2014年2月25日
2月議会 平成25年度補正予算 他条例改正について 反対討論 小黒啓子
日本共産党浜松市議団を代表いたしまして、
第 1号議案 平成25年度浜松市一般会計補正予算(第5号)
第11号議案 平成25年度浜松市駐車場事業特別会計補正予算(第1号)
第14号議案 平成25年度浜松市病院事業会計補正予算(第3号)
第15号議案 平成25年度浜松市水道事業会計補正予算(第3号)
第16号議案 平成25年度浜松市下水道事業会計補正予算(第3号)
第17号議案 浜松市なゆた・浜北条例の一部改正について
第19号議案 浜松市旧龍山地域自治区被災者生活支援基金に関する条例の廃止について
第21号議案 浜松市病院事業の設置等に関する条例の一部改正について
第22号議案 浜松市夜間救急室条例等の一部改正について
第23号議案 浜松市中央卸売市場業務条例の一部改正について
第24号議案 浜松市地方卸売市場業務条例の一部改正について
第25号議案 浜松市水道事業給水条例及び浜松市下水道条例の一部改正について
第26号議案 浜松市立高等学校授業料等に関する条例の一部改正について
第27号議案 消費税率及び地方消費税率の引上げに伴う関係条例の整備に関する条例の制定について
第32号議案 有料道路「新掛塚橋」ほか1道路の通行料金改定について
の15議案に反対の立場から討論を行います。
15議案のうち13議案は本年4月から消費税が5%から8%に増税することに関連する議案ですので、合わせて討論いたします。
みなさんご承知のとおり、消費税の最大の問題は、所得の低い人ほど、所得に占める負担が増える「逆進性」の強い不公平税制であることです。
本来、税金は所得や負担能力に応じて課税されるべきことから、所得税は「累進課税制度」を設けていますが、今回、逆進性が特徴の消費税を8%に増税することは、その逆進性を拡大することにつながります。
今回の増税による国民の負担分は約8兆円、社会保障の改悪により更に2兆円と国民には10兆円もの負担増になってきます。
「社会保障と税の一体改革」の名の下で行われようとしているのは、医療・介護等の負担増と給付削減等で、国民所得の増える見込みのない中で、社会保障は一向に良くなりません。
みずほ総研の試算では年収500万円の標準的な4人世帯の場合、新たな消費税の負担額は年間約8万円に及ぶとしています。
消費税増税は住民へ負担を増やすだけでなく、日本の経済を根幹で支えている中小業者に決定的な打撃を与えかねない問題も抱えています。中小業者の50.8%が消費税を転嫁できず、10%になれば69.2%の中小業者が転嫁できないと答えています。
アベノミクスでこの間、多くの中小企業が経営に打撃を受ける中、恩恵を受けるのは自動車関連の輸出大企業ばかり、下支えする中小、零細業者はおこぼれさえありません。このような状況の中、消費税が増税されれば、増税分を価格に転嫁できずに廃業に追い込まれ、死活問題にもなってきます。
1989年に3%の税率で消費税が始まり、1997年に現在の5%に増税され25年が経過しました。制度ができた当初から国は「社会保障の充実」「福祉のために」を掲げましたが一向に社会保障は良くなりません。
それどころか、25年間に国民が納めた消費税総額の264兆円は、同時期に法人3税の246兆円の減税に回されています。消費税は福祉のためでなく、大企業の減税の穴埋めにされてきているのが実態です。
1997年に5%に増税した時は、消費を冷え込ませ、日本経済をつぶしていきました。97年の増税後、景気悪化や経済対策として行われた法人税減税等により、増税後の3年間で消費税増収分5兆円を超える11兆円の税収が減り、総額6兆円の減少となったことを見れば、消費税増税を財政健全化のためとする口実は成り立ちません。
浜松市の消費税3%の増税による影響額は、予算ベースで一般会計、特別会計、企業会計の3つの会計の合計額で6億3,900万円、その内、水道・下水道関連が5億300万円を占め、一般会計分で9,300万円、その他4,300万円となっています。
