していれば、中には目ざとく利益を出す人もいるだろう。だがブームが終わると、価格の下落で大多数の人びとが苦しむことになる。これを貯蓄と同じだとみなすのはあまりにも乱暴すぎる。
貯蓄するためには、身分相応の生活をして、すべての収入を消費しないでいくらか取っておかなければならない。もちろん私たちアメリカ人の問題点は、自分たちの収入すべてを消費に回し、それでも満足せず、お金を借りてまで消費欲を満たそうとしてきたことである。これはこの国全体の業病なのである。(コー注:これが許されてきたのは、ドルが世界の基軸通貨だということと、日本みたいに、永遠にアメリカ国債を買い続けているという事だと思う。アメリカにとって、日本は無限のATMという事だ。買ったアメリカ国債を日本は勝手に売却できないんだろう。買ったアメリカ国債はアメリカに保管しているはずだ。ほぼ永久国債化しているという事なんじゃないんだろうか、毎年毎年買う事を約束させられていれば。だからアメリカは毎年毎年税収以上の支出が出来るし、個人は収入以上の支出が出来るんではないだろうか。)
p-211
通貨供給を膨張させてお金の価値を薄めるのはきわめて危険な手法だ。不当に中流階級から富裕層へと富を再分配してしまう。これは詐欺であり、偽金づくりである。だがこの政策は秘密裏に実行されていて、国民には実感しづらいのである。国民は連銀による国債の直接引き受け(政府が国債を発行して、連銀がお金を刷ってそれを引き受ける)、(コー注:日本はまさにこれを中間で銀行を通してやっているんだと思う。まるでパチンコの景品買いのシステムのようにして)、マイノリティー優遇のローン、審査の甘い貸付が、人々を助ける道徳的な経済政策だと信じさせられるようになる。
この不道徳な詐欺に人々が気づくのは、悲しいことだが持続不可能な通貨膨張が終わるときである。その痛みに私たちは今、苦しんでいるのだ。
p-223
米国憲法の起草者は、インフレの危険性と現物に裏付けられた通貨の必要性を理解していた。アメリカ独立戦争中に戦費を賄うために発行され、その後激しいインフレを招いた「大陸紙幣」の失敗が記憶に新しかったからだ。(イギリスの高圧的な植民地経営に反発した植民地13州の代表が開いた)大陸会議でも、紙切れ通貨が議論になっている。「紙幣は過度に発行されるので良い政策とはいえない。交換の媒体として有効にはたらく量を超えて発行されると、その分だけ紙幣の価値が下がることになる。これは火を見るより明らかな事実だ。インフレはモラルを堕落させ、公共の美徳を破壊する。戦争の兵站を乱し、」公共への信頼を低下させる。個人の不平不満を増やし、アメリカ合衆国の名誉、安全、独立を脅かすのである」
憲法は明確に政府による紙幣の発行を禁止している。「金と銀だけが法定通貨である」としている。各州も紙幣を発行して大きな問題を生じていたので、憲法では各州が紙幣を発行することが禁止された。憲法第一条第十節は「どの州も金や銀以外での国債の支払いを認めてはいけない」、このように単純明快だ。政府紙幣は憲法違反なのである。
p-224
憲法で発行が禁止されている政府紙幣は(金と交換ができる)法定兌換紙幣を念頭に置いたものだった。これでさえ政府にとってはあまりにも危険な誘惑だった。法定不換紙幣(現在使われている、何の裏付けもない紙切れ通貨)というのは、建国の父たちにとってはあまりに異常な発想であった。だから議論の対象すらならなかったのだ。
今では連銀は何兆ドルというお金を何もないところから生み出すのに、お札を印刷する必要すらない。議会の監査もまったくなしに、コンピューターのボタンを押すだけでお金が生み出されるのだ。こんな現状を建国の父たちが見たら、どれほど嘆くだろうか。
(コー注:それでも、現在の世界の発展は、紙切れ通貨があったおかげだ、という人は,大勢いるんだろうな)
ーーー 続く ーーー