雑感「日々是好日2」

NO MUSIC,NO LIFE.音楽好きなのんびり屋さんの日常をつづってゆきます。きょう一日が良い日であるように…。

NHK土曜ドラマ「ハゲタカ~ROAD TO REBIRTH」

2007-02-25 01:08:55 | Weblog
私はドラマをめったに見ないのです。
SE7EN初主演の韓国ドラマ「宮'S」ですら
見てないのですが…
(韓国語がわからないですし、放送時間に家にいないですし、
 ドラマのストリーミングをパソコンで見るのは目が疲れるので
 やらないという事情もあるのですが、
 元々すすんでドラマを見ようという気がないのです…)


昨夜(←日付かわったので)NHK総合で放送された
「ハゲタカ」 は、
食い入るように見てしまいました。

NHK土曜ドラマ「ハゲタカ」公式ホームページはこちら (番組制作者さんのブログ「渋谷で働くドラマディレクターの日記」へも行けます)

このドラマ、全6回で、
先週から放送が始まっていたんですね。
先週は、スティービー・ワンダーのライヴ終演後に宿泊先へ戻り、
BS2の「GS(グループサウンズ)特集番組」を見ましたので、
「ハゲタカ」放送がすでに始まっていたことすら
つゆ知らず…。


バブル崩壊後のいわゆる「失われた10年」に
いったい何があったのか。
企業買収劇を軸にした、重厚な人間ドラマだそうです。
柴田恭兵さんの肺がん手術で
いったん制作が中断になっていたドラマですよね。
(柴田さんといえば…
 「あぶない刑事(あぶデカ)」シリーズが大好きでした。
 当時松山市内に住んでいた友達が、
 「『あぶ刑事』のロケが松山であったんよ!」と興奮気味に電話してきて、
  それがきっかけで番組の存在を知り、
  見るようになったドラマでした)

以前、NHKが制作したドラマに
「系列」という作品がありました。
土曜夜=同じ放送枠じゃなかったかな?
自動車メーカーの系列子会社の社長と息子、
親会社と系列会社、経済状況、労使関係…
そのなかでの人間模様を描いた、重いドラマでした。
系列子会社の社長役が佐藤慶さん。
もう一度見たいドラマです。

ああいう系統のドラマを作れる強みが
NHKにはあるような気がして…




「世の中はカネだ、カネが悲劇を生む」というナレーションで始まる
予告ストリーミング。

「あなたの会社、いただきます」というキャッチコピー。

「人生の悲劇は二つある。
 ひとつは金のない悲劇。
 もうひとつは金のある悲劇…」というナレーションで始まる
ドラマ本編。
 

 私は経済には疎く(←これではいけませんが)、
現在勤務している業界へ転じる前に受験した
入社一次試験(5択筆記)のうち
経済関係の科目はほとんど勘で解答しました(苦笑)。
法律も経済も一般常識も疎かったので、
受験勉強で経済学関係の科目は捨てる始末でした。  
 そんな私でさえも、
このドラマの扱う題材には引かれました。 
いま私たちが置かれている(ずっとさらされてきた)
状況そのものであるような気がしたからです。

 それと…
去年、元同僚が約3年の闘病の末に
命を落とした原因が肺がんでした。。
ですので、柴田さんの復帰作でもあるこのドラマについては
何かしら気にかかっておりました。




 柴田さん扮する大手銀行マン・芝野と、
大森南朋(おおもり・なお)さん扮する外資ファンドマネジャー・鷲津。
しかも鷲津は芝野のかつての部下で、
銀行勤務時代に、会社に命じられるままに
借金を返せなくなった町工場に資金を貸し渋り
経営者を自殺に追い込んでしまって
自責の念から泣いてしまった過去を持つ。。
銀行を退職して渡米後ふたたび日本に舞い戻った彼は、
カネのチカラで、足腰の弱ってしまった日本経済を
容赦なく買い叩く
「ハゲタカ」に変わっていた。。
鷲津っていう役名が
「日本企業を容赦なく『わしづかみ』にする、という意味も込めての
『わしづ』」であるかのようにさえ思えてくるほどです。。



このおふたりを機軸にしつつ、
一言一言が重い、練り上げられた台詞と、
この顔ぶれはありえない!ぐらい凄すぎる俳優陣の演技によって、
一瞬たりとも目を離せない展開が…

(銀行の貸し渋りで自殺した工場経営者の娘である
 経済記者役に栗山千明さん…資生堂マキアージュのCMの方ですね、
 
 経営危機に陥っている玩具メーカーの
 バブリーな女社長役に富士眞奈美さん、

 過剰投資の失敗によって老舗旅館の経営不振に陥った挙句
 外資ファンドに旅館を買い叩かれて売られて潰され
 自殺してしまう5代目経営者役に宇崎竜童さん、
 のちにIT社長として起業する息子役に松田龍平さん、

 柴田さんの勤務する銀行の重役に中尾彬さん。。

 ほかにも菅原文太さんや大杉漣さんなどが今後登場のようです)



 特に大森南朋さん!
眼鏡の奥に光る冷酷非情な目。
大森さんのあの演技がなければこのドラマは成り立ちません。
比較は失礼ですが、
佐野史郎氏よりも目が怖いです。。
実はまったく知らなかったんですが(すみません)、
周防正行監督の映画「ボクはぜったいやってない」にも
刑事役で出演なさっている俳優さんなのですね。
父上様が麿赤児さん。 

 

 台詞も直球勝負でグサリと胸を打ってくるんですよ…
ここまで力のある作品だったら
録画しておけばよかった、と後悔しましたけど…

 
 たとえば…
不採算部門も、会社を私物化した贅を尽くした生活も、
社長の座も手放せない玩具メーカーの女社長に
経営から身を引くよう提案する鷲津。
それに対して
「会社は子供のようなもの、愛情がいっぱいつまってるの!」
と反論してきた女社長に向かって言い放った鷲津のひとこと

「だったら、あなたは子育てに失敗したんだ!」



 あるいは…
女性経済記者から渡されたメモを頼りに、
ハゲタカに潰された旅館経営主の息子の姿を
夜間の、雨の工事現場で探す銀行員芝野。
ヘルメットにひらがなで自分の名前、それと血液型を書き
ブルーシートを畳んでいた旅館経営主の息子。
「私に何かできることがあれば声をかけてください」と言って
名刺を差し出す芝野に向かって

「俺、会社興したいんだけどカネ貸してくんない?300万。
 …出来ないじゃん。何も出来ないくせに…
 恨んでないよ。あんたもサラリーマンなんだから」

さらに折りたたみ傘を差し出す芝野に向かって
「オヤジが言ってた『銀行は晴れの日には傘を差しかけて
 どしゃ降りの日には傘を引っ込める』って。
 きょうは傘貸してくれるんだ、雨なのに。」
痛烈なひとこと。。




 弱肉強食、格差社会、
勝ち組と負け組に二分されてしまう世の中…
そのなかでどうすればいいのか
いまだに見いだせずあえいでいるような…
いったいなんのために、どこへむかっているのかさえも
見えているようで
実はわかっていないような…
そんな状態でズルズルきているような現在だから…

ドラマのサブタイトルになっている
「再生への道」を
何かしら心の奥では求めているのだと思います。。
それは
人間どうしのありようなのかもしれないですが。。




ここに描かれているのは
フィクションだとわかっていても
それでもまた、次回放送も見たくなるドラマでした。