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<経産大臣指定伝統的工芸品> 鳥取 因州和紙

2021-07-13 09:04:05 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「因州和紙」

 因州和紙とは?
 因州和紙(いんしゅうわし)は旧因幡(いなば)の国に当たる鳥取県の東部で作られている手すき和紙です。特に書道や書画・水墨画に適した風合いのよい画仙用紙(がせんようし)が有名で、全国でトップクラスの生産量を誇ります。
 和紙の原料は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(かんぴ)などですが、因幡の国ではこれらの原料と品質を高めるきれいな清流に恵まれ、紙漉き(かみすき)の技術が発達しました。
 因州和紙の特徴は、天然の繊維が活かされた温かみのあるしなやかさです。酸化しにくく自然な強さを持つことから実用性にも優れ「他の和紙で一枚書くうち二枚書け、滑らかで早く筆がすすむから墨も減らない」と言われています。その高い品質から、「因州筆きれず」とも言われるほどです。
 紙漉きの工程は手すきの流し漉きです。水に溶かした繊維を漉きあげるときの「ちゃっぽん」という音は伝統的な風物詩として評価され、環境庁の日本の音風景100選にも選ばれています。
 現在は伝統的な技術を利用して立休形状のインテリア製品やパソコン用印刷紙など、時代の変化に対応した新製品を多く開発していることも特徴です。

 History / 歴史
 因州和紙 - 歴史

 因州和紙の起源は古く、8世紀前半の奈良時代に正倉院文書の「正集」の中に因幡の国印の押されたものがあります。これは日本でも最古期のもので、正倉院に保存されています。
927年(延長5年)に完成した「延喜式(えんぎしき)」には、因幡の国から朝廷に紙が献上されたという記録が残っています。
 江戸時代には、因州和紙の原材料である楮(こうぞ)と雁皮(がんぴ)が、亀井侯文書に「切ってはならない木」と記されており、鳥取藩に上納する藩の御用紙(ごようし)としても、庶民が使う紙としても盛んに作られていました。
 明治時代には、紙の漂白技術や合理的な製造方法を取り入れたことで生産量が増え、その勢いは大正末期まで続きます。
 昭和に入ると、木材パルプを使った洋紙の普及により和紙の需要は減少していきますが、因州和紙は書遺用紙・工芸紙・染色紙など、伝統的技術を基礎とした新しい製品の開発に力を入れ、画仙紙は日本一のシェアを獲得するなど、戦後に知名度を上げています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/inshuwashi/ より

 千年の歴史と素朴な温もりの因州和紙
 山の緑と海の青さ、そして川の清流に育まれた因州和紙。それは、千年の歴史を持ち、各時代の工芸士たちが、三椏(みつまた)、楮(こうぞ)など、木の皮を手で漉いた素朴な紙は、さながら山の乙女の柔らかい肌を感じさせる。

 
 長い歴史と伝統を守り続けた工芸士の誇り
 昭和6年生まれの伝統工芸士の前田久志(まえだひさし)さんは、パワフルさと前向きさで、ちっともその年齢を感じさせない。前田さんは、江戸時代から代々伝わる『紙すき唄』を唄ってくれた。
 「因州因幡の手すきの紙は、殿の御用でおさめ紙。因幡手すき紙、お殿様に納め蝶の御紋を許される。七つか八つから紙すきなろうて、糊のあい加減もまだ知らぬ。揃いましたよ紙すく音が、赤いたすきもよく揃うた紙は手ですく手は唄ですく、唄は紙すきさんの心意気。」そう唄い終ったあと、「どう、ええ唄やろ。声もいいやろ?」といたずらっぽい笑顔の前田さん。
 「ここ因州の紙は千年以上も前の記録に姿を見せるほど、歴史があるんじゃよ。奥深い山々から流れる豊富な清流と天然の三椏、楮に恵まれた因幡の紙は、年々栄え、慶長時代には朱印船貿易で海外にまで輸出されたといわれているんじゃ。」
 「また近世に入り、寛永5年、美濃の国から全国を回っていた旅僧が、ここで病に倒れてしまった。この土地の純粋で愛情深い村人達は、手厚い看護を施し、旅僧の病気も全快したので、旅僧は、その謝恩のいるしとして、新しい紙すき法を伝授して旅立ったという伝説もある。」と前田さんは因州和紙の伝統と歴史を語ってくれた。


 「伝統だけじゃなく、品質も日本一じゃぞ。」
 因州和紙のその高い品質も、前田さんの自慢である。その長きに渡る伝統がその証拠でもあるが、特に書道用紙は、きめ細やかで筆運びが滑らかなため、「因州和紙筆切れず」という異名をとるほどの高い評価を受けている。これは、三椏や、楮などの原料の質がよいということと、非常に丹念、丁寧に漉いているためで、パルプ紙では不可能な素朴な味わいを出しているからである。
 また、戦時中は「風船ばくだん」(日本軍の作った直経10メートルほどの気球型ばくだん)にも因州和紙が採用され、前田さんも学徒動員で作ったと話してくれた。


 伝統にこだわるだけでなく、新しいモノへの挑戦も職人の使命
 前田さんの夢とは、なんと「パリかニューヨークで個展を開くこと」なのである。「わしは、とにかく新しい商品を研究開発していくのが、大好きなんじゃ。うちの紙漉きの機械もわしが考案したし、まだ世に出ていない新しい作品で世界にアピールするのが夢なんじゃ。そのためには、やはり外国で個展を開いてみたいな。」と語る前田さんの目はキラキラと輝いていた。
 「せないかんこと(しなければいけないこと)がたくさんありすぎて、老け込む暇もないわ。和紙の需要が落ちてきたのは事実じゃが、悲観的になったことはないよ。もちろん同業者は廃業していった人も多いが、わしはまだまだやるで。」と、入り口の一番目立つところにかけてあった2枚の「色紙」を指さした。その色紙には、地元のお寺の住職さんが書いてくれたもので『初心生涯』『生涯現役』と書いてあった。

*https://kougeihin.jp/craft/0905/ より


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