とあるスナックで
小林
コーさんは、<公共貨幣>でなければいけない理由は何ですか。
コー
経済・金融の仕組みとして大いに欠陥があるということ。
だってだれかが借金をしないと<お金>がなくなってしまうわけだろ、いまの<債務貨幣制度>は。
だから国民は自分が個人的に借金をしていなくても、国、地方公共団体、企業や誰かが借金をしなければ、世の中にまわっているお金が無くなってしまうわけだろ。
逆にいううと個人が借金をしなくなると、国、地方公共団体、企業などが無理にでも借金をしてお金を作り出さないと、世の中のお金の量が減っていってしまうということなんだろう。
お金の量が減っていくということは、そうデフレだよ。
そして国、地方公共団体の借金、元金と利息はだれが払うんだい?企業の借金はだれが払うんだい?
結局は国民一人一人じゃないかい。税金として、物の価格、値段として。
結局この<債務貨幣制度>の下では、一人残らず生まれてから死ぬまで、借金を背負っているということになるんだと思う。
小林
でもコーさん、30年前の日本は同じ<債務貨幣制度>の下で、景気が良くて暮らしがどんどん良くなって、豊かになっていったじゃないですか、これはどういうことですか。
コー
そうなんだ。あの当時政府の借金は今と比べてだいぶ少なかったよね。個人や企業が借金をしていろいろなところに投資をして生産をしたんだと思う。
生産をしたものがよく売れたんだと思う。国内でそして海外で。要するに借金をしたお金が付加価値を生む実物経済に流れていって、いい循環を作っていったんだと思う。
企業で考えてみれば、借金をして新しい工場を作って物を生産して、それが順調に売れていったんだと思う。
そしてその利益を従業員によく分配したんじゃないだろうか、株主や経営者だけに極端に分配するのではなく。
従業員の給料もだからどんどん上がったよね。すごかったよあの頃は。
欧米の蓄積された富が、日本に移動していった時期だと思う、貿易黒字という形で。
焦ったよね戦勝国である欧米は。
そこで日本解体、経済上の仕組み上の日本解体が始まったんだと思う。
それは今も続いているんだと思う。今も次々と仕組み上の日本解体が続いているんだと思う。
このことを話すとまた長くなるから別の機会に話すとして、<債務貨幣制度>の下でも暮らしが豊かになるのは、借金したお金が実物経済に流れてしかも付加価値を生んでいけば、要するに経済成長をしていけば、借金以上に経済成長をしていけば、暮らしは豊かになるということではないんだろうか。
言葉を変えて言うと、この<債務貨幣制度>が続く限り、国民は銀行からお金を借りて<通貨>を作って、<経済成長>を続けなければならないということだと思う。
永遠に経済成長をすべての国が続ける? 借金が増える以上にいつまでも経済成長を続ける?
それって鼻から無理だよね。
経済成長が無理なら借金を減らす? 返済が大変だから。
借金を減らす? 借りたお金を返す? それってどういう事?
<債務貨幣制度>の下では大部分のお金は、銀行から借金をして初めて流通するんだよね。
個人、あるいは国、地方公共団体、企業、なにしろ誰かが銀行から借金をして、お金が生まれるわけだ。
その借金を減らす? その借りたお金を返す?
全体で考えると、それは借金されてできたお金が無くなるという事なんだよ。世の中から、お金が消えてなくなるという事なんだよ。
ちょっと考えてもそれは恐ろしいことだよ。 1929年のウォール街大暴落からの世界恐慌は、その例だと思う。
山口薫の本、「公共貨幣」に詳しく書かれている。<シカゴプランの誕生>という章に。
<債務貨幣制度>の下では、経済成長しようがしまいが、借金から逃げられないということだと思う、永遠に。
<債務貨幣制度>では、だれもが借金の奴隷だということだ。
このことを知らない人間や理解できない人間は、お金を作っている側の家畜だということだ。
だから俺は、<公共貨幣制度>に変えるべきだと思うんだ。
そう思うだろママも。
ママ
え、また急に振るのね。借金、借金といえば、コーさん! 3月分の飲み代、まだもらっていないのよ。お願いしますね。
コー
ううーん。わかりました、わかりましたよ、ママ。