けいこ日記 6月議会 反対討論をおこないました
2012年6月議会 反対討論
小黒啓子
第127号議案 平成24年度浜松市一般会計補正予算(第1号)
第130号議案 浜松市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部改正について
第131号議案 浜松市都市公園条例の一部改正について
第134号議案 浜松市図書館条例の一部改正について
日本共産党浜松市議団を代表いたしまして4つの議案に反対の立場から討論をおこないます。
初めに第127号議案 平成24年度浜松市一般会計補正予算(第1号)のうち農地集約化促進事業について述べます。
この補正予算は県の緊急雇用創出事業交付金を財源とし、企業の農業参入を促進するために「企業の進出候補地」となる農地の詳細な土地情報を調査、収集するための業務委託料を増額するものです。
市は昨年度、企業の農業進出促進に向けて、「アクションプラン」を策定し、天竜区や三ケ日町を除いた市内8か所を選定しました。農業用水が完備した優良農地に絞り込んで市長マニフェストの実現、また、「新・ものづくり特区」ともからめ、土地利用の規制を緩和させて、企業や工場の進出も図っていくものとなっています。
企業の農業経営は資本を投入し大規模運営で効率化を図り農業を行うものの、自然相手の予測の甘さや、市場の不確定要素を制御できず、全国では撤退・縮小を余儀なくされている実態もあります。
また、南区の農業進出企業の事例では、砂地地帯の飛砂を防止するために、あえて農地を小区画に区切ってある施設が取り除かれ、大型農業機械を使用して作業効率を上げる大区画に改変されたことから、隣接した農地・農作物・道路に大量の砂が飛び、被害を及ぼしていることが地元農民から告発されてるように地域の風土に根ざした農業が企業でできるのかという心配があります。
「企業の農業参入」と「農地の企業・工場用地転用」は紙一重であり、優良農地の虫食い的な開発が政策的に進められることは、法的にも農業の振興の上からも問題であることから、本補正予算には反対します。
次に第130号議案 浜松市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部改正についてです。これは家庭から生じた一般廃棄物のうち、処理に特別の扱いを要する「連絡ごみ」の処理手数料を新規に徴収するために、条例の一部を改正するものですが、以下3点の理由から反対とします。
1点目は掲げている有料化の目的について市民に理解されないということです。ごみ減量については、市民の努力で一般廃棄物処理基本計画の数値から大きく削減されており、ごみの総排出量はすでに目標値を達成しています。
費用対効果についても、ごみ処理費用は地方自治法で地方公共団体の事務となっており、基準財政需要額の個別算定経費として清掃費が算定され、地方交付税にも反映されています。
受益者負担の観点については、受益者たるごみの排出者である市民に対して手数料についての考えを示し、具体的に内容を説明すべきですが、これまでのプロセスにおいては非常に不十分です。
昨年末のパブリックコメントでは424件寄せられた意見のうち、103件が「連絡ごみの有料化」についてでしたが、手数料の徴収に関する事項は「パブコメ実施要項第3条第3項」の規定によりパブコメの対象から除かれており、実質的な市民の声は入る余地がなかったというのが実態になっています。
2点目は条例改正の手法ですが、「個別の処理手数料は市長の告示による」となっていまして、上限だけが規定されているだけで、個別具体的な手数料は市長の告示行為で決定されるようになっています。
地方自治法では手数料は条例で定めることになっており、議会の議決なく手数料を決定することはできません。本条例案はこうした地方自治法上の視点からも疑義ある議案となっています。
また、7月から自治会単位で市民への説明会が始まりますが、条例について議会の議決を得ないまま説明するわけにはいかないという理由で今議会での条例改正が出されていますが、これまでに、環境審議会や連合自治会等にも議会の議決なしで説明してきたこととの整合性がとれません。
市長の告示行為で手数料の額を定めるのではなく、時間を取って市民に十分説明し内容を明らかにして決めていくことが大切ではないでしょうか。
3点目は地球環境を守り、ごみを削減していくためには拡大生産者責任や3Rの推進を含め、住民の意識改革がまずはじめに求められるものであり、廃棄物の処理という出口対策としての有料化では問題の解決にならないと考えます。
次に第131号議案浜松市都市公園条例の一部改正についてです。これは、江之島水泳場内温水プールを今年の8月末日で廃止しようとするものです。施設の廃止については2011年9月に五島地区の連合自治会から温水プールの存続を求める要望書が提出されました。
要望の内容は「公の施設は耐用年数がきたら事業を廃止するというものではない」「地域住民の健康保持にとって必要な施設である」「南部清掃工場の併設施設として、清掃工場が稼働している間の存続を望んでいる」というものです。担当課はその後、利用者団体や南区協議会、地域との調整を図り今年3月には地元住民へ8月末で施設を廃止する回覧文書を配布していますが、利用者や地域住民に納得していただいたのか、可美総合公園やトビオに利用者が移れるのか確証もないまま「廃止は決定である」としていくやり方では市民の理解は得られないと考えます。
」
公の施設の定義は地方自治法244条で示されているように、住民の福祉を増進する目的を持って設置されており、身近なスポーツ施設は市民の健康増進やコミュニティーづくりに欠かせないものになっています。
浜北体育館、三ケ日体育館、そして今回の江ノ島温水プールは老朽化や耐震性の不足の理由で廃止されようとしていますが、公の施設では、いつの時点でも市民が安心して施設を利用できなくてはなりません。施設の管理を長年放置したままで、利用者への安全を口実に廃止しようというのは本末転倒であり、設置者の責任を問われる重大な問題です。
行革審いいなりの資産経営の考え方から、施設を利用している市民の立場に立ち返り、身近なスポーツ施設の廃止については再考すべきことから本議案には反対します。
最後に、第134号議案浜松市図書館条例の一部改正についてですが、図書館は生涯学習の拠点として市民の知る権利を保障するほか、学校図書館との連携や読み聞かせなど子育て支援、ビジネスサポートなど多彩な機能を有しています。それだけに利用者サービスには専門的な知識が必要であり、期限のある契約では継続的な運営はできず、コストのみを追求する図書館では本来の役割を果たすことはできません。
図書館への指定管理者導入については市民や図書館協議会や職員への十分な説明が前提にあって進めるべきものですが、そのようにはなっていないことにも問題があり、地域図書館と切り離して行われる「児童サービス」は、合併して広範な地域をもつ本市では地理的・物理的に無理があり、ひいては中核的役割を果たしてきた地域図書館の機能が継続されず、レファレンスサービスの後退も危惧されています。
市民サービスの維持・向上を謳っている「指定管理者制度を実施する際の原則」また、市が直接管理することが施設の効用を図る上で望ましい施設は対象としないとする「指定管理者の導入・非導入の判断基準」などを踏まえれば、図書館の指定管理者制度は極めて問題があることから本議案には反対します。
以上で反対討論を終わります。