一般会計分については第27号議案で98条例を一度に改定するようになっていますが、消費税法第60条の第6項では「自治体が一般会計に係る業務として行う事業については「課税標準に対する消費税額と控除することができる消費税額を同額とみなす」となっており、結果的に納税額が生じない仕組みになっています。
市民のくらしを応援する立場から協働センター等の使用料への転嫁については止めるべきと考えます。
国は増税に伴い低所得者対策として「臨時福祉給付金」「子育て世帯臨時特例交付金」を市民税非課税で均等割り額がかかっていない人を対象に、一人1回1万円の給付金制度を作りました。
来年10月に10%に増税するまでの期間、1か月550円程度のもので、低所得者対策としても不十分な上、逆進性を解消するものではなく、自治体には煩雑な事務が押し付けられます。目先だけの措置で住民のくらしは良くなることはありえません。住民のくらしを守る立場から、消費税増税に関連する13議案に反対いたします。
第19号議案は「龍山地域自治区被災者生活支援基金に関する条例」を廃止し、基金残高4,370万円余を一般財源化するものです。
龍山地域は94%が森林で、急傾斜地にへばりつくように石垣を築きそこに住居を構えてくらすという、大変厳しい生活環境であり、高齢化率は約52%になっています。
この条例は平成12年度に旧龍山地域で作られ、主には災害で崩壊した石積みを改修するために8件の利用実績がありました。この実績数は龍山地域の世帯数の2.1%にあたり、中区でいえば、2,240世帯数に匹敵する実績です。
災害で石積みが崩れても、いち早く基金で対応して石積みが修復されたことで、住み続けることができ、生活再建に向けてその目的を果たしてきています。
天竜区協議会で条例廃止について諮問され、「適切である」と答申されていますが、その中に「中山間地域の高齢化は著しく、特に龍山地域は高齢化率が高く高齢者の一人くらしや、高齢者のみ世帯が急増している。こうした地域の実情をくみとり、地域の保険、医療、福祉の充実・向上に努めて欲しい」との切実な意見が添えられていますが、現状の本市の財政の使い方では期待にこたえられるか大変疑問です。
要綱では「自然災害により住宅等が著しい被害を受けたものに対し、被災者の生活再建を支援するための措置を講ずることにより、市民が安心して龍山地域に定住できると共に、被災者の速やかな生活基盤の復旧を図ることを目的とする」とあり、龍山地域で定住するための、災害に備えた大切な基金条例です。
ひとつの浜松の名のもとに地域特有の安心して住み続けるための施策が消えてしまうことには反対します。
最後に第26号議案について述べます。
この議案は浜松市立高等学校授業料等に関する条例の一部改正についてですが、これは現行制度の「社会全体の負担により生徒の学びを支える」として創設され、公立高校は授業料年間11万8,800円を国が負担し、私立高校には同額を就学支援金として国費で学校に支給している高校授業料の無償制を廃止することに伴う条例改正です。
2014年度から所得制限を設け、市町村民税所得割額が30万4,200円以上、収入では年収910万円程度以上の世帯には授業料を負担させる内容になっています。
文科省の試算では22%もの高校生は新たな制度により、就学支援金の対象外になっていきます。無償化に変わって設ける「就学支援金」を受給するには保護者の課税証明の提出を義務付けるため、学校、自治体、保護者に新たな負担が生じてきます。
貧困と格差が広がる中で、社会的に孤立している家庭や、複雑な事情を抱える家庭も増えていますが、課税証明の提示ができないことで就学支援金が受けられないことも危惧されます。
また、一人ひとりの生徒の家庭の収入状況を学校が知ることになることも問題ですが、その情報の適正な管理ができるのか、膨大な事務処理に追われることになる等、問題がつきません。
2014年4月以降に入学する方が対象になり、2013年度までに在学されている方は旧制度が適用されますが、教育費無償化は世界の流れとなっており、日本政府は、34年間保留してきた国際人権規約「中等・高等教育の無償教育の斬新的導入」条項を承認したばかりで国際的にも批判を免れません。
無償教育によって教育をうける権利を保障する世界の流れに逆行することから、本議案には反対します。
以上で反対討論を終わります